【お題】泡沫の夢より4
【8440文字】
Twitterのお題bot「泡沫の夢」さんからお借りしました。
おバカなジノザキ二人のドタバタ初夜コメディです。二人ともめちゃくちゃIQ低い、あと台詞ばっかり。ゲラゲラ笑いながら調子に乗ってたらあんまりにも長くなっちゃったんで一本だけでUPしました。こういうタイプの話の場合、漫画が描けたらなぁと思いますね
こんなにも辛いのに諦めたくないと思うことこそが愛というものではないのですか
— 泡沫の夢(手動お題) (@ut_dree) November 16, 2014
食事を終えて風呂に入り、時刻はもうすぐ9時になる。寝るには早く、することもなく、あまりに手持ち無沙汰な時間だ。赤崎とジーノはソファに並んでぼんやりとテレビを眺めている。間にはいつになく隙間があって、よそよそしさすら感じさせる。そう、これは二人が付き合いだして、初めて迎える夜だった。
「王子、チャンネル替えていいっスか」
「いいよ。リモコンは……ああ、ここにあっ」
「いや、いいです、俺、自分で取りますから」
「でも僕の方が近……」
「「!」」
思わず互いの手が触れ合って、電気が走ったように引っ込める。
「ごめん」
「いえ、こっちこそ王子が取るって言ってくれたのに」
なんだかギクシャクとしながら謝りあって、ぎこちない笑いを互いに浮かべる。
(なんか、すごく気まずいんだけど)
(うわー、俺の背中、汗でびっしょりだ)
当然、テレビの内容など上の空で、ジーノと赤崎はこの後何度も、時計のチラ見を続けていた。
*
今か今かと時を過ごして、ようやく意を決してジーノが言う。
「じゃあ、そろそろ」
「!」
赤崎がゴクリと生唾を飲んだ。それを見てジーノも息をのんで、深呼吸をしてからこう続けた。
「いいよね、もう夜も結構遅いし」
「そ、そうっスね」
完璧にさりげなさを装ったつもりが、赤崎が異様に上擦った声で返事をして、いかにも不自然な会話になった。せっかく『寝る』という直接的な言葉を回避したのに、これでは全くの台無しである。
「……」
「……」
無理矢理な笑顔をひくつかせながら、相手の出方を観察し合う。知らないわけではない間取りではあったが先に行くのも憚られる。赤崎はジーノの家であることをこの上もなく意識していたし、ジーノはジーノで異常なほど緊張している赤崎の、穏便な誘導方法を考えあぐねた。
「い、行こうか」
「う……ウッスっ」
「……」
「……」
ジーノはなんだか眩暈がした。ちゃんと目的を果たせるだろうか。
赤崎は大いに焦っていた。どうか、変な恥をかきませんように。
*
ジーノはいかにも紳士的な態度で、場慣れのそれを感じさせた。一方不慣れ過ぎる赤崎といえば、空気を読むのに必死であった。
初めて入るベッドルームは、赤崎の想像以上に広かった。ベッドの横には長いカーテンがあって、その向こうの窓のデカさを思わせた。あちこち優しく灯る明かりは、部屋のムードをしっとりとさせて、一面に漂う甘い匂いが、未知なるエロスを感じさせた。
(うおお……これが王子の寝てる部屋……)
ドアに立ち竦む赤崎を振り返り、ジーノが小さく声を掛ける。
「ザッキー?どうかした?」
「い、いや?別に?」
緊張を解くのに必死の赤崎が、バシバシと両手で頬を叩く。拳を作って、
「ッシャ!行くか!」
と気合を入れて、勇ましくズンズン歩き出した。頭の中に流れるのは、FIFAアンセム。人生のすべてを背負った顔で、赤崎は今まさに、夜に挑む。
「ねぇ、あの……」
「え?」
気付けばベッドの上で仁王立ち。そんな混乱の赤崎の様子を、ジーノが困惑顔で見上げていた。
「と、とりあえずその、座ろうか?」
怯える子供をあやすように、肩を竦めてニッコリ笑う。赤崎は恥ずかしさで真っ赤になって、慌ててジーノに返事をした。
「わ!俺何してんだ!?サーセン、すぐ座っ……」
そうして慌ててその場に座って、汗を拭って一息ついた。だが、何故かそれを見るジーノの顔にはまだ困惑のそれが浮かんでいた。
「お、王子?どうかし……」
「ああ、いや、そう来るとは思わなくて」
「え?」
「ううん、なんでも」
そう言うとゆったりとジーノが乗り上げて、さもやりにくそうに赤崎の肩に触れた。
「えぇっと……こう、かな」
座った位置があまりに奥で、そのまま寝かせると落ちてしまうのだ。しかも胡坐をかいているので届きにくい。ようやくそのことに赤崎が気付いて、大声で叫ぶようにこう言った。
「なし、なし!今のなし!!最初からやり直しましょう、そうしましょう王子!」
「ちょっ!急に動かなっ……」
「「わーーーっ」」
重心を崩されたジーノが倒れこんで、二人とももつれるようにベッドから落ちた。
「ご、ごめん……ザッキー、怪我はない?」
「……大丈夫ッス、マジ、なんつうか、ごめんなさい……」
無様な姿勢で謝りあって、絡み合う四肢を解いていく。
「ぐぇ」
ジーノがベッドに手を掛ければ、埋もれた赤崎が蛙のように鳴いた。苦しさのあまり少し身を捩れば、今度はジーノが、いたた、と言った。
「待ってザッキー、髪の毛挟んでる痛い」
「え?あ、ヤッベ」
なんとかかんとか、ベッドに上がり、顔を見合わせてアハハと笑った。
「もうやだなぁ、ザッキー、緊張し過ぎ」
「だって、どうしていいのかわかんなくて」
とんだことにはなったけれど、反対に二人の心がほぐれた。
「普通にしていればいいんだよ」
「そうはいっても、さすがにこの場合、普通って無理っしょ」
「そう?」
「そうっスよ」
「大丈夫だよ、相手はこのとおり僕なんだし」
「あんただから緊張するの!あんたこそなんでそんな平気で」
「……」
「王子?」
「……あのねぇ、ザッキー。平気なわけがないだろう?僕だって君に負けないくらいドキドキしてるよ」
「え?」
「ほら」
ジーノがそう言って赤崎の手を取って、自分の胸に押し当てる。
「ね?」
「……」
「好きな人との初めてだもの。多かれ少なかれ、みんなそうさ。普通にしようとしてるだけ」
「そう、なんだ……」
「少しは落ち着いた?」
「……はい、ほんの少しだけ」
今度はジーノが赤崎の胸にそっと手を置いて確認をした。
「確かにほんのちょっとだけだね」
クスリとジーノがからかうように笑うので、それを見て赤崎も苦笑した。
「君がドキドキしているの、嬉しいよ。僕をそれだけ好きってことだし」
ジーノは心音を堪能しながら、もう片方の手を赤崎の首に回す。とてもナチュラルにキスが始まり、赤崎がゆっくり倒されていく。赤崎は眩暈によく似た光景の中で、いよいよだ、とひそかに思った。
*
ジーノとキスをしたことは何度もあったし、少しだけ愛撫をされたこともある。それでもベッドでそれをされると、赤崎は異様なまでに興奮をした。何しろ、みるみることが運んで、すでに肌が直接触れ合っている。ベッドに積まれた部屋着を見ながら、赤崎はぼんやりと考えた。
(すげぇ、本当にしてるんだな俺達)
「ん?」
気のそれた赤崎に気付いたのか、ジーノがのぞき込むように顔を見た。鎖骨も肩もあらわな姿に、赤崎は思わず目を泳がせる。
「あんまり気持ちよくないのかな」
「いや、そんなこと」
慌てて首を横に振れば、ジーノは耳元にキスをした。
(うわっ、そこ……)
「して欲しいこと、僕に教えて?」
ゾクゾクと体を竦ませる赤崎だったが、ジーノは気にもせずにそのまま囁き、ついでに音を立てて舌先で舐めた。
「一杯いいことしてあげたい。遠慮しないでなんでも言って?」
「ふ……ぁ……」
「ねぇ、黙ってないで。どういうのが好き?」
「んっ、や……」
頬を染めながらいやいやをするのが面白くて、ジーノはどんどん耳を責めた。
「こういうの嫌い?やめたほうがいい?」
目を潤ませて切なそうに、やめるのはやめろと訴えている。ジーノは胸がきゅんとして、思わず耳介を甘噛みした。
「あっ……」
「可愛いなぁ、なんだかいじめたくなっちゃうよ」
それでも、ジーノがいつもの調子で余裕を見せていたのもここまでだった。何故なら女性の経験は数あるものの、男とは初めてだったからだ。目鼻も口も性差がないが、いわゆる肝心な例の場所が。
(どうしよう……ザッキーはもちろんあてにならないし、調べたとはいえ実践となると……)
ジーノは赤崎が大好きだった。食べてしまいたいと思うほどだ。それでも男のそれに触れることに、全く抵抗がないわけではなかった。それにいくら同意の上とはいえ、ジーノには強い罪悪感があった。
(女性経験もないくせに初めてを男の僕にだなんて、ザッキーったら大胆っていうか、もの知らずっていうか)
「……王子?」
全霊の信頼をささげて見上げるあどけない男に、ジーノの中の悪魔が囁く。
(いいなぁ、この初心な感じ……ひどいことして、泣かせたい)
するりと下腹部に手を伸ばすと、ほんのり形を成していた。
(おっと、当たり前とはいえ、ちょっと驚き……)
ジーノは目の前にいるこの男に、性欲があることにあらためて気付く。
「ザッキーの精通って何歳頃?」
「!?」
それは素朴な疑問だった。いざことに及ぶこの段階でも、ジーノの中にある赤崎像と性とがいまいち、結び付いていなかったのだ。
「気持ちよくなる方法、どうやって覚えたの?」
「そ、そんなこと……」
そっと、手のひらで優しく包めば、生き物のように鎌首をもたげた。自分の愛撫によって明快な反応が見られる。それは今までにない経験だった。
(うわ、なにこれ。すっごく楽しい)
何が赤崎に起きているのか理解出来るのは、ジーノが同じ男だからだ。
「ちょっと見せて」
「駄っ……」
赤崎はそれなりに抵抗したが、力が入らず無駄だった。大きく足を広げられて、しげしげと見ながら弄られた。ジーノの指先はとても器用で、それが故に大いに焦らされてしまう。
「う、う……」
羞恥のあまり腕で顔を覆い、それでも快感を求めて腰が浮いた。人肌を知らない体が綺麗で、淫らとのコントラストがジーノの目には強烈だった。
「ザッキーって、初心な顔してエッチだね。一人でする時もこんななの?」
「ちが……それは、王子がっ、アッ!ああっ」
もう、初めての戸惑いはジーノにはなかった。我慢しきれず漏らす声が、赤崎の赤裸々な乱心が、躊躇の一切を払しょくさせた。これはこの世で誰も見たことがない、ジーノのためだけのショーだった。
(このまま続けてたら、ザッキー、本当に射精するのかな。僕、それすっごく見たいんだけど)
小刻みに赤崎をこすり上げれば、すすり泣きながら腰を振った。
「王子、王子っ……」
切迫した息が吸うばかりになっていくので、ジーノもまた自分のことのように興奮した。
「いいよ、ザッキー。イクところ見せて?」
強く握りこんで更に追い詰めると、赤崎の動きも激しくなって、リズミカルな律動を二人で続けて、あっという間に激しく達した。ビクビクと全身を痙攣させながら、快感の衝撃のあまり嗚咽している。
「う……あ……」
ジーノは赤崎の流す精と涙に、この上もない充実を感じた。
(すっごく綺麗……僕のザッキー)
深い愛情と感謝を込めて、その一筋にキスをした。
呼吸の仕方を忘れた様子の赤崎だったが、少しずつ落ち着きを取り戻した。ジーノの労わりのキスのおかげだった。
「大丈夫かい?」
「……まあ、なんとか」
「それはよかった」
可愛い、ともう一度キスをした。そうして赤崎の前髪を指で掻き上げて、意味深な目でこう続けた。
「じゃあ、もう少し頑張ってもらえるかな?」
赤崎は再び身を強張らせた。
*
もちろん、赤崎もまたわからないなりに、いわゆる下調べを行っていた。男同士の性行為には、色々な形態が存在する。やるか、やられるか、それもあったが、そもそもそれのないカップルもある。今日という日を迎えるにあたり、相談しておくべきことだった。赤崎はジーノが切り出すのを待っていたが、結局今に至るまでそのままだった。なまじ耳年増な赤崎なので、土壇場で頭を抱えることになる。
(頑張ってって言われても、一体どうすればいいんだろう)
どんなことでも対応できるよう、体を綺麗にはしておいた。それでもジーノが何を望むか、その場で判断するしかなかった。
(さっき一回イっちまったしなぁ……してくれって言われてもすぐに勃つのかな)
キスをしながら考え込んだ。考え込んでもわからなかった。
(よし、とりあえずあれだな。まずは王子がしてくれたみたいに俺も王子にしてあげるとして……次に王子がどう出てくるか、一つずつ確認していくっきゃねぇ)
いざ、と、赤崎が手を伸ばすと、ふいにジーノがこう言った。
「入れていい?」
思わず頓狂な声で返事をしたので、ジーノがビックリ目で赤崎を見ている。
「えっと……あの……もしかして、そういうの、嫌?だった?」
「いや!ちがっ、つまり」
「てっきり僕……ごめん、勝手な思い込みで。もしかしなくても君が思ってたのは逆だったん……」
ブンブンと首を振って否定しながら、赤崎が慌ててジーノに言った。
「だから違いますって!そりゃあもう、俺、そのためにケツの穴ん中まで、これでもかってくらいちゃんと綺麗にして……」
はっと、余計なことまで口走ったことに気付き、赤崎が両手で口を塞ぐ。
「……」
「いや、だから……」
「……」
「そうじゃないかな、とは。俺も、まあ……、ただ、そういうの、しない系かな?とかも、想定してたもんだから」
「そうなんだ」
「はあ、まあ……つか、しろって言われたら、ちょっと、その、ちゃんとしてあげられっかな、とか、は……その、俺、あれだから」
「あれって、童貞だからって意味?」
「!……そ、そうっス。おっしゃる通りで……だから、なんつうか、こう、ばっちこい!ッス」
チュ、と鼻先にキスを受けて、赤崎はなんとも言えない心境だった。
(馬鹿!馬鹿!俺の馬鹿!)
「なるほどね、君の混乱の意味もよくわかったよ。僕達言葉足らずだったね」
「いやいや、滅相もない」
「色々、考えてくれていたんだね。ごめん、気付いてあげられなくて」
*
思い合う気持ちを再確認して、仕切り直しのキスをした。ドキドキしながら構えていると、ジーノの指先がするすると。
(うわ、来たよ、本当に)
円を描くように周辺を彷徨い、くすぐったくて身を捩る。ふと手を止めてジーノがじっと見るので、
「いや、違う、嫌がってんじゃなくて、なんかムズムズして」
と言い訳をする。
「そうだよね。こんなところ触られることなんて、あんまりないし。ちょっと待ってて」
ジーノが身を乗り出して何かに手を伸ばすので、赤崎が不思議そうに質問をした。
「王子、それは?」
「ん?これ?ローションだよ」
「!」
当然その存在を知ってはいたが、実物をまじまじと見たのは初めてだった。いわゆるアダルトグッズと赤崎の大好きなあこがれの人。衝撃的なツーショットだった。
「何?急にどうしたの?変な顔して」
「なんでもないッス!」
「ザッキー、ねぇ」
「しつこい、いいから!続き!」
「だって」
いちゃいちゃとジーノが赤崎に絡めば、結局観念する羽目になる。
「……あー!だから!王子がそういうの持ってる姿が、めっちゃエッチだなって!」
「!」
「わっ!?」
「可愛い!ザッキーったらもう可愛すぎ!」
くしゅくしゅと頭を撫でられて、文字通り星降るようなキスの雨。
「たまんないなぁ、早く君としちゃいたい」
いそいそと液を手のひらに取って、
「エッチなの、一杯つけてあげるね?」
「そういう、余計なこと言わないの!」
「♪」
ご機嫌なジーノが言った通り、赤崎は前にも後ろにも塗りたくられた。ぬるぬるとした初めての感触に、再び息が荒くなる。
「っ!」
ジーノの指がうごめく蛇のように、赤崎の内部に入り込む。出たり入ったりするだけでなく、時折中をかき回される。
「んっ」
自分でも洗う時にさんざんやったが、全然違う感触だった。自分の内側を自由にされることは、とても恐ろしいことだった。でも、それを何のためにするのかを思えば、我慢すべき恐怖だった。
「痛い?ザッキー、大丈夫?」
「だいじょう、ぶ……ッス」
「そう?じゃあ……」
「くっ!」
二本目の指先が押し入ってくる時、赤崎は思わず息を止めた。
(きっつぅ……)
どうしても閉じてしまう目を無理矢理開けて、誰がこれをしているのか確認をする。額に汗する美しい人が、食い入るようにそこを見ている。
(王子……)
赤崎の辛さがわかるのか、時々もう一つの手で前をまさぐる。けれども快と不快がないまぜになって、中和されるわけではなかった。
「ぐぅっ!!」
三本目のそれが侵入を果たす時、とうとう赤崎は叫んでしまった。ジーノの慎重は目を見張るものがあったが、それでも初日でそこまで慣らすには無理があった。
(痛っ……でも、もう少しの我慢……)
固い赤崎の小さな蕾が、少しずつジーノの指によって広げられていく。ローションでぐしょぐしょになったそこはほんのり僅かに赤みを帯びて、ジーノを誘うようにヒクついている。
「……う、ぁ……」
もはや手塩にかけて変化したそこは、ジーノにとって性器以外の何物でもなかった。前も、後ろも、とても魅力的で、赤崎の体の虜になった。だから我慢の限界はもうすぐだった。
おもむろに赤崎をうつ伏せにさせて、片膝を曲げろと合図をする。
「最初は、こうしたら一番負担がないらしいから」
赤崎は大人しく指示に従った。
「ザッキー、無理そうだったらちゃんと言ってね?」
コクコクと、しおらしく頷いた。
あらためて親指と人差し指で穴を露出されると、再び赤崎は目を瞑った。背中から圧し掛かられる重みの後に、そっとあてがわれる何かの感触。紆余曲折があったものの、待望の瞬間はすぐそこだった。
*
「痛ってええ!!!!」
その時、赤崎は大いに叫んだ。
「無理無理!!!王子!!こら!離せよ!!」
悲鳴を上げながらズリズリと逃げるも、ジーノがぶら下がるように追いかける。ちょっとしたレスリングの試合のようだった。
「大丈夫、最初の方さえ入っちゃえばあとは、だから」
「馬鹿ぁ!!!裂ける!!!ケツが裂けるからヤダ!!!」
「ちょっと黙ってて!」
「あんた、藪の歯医者かよ!!痛いって言えって言ったじゃねぇか!!言ったら止めろよ!!頭沸いてんのか!??」
「うるさいうるさい!」
「鬼!!悪魔!!!許さねぇから!!!」
「許さないのはこっちだよ!せっかくの初めてなのに、その言い方はあんまりだろう!?ちょっとぐらいは我慢してしかるべきじゃない!?」
「これが、ちょっととか、ふっざけんな!やめだ、やめだ!こんなの物理的に無理だって絶対!あんたの、ともかく無駄にデカすぎんだよ!」
ジーノの髪の毛を引き千切らんばかりに、掴んで体から剥がそうとする。それでも敵はさるもの、負けることなく、赤崎を抑えつけて続けようとする。
「動くなって言ってるでしょう!?本当にお尻が破けちゃっても知らないよ!?」
「ぎゃあああ!!」
最後はもう経験の差の違いで、ズン、と奥まで入れられてしまった。
「ああ、ザッキーの、すっごい締め付け……」
ジーノが甘い声を漏らせば、赤崎は泡を吹きながら白目を剥いた。
*
「もう二度とごめんだから」
意識を取り戻した赤崎の言い分は、さもありなんなものだった。
「そんなこと言わないでよ、冷たいなぁ」
「冷たかろうが何だろうが、どうでもいいです。つか、どの口が言うっていう気分っスね」
「最後の方、ちゃっかりもう一回イったくせに……」
「は!?なんか言いました!?」
「いや、別に」
けんもほろろとはこのことだ。さすがのジーノもしょげていた。
*
当然そんな日々は長くはなかった。
「やっぱり少し変だと思う」
「何がッスか!?」
「僕達こんなに好きあっているんだよ?いちゃいちゃ出来ないなんて辛すぎる」
おさわり禁止から一週間。
「それで済まないからこうなってんでしょう?自業自得なんだから拗ねないでください」
「お泊りは合意の上だったじゃない」
「あんたは中止に合意してくれませんでしたけどね」
「辛くても、相手のためを思えば簡単に諦めないのが愛じゃないかな」
「いけしゃあしゃあと、よくもまあ……あの後、俺のケツがどうなったか理解してます!?」
「知らないよそんなの。だって見せてくれないんだもの」
「当たり前だ!」
「ねーぇー、ザッキー?」
「可愛い顔しても駄目!」
「だって……」
「甘えても駄目!」
「いい加減もう許してよ、お願いだから」
「ちょ、だからキスもハグも禁止だって言っ……」
「♪」
やっぱり実力行使されれば、赤崎はジーノに敵わなかった。
*
「今日は成り行き上泊まることになったけど、絶対一緒には寝ませんからね!?」
「もっともっと時間を掛ければ大丈夫だったと思うんだよね。あとは、慣れ?」
「おい、王子、ちゃんと人の話を聞けよ」
「訓練っていうか、あんまりにも時間が経つとまた大変になると思う」
「だからね?俺はもう二度と」
「二人で一から愛を育む。なんだかすっごくロマンチックだよねぇ?」
「何も育む予定なんて、ありませんから」
「えー?ザッキー、もったいないよ。お尻で感じるようになるとすごいんだってよ?君、そういうエッチなのに興味あるでしょう?」
「勝手に話を進めるな、おいって!待っ」
「ザッキー、いいこと、しよう?」
「しませんって!」
「ねぇーえー?」
「ちょ、キス、ハグ、禁止だって、何度言えば……ん……」
「だあって、ザッキーの開発、しぃ~たぁ~いぃ~~」
「駄目だって、王子、ん、んん……♥こらっ……♥」
やっぱり実力を行使されれば、とことんジーノに弱い赤崎であった。
