ジノザキDay2014赤崎編
【69956文字】
両片思いの赤崎目線ジノザキ。少々ポエム調?乙女崎寄り。
ジーノ月間突入!ジノザキデー間近!という事で1日1追記を目標に15日まで30お題消化しました。10/1~10/15連載。お題の順番はバラバラ、無理強いな消化もアリ。ジーノの捏造彼女、赤崎の捏造仲間など出てきます注意。
1. Holding hands/手を繋ぐ
彼のあの指先をことさら強く意識するのがこのゴールの後の彼のあの仕草だ。すらりと長い指先が真っ青な空を指し示す時、彼のその美しくも男性的な趣のあるフォルムが影となって青々としたピッチに浮かび上がる。
そんな彼の美しい手のひらは軽やかな蝶のように様々な場面でチームメイトの肩に、背に、頬に、髪に舞い踊る。かと思えば、彼の強い勝利への欲求を示すような豪胆な重さを持ってズシリと圧し掛かる場合もある。
残念ながら未だ俺はあれに触れられたことがない。一体それはどんなだろう、と。その瞬間を夢想した数は限りなく、それでも彼はまるでわざと触れることを避けているかのように俺の傍を素通りする。唯一不自然さがない接触となりうる円陣を組む時でさえ、彼は、そして彼の指先は、遠く、遠く。
(王子のあの指先……熱いのかな、それとも冷たいんだろうか)
今日も楽しそうに彼は笑う。可愛い、可愛いと言いながら彼の可愛い猟犬を愛でながら肩を、背を、頬を、髪を。ほら、もうあんなにも密接に。
(あんたの飼い犬は椿だけじゃ……)
言えない一言。それを欲していることすら口に出来ず、俺はただただ彼の指先を眺めている。馬鹿な話だ。こんなくだらないことで俺は密かにチリチリと胸を痛めている。
そんな折、もうこうしてかの人と視線が行きかうのはもう何度目のことだろうか。その度、王子の表情から笑顔が消え、こちらの様子を窺うような表情に変わる。ジッと息を潜めるように彼は俺を見ている。見られている。
だからこうしてもう何度も俺は目を逸らす。合うたびに、甘えたければキミが自らの意思で歩いてこっちに来ればいいのに、と鼻で笑われるような感じがして。来いって?そんなのただの妄想だ。別にあの人は俺の事など考えていない。俺が睨むように見つめているから、その視線に気づいて疑問を感じているだけだ。
(俺がもし傍に近寄っていったら、あの人が椿にするように俺に楽しげに笑って触れてくれるとでも?まさか)
もし本当に触れても、触れなくても。そんな事には関係なく、何も物言わぬ彼の唇が、いつも、とても、俺は怖かった。優しさにしろ、冷たさにしろ、近づいて初めてわかる彼の様々な反応一つ、俺にはとても恐ろしい事だった。だから当然、自ら歩み寄る事など到底出来るわけがなかった。
2. Cuddling somewhere/どこかから抱きしめる
王子の姿勢はとてもよく、10番を背負ってピッチに立つ時の彼の威厳はまた格別だ。今日も彼にボールが渡った瞬間、王子は軽やかに周りの選手の動きを止めて、それはそれは美しいモーションで強烈なシュートを放った。
こんな風に彼の足がボールに触れる前から、まるでそれが元から決定事項であったかのようにボールがゴールに吸い込まれていくのがわかる時がある。そんな時俺は試合中であるというのに、彼の魅力に飲み込まれるように棒立ちになってしまう。苦しいのに息が止まる。心の中の何かが弾ける。
(ああ、まただ……)
爆発する様な大歓声。王子に集まるチームメイト。今日は世良さんが後ろから王子に飛びついていた。そんなことを今までどの選手もやったことがなかっただろうに、何気に凄いななどと苦笑いを浮かべながら、ああ、また、と。ああ、また、俺は出遅れた、と。
指先をも触れたことのない俺の夢想。こんな時、俺は、王子、貴方を抱き締めてみたい。あなたの背中はどんなだろうか?肩は?腕は?髪の感触、汗の匂い。貴方の体温。王子のあの美しいプレイを繰り出すその肉体の秘密に、俺はいつも触れてみたくて、感じてみたくて。
何度も何度も夢想しながら、やっぱり今日もその土壇場ですっかり王子の姿に魅せられ、俺はボンヤリとその背を眺めていることしか出来なかった。
ピッチのほんの数メートル先にいるチームメイト。なのにまるで手の届きそうにない程遠い人。眩しくてとても正視していられない、まるで太陽のような人。
