お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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「押すと感度100倍になるスイッチ」

Twitterで回ってきたつぶやきにとても感銘を受けて、脊髄反射的に書いた習作w プライベッタであげてたやつ、こっちにうつすの忘れてました(2016-08-26にバズッたのを2016-08-27に公開してたのに気づいて本当に自分脳筋過ぎて笑ってしまいました)

        ジノザキ , ,

「ん?裏に何か書いてある……押すと感度100倍になるスイッチ?うわっ!」
驚いて手を滑らせて落としてしまった。どうやら駐車場に落ちていたそれは、おもちゃでも子供用ではなかったらしい。
「なに?どうかした?」
後ろから声を掛けられてさらに驚く。
「あ、いや別に……」
「おや?何これ。何かのスイッチ?」
「駄目だ王子、それはッ」
制止は時すでに遅しで、拾い上げるそばからカチカチと。
「ピンポーン♪とか音か何かするのかと思えば。あれかな、ザッキーこれ、壊れてる?」
「……」
「どうしたの?変な顔をして」
「裏……」
「裏?」
ひょいと裏返して王子が読む。
「押すと感度100倍になるスイッチ?」
コクコクと頷いて生唾を飲む。
「バッカみたい。こんな子供騙し」
ハハハと笑って俺に差し出し、王子が言う。
「何?君こんなの信じるの?」
「バッ……そんなわけ」
揶揄されて悔しくなって、否定をして、するとそんな俺の手を王子が掴んで無理矢理。
「じゃあ、はい」
「なっ……!やめ、ちょっと!おい!」
そう、王子は俺の手を掴んで、無理矢理ボタンを押させたのだった。
「アハハ」
「何すんだよ王子!」
「あれ?もしかして焦ってる?信じてないんじゃなかったの?可愛いったら」
「そうだけどッ!ちょ、また、待てって」
「平気でしょう?信じてないなら」
「だからってッ、いくらなんでも!離せ!王子いい加減にッ」
ゆうに王子の10倍はスイッチを押させられて、そんな俺が面白いのか、ケラケラ王子は楽しげに笑った。

*

「ねぇ、ザッキー」
そして部屋に向かうエレベーターの中。
「100倍を3回押したんだとしたらさぁ、300倍かな、それとも100の3乗?」
「おもちゃなんだからゼロに何をどう掛け合わせても、答えはゼロ!当たり前でしょ、そんなこと」
ギロリと睨みつけたらドキリとした。何故ならその目が潤んでいる。
「それにしても急にどうしたんだろう……」
「え?」
「ザッキー、この中、変に暑くない?」
長い睫毛が魅惑をさらに深めて、こめかみの汗を軽く拭うような仕草も、いつにも増して色っぽい。
「……お、王子?あんた……」
「ん?何?どうかした?」
小首をかしげて、髪がサラサラ。密室、王子からセクシャルな匂いを感じる。
「……いや、別に」
「変なザッキー」
(違う、単なる俺の気のせいだ。そうだよ、そんなはずは……多分……うん……)
「……ふぅ……あっつぅ……」
ふとこぼした溜息ですら艶めかしい。そうして、王子の問いが脳裏に巡る。

――100倍を3回押したんだとしたらさぁ、300倍かな、それとも100の3乗?

俺は30回以上あれを押した。なんだか嫌な予感がした。

*

 玄関の扉が閉じた途端に襲われてしまった。こんな性急なことは今までなかった。
「ちょっと、待っ……王子!」
王子はいつでも俺に優しかった。こんなに乱暴に扱われたのも初めてのことで、靴も脱がないまま押し倒されて、彼もまた男であったのを思い出す。
(ちくしょう、なんでこんな……)
俺も確かに男は男で、なのに全然敵わなかった。あまりに上手に上に乗られて、力がまともに入らない。そして。
「ザッキー、僕ちょっと今ヤバいみたいよ?ねぇ、君はどう?大丈夫?」
潤んだ瞳の主の息は僅かに乱れて、言われた意味を理解する。
「な……嘘だろ王子」
「3倍だったらいいんだけど……どうやらそうじゃないみたいで」
「まさかそんな、あれはただのおもちゃか何かで……あっ!」
たくしあげられたシャツは俺の両腕を縛り、降ろされた半パンは足の自由を奪い去る。
「冗談もいい加減に、なぁ、王子!頼むから」
助けを乞うように王子を見上げても、すでにその人は正気ではないように見えた。
「勘弁してくれよ、あんた俺に一体何回押させたと思っ……いやだっつってんだ、ろ!」
「ゴメンね」
「駄目、無理だってマジで!やめっ……」
「ゴメン」
「今やられたら絶対俺死ぬって!だから!ああ、……ヤ、ヤバいっ、駄……あッ、うぅ!」
「ゴメンね」
「おねが……、んぅ、ハァッ!触ん……」
「ねぇ、泣かないで、そういうのますます興奮しちゃ……う、から」
「……ッうぁ!そこ、やっ、王子、ああッぅうッ、助け……」

*

「い……生きてる……」
これは泣きじゃくりながら事を成した後の俺の一言だ。なんせ100倍3回分高まった感度を持つ人間から、100倍の30回分の快楽を受けたのだ。途中、あまりに愛され過ぎて、本当に死んでしまうと思ってしまった。
 王子は覆いかぶさる形で圧し掛かっていて、その肩が僅かに震えている。珍しくかなり息があがっていたようだったので、それを我慢しているのだと思った。だが、それが違うことにはすぐに気付いた。そう、王子が今、我慢していたのは。
「シチュに弱いタイプだとは思ったけどこれほどとは……本当に君にはいつも驚かされる」
堪えきれないといった感じで笑い出す王子は、さもご機嫌な様子でさらに続けた。
「なんかまた小芝居考えておくね?そんなに喜んでくれるならさ」

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