そよ風ロマンス第4章(さざ波コンフルエント2)
【16103文字】
そよ風ロマンスシリーズの第4章。
ジーノ視点。特殊性癖にさせ過ぎたきらいがありますが……ジーノは自分を真人間と信じ切っている設定で、変態ぶりが赤裸々になりどんどん自分で混乱してます。「百戦錬磨の恋愛童貞」VS「処女童貞の淫乱天使」
ここで終わればメリバですね。まあ、当然ながら終わりません。次は5章そよ風ロマンス1です。一応本編扱いになるのかな。起承転結の転です。
「や、何スか……それ」
「これ?入れて欲しいってあんまり言うから」
「え……ちがっ、ちがう、王子、ちがっ」
「シ、静かに」
僕達はセックスしなかった。ただ、それ以外は結構なんでもやった。彼は従順な好き者で、僕は彼を虐めるのが趣味なので。
「……嫌です。俺そういうの……」
「そうだねぇ、今日はこれにしてみようか」
怯えるザッキーの足腰は立たない。きっと本気で怖がっていて、それでも期待の本音も見えている。
「痛くしないよ、大丈夫」
アルコールティッシュで手を滅菌し、カテーテルにキシロカインを丁寧に塗る。その様を見て震えながらも、ごくりと生唾を飲んでいた。ザッキーは真性の変態だ。
「瞬きしないで、よく見てて」
慎ましやかな縦の割れ目を指先で少し開いて、管の先を優しく当てる。素直で可愛いザッキーは、泣きそうな顔でそれを見ていた。
「ほら、君に入っていくよ」
「痛っ」
「そう?まだ薬が効かないのかな」
痛みというより恐怖だろう。注射も怖いと言っていた。そんな子供みたいなザッキーに、全部見ていろと残酷を言う。
「今、これくらい中に入ってる」
カテーテルが入っていた空の袋を近づけて、わざわざ長さを比べて言った。気持ちがいいかと確認すれば、痛い、抜いて、と涙が零れる。リクエスト通りにしてやれば口から今度は喘ぎが漏れた。
「抜く時の方が気持ちいい?」
「ちが、んんっ……」
もう一度ゆっくりと入れていく。薬を多めにしたせいか挿入は順調に行われ、ようやく先が根元に届いた。
「ここからは少しカーブする。動かないでね、絶対に」
挿入の角度を変化させる。ザッキーは言われた通りじっとしていた。それでもヒクヒクと内腿の筋肉が勝手に引き攣っているようだった。
「ひっ……、あ」
ザッキーの反応が変化していく。恐怖の陰にある快感か。それとも恐怖が快感か、わなわなと体を震わせる。リスクがあるので慎重に。
「本当にいいのはもっと奥」
「やっ、あっ」
「どんな感じ?」
問う前にザッキーはその首を露わに仰け反らせ、息を止めて硬直していた。
「イッちゃった?早いね、ふぅん、結構いいもんなんだ」
「や、もぅ、抜い、あっ」
珍しくザッキーの爪が肩に食い込む。それでも僕は刺激を続けた。
「あっ、や、王子っ、おねがっ、駄っ、んんっ」
硬直と痙攣はずっと続いた。小さく管を動かすとザッキーは益々無様になった。理性が完全に折れていくその顔は、何度見ても見飽きない。
「気持ちいいかい?良かったね」
もうザッキーは喋れなかった。刺激に涙を滲ませて、ビクビクと達したままでいた。蟻の巣を突くみたいにそこを虐めて、液が漏れると嬉しくなった。良くない感情と思いながらも、二人でひそひそ悪さを重ねて、それに溺れる日々だった。
射精の快感がすぐおさまるのは、快楽に耐えられないせいという。いつの日か彼を壊すだろうか。いやもう壊した後なのか。
「そんなにいいの」
怯えも恐怖も失って、結局今日も溺れていった。自我を失くして幸せそうで、僕は救いと誤認して、何度もそれに嫌悪を覚えた。僕は彼の渇望に加勢して、屈服させているだけなのだ。彼は完全に支配下で、涙と涎をつらつら垂らし、快楽に溺れ泥酔している。後ろで達する絶頂みたいに、けれど毒を吐きだす感覚みたいに、責め苦は散々彼をいたぶる。オルガスムスから抜け出せないまま、子どものようにしがみつく。
息すら忘れた姿に見惚れて、はっと気付いて刺激を緩めた。混沌が彼の命を連れ去る、そんな馬鹿げた戦慄だった。
「もう、ザッキー、イき過ぎ」
何故この日々は続くのだろう。不器用なくせにザッキーは、僕の背中を押し過ぎる。
「大丈夫?ちゃんと生きてる?」
彼は僕を拒絶している。わかった上で付き合っていた。孤独と痛みを忘れるために、より深い傷を求められ、僕は嬉々としてそれを与えた。彼も僕も間違っていて、でも、わかっていても止まれなかった。
