それ、聞いちゃうの?
R18じゃないけど小学生レベルの下品ネタです。今日はジノクロ(ジノ+クロ)の日なんですね。さっき気が付いて慌てて書いてみました。この二人の絡み、好きです。なんともニッチな組み合わせな感じですね。あと、せっかくだからちょっとだけ昨日の分のジノ+ドリ的なネタも無理矢理混ぜ込んでみました。
自販機前のベンチで赤崎と椿が休んでいると、向こうからジーノが歩いてきた。
「もー、クロエったら、いい加減しつこいなぁ」
今日の練習中の紅白戦での守備について、黒田からお小言を食らっている様子。いつもは馬耳東風なジーノも何故か今日に限ってうんざり顔で、可愛い飼い犬達がいるのを発見してコレ幸いと言わんばかりにこちらに向かって近づいてきた。
「何飲んでるの?それって美味しい?」
全く興味もないだろうに無理矢理話題を作っては黒田の攻撃をかわそうとしていた。そんな時、突然椿がジーノに一言。
「あの、今思ったんすけど。なんで王子はクロさんのこと、“クロエ”って呼ぶんですか?」
「ブッ!おまッ!」
それを聞いた赤崎は盛大に飲み差しのジュースを噴き出した。せき込む赤崎。ジーノはしれっとした顔でこう答えた。
「それ、聞いちゃうの?」
「馬鹿野郎、椿!そんなんどーでもいーだろ!ジーノ、てめぇ!黙ってろよお前!許さねーからなッ!」
「もー、うるさいなぁー。しかし、さすがボクの飼い犬だね~。なんか二人とも言うことが…」
黒田は真っ赤になって怒鳴り散らしながらジーノの胸倉を掴んで締め上げ、ジーノは明後日の方向に視線を逸らしながらニヤニヤ笑っていた。
「え?あの…スイマセン、俺なんかいけないこと聞いちゃっ」
「あのね?清水の監督が昔ブラジル人だったせいだよ?じゃなければ今も…」
「おい!ジーノ!」
「おっと」
まさに首根っこひっつかまえてと表現するような形でジーノは黒田に引き摺られるように連れて行かれてしまった。全然悪びれもせずにチラチラっと指先でバイバイの仕草をしてチャ~オ、チャオチャオチャ~オ~♪と気さくにお別れの挨拶をしながら。
* * *
咳き込みまくっていた赤崎がタオルで口元などを拭き拭き、ようやく落ち着いた時だった。
「なんか、お前ってすげーな…」
「え?ザキさん、俺なんかしましたか?」
オロオロしている椿に赤崎は苦笑い。
「いや、お前は来たばっかだからしゃーねぇっちゃしゃーねぇんだけど。いやー、ビックリしたわ。」
「…なんとなく、なんでかなーって思ってただけだったんですけど…。そんなタブーな話だなんて俺全然思わな」
「あぁ、違う違う。タブーとかそこまで大げさな話じゃねぇから」
「でも…」
「俺もお前と同じ質問したんだよ、前に」
意味が解らないながらも複雑な表情のまま固まってしまった椿が可哀そうになった赤崎はやんわりと説明を始めた。
「あのな?昔は王子、クロさんの事、クーロって呼んでたんだ。で、スギさんのことはカミーチャって。イタリアでCulo e camiciaって言葉があって日本語で言うところの仲良しって意味だって言ってさ」
「それのどこがいけないんですか?」
「最初はクロさん達もなんとなく気に入っててさ、何か月かそんな感じだったんだけど。でも、なんか王子が妙にニヤニヤしたり、突然爆笑したりしてるからさ。少し変だなとはクロさんも思ってたらしいよ?んで、ある日ドリさんが王子にいい加減にしといてやれよって。」
「ドリさんが?」
「清水に居た頃監督がブラジル人だったせいもあって、ドリさんってポルトガル語とかスペイン語とかイタリア語とか、ともかくあの辺の言葉、結構わかるんだよ。」
「へー、ドリさんってすごい…」
「まー、ともかくそういうことで。王子、なんだわかってたの?とか言ってさ。んで、ずっと黙ってるなんて人が悪いねーなんて笑って。それからクロさん、ドリさんに詰め寄って意味を理解したらしくってさ。その後からなんだってよ。王子がクロって言わないでクロエって呼ぶようになったのは」
経緯はわかれども意味がさっぱりわからない。キョトンとした顔の椿に向かって赤崎は声を潜めてこう言った。
「お前、黙っとけよ?みんながみんな知ってるネタじゃねーらしいから。」
「は…はい…」
「Culo e camiciaってさ、直訳するとケツとシャツって意味なんだって。つまり…」
「あ…」
「王子が入団して最初の頃からだからな。あのあだ名癖。数か月間とはいえ知らずにケツ呼ばわりし続けられたクロさんの気持ち考えるとな…もうなんも言えねぇよ…」
「うわぁ…」
「ついでだから言っておくけど。王子がやたらクロさんに“カッカしないで”って言ってるのもやべぇやつだからな?真似すんなよ?」
「あ、やたらクロさんが怒りますよね。王子笑ってるけど。」
「カッカってクソって意味だから。ケツとかクソとか。澄ました顔しやがってあの人ときたら全く…」
椿は憧れの貴族の思わぬ下品さを今日知った。不思議にそれが新しい魅力に感じてしまったのは勿論椿の欲目のせいだった。
* * *
遠くの方からジーノと黒田の声がする。
「もー、クロエ!そんなにカッカ、カッカ、しないでよぉ~!」
「だー!!!てめぇ、それ言ったら殺すって言ったろ!!こんなとこで出さねぇよ!馬鹿が!」
ともあれ、今日もETUはとても平和だ。
