マジっスか王子、そうだよザッキー
【2510文字】
某作品のコメント欄で「自分をド攻めだと思ってる受けちゃん」の素晴らしさについて気付かされまして、でも書こうとしたら難しかったです……。ちょっとジーノが受け仕草的な態度に見えかねない描写が続きますが全部はただ攻め誤認赤崎目線の妄想(演技ですらないただの幸せ能天気ジーノの素、というか「一生懸命ド攻めだと思ってる受けちゃん可愛いなぁ♡食べたい♡でもやっぱ勿体ない♡」なだけ)です。でも駄目な人には駄目かも注意。
付き合い始めて数か月。
「おやすみザッキー」
チュ、と優しい額へのキス。赤崎はとうとうジーノに言った。
「そろそろ、その……もう少しこう……」
*
ある日赤崎が思いを告げて、奇跡みたいだ、とジーノは笑った。からかわれているような気がして、けれどあれから数か月。
――奇跡みたい
繰り返されるジーノの言葉。そこにはいつでも愛と真心。会う度、無限に募らせて、確かめさせて?と抱き締めてきて、祈るみたいな頬へのキスで、奇跡みたい、とまたひとつ、だから赤崎は限界だった。
「そういう感じ、すっごく意外で。いや、別に嫌とかじゃないんですけど。むしろ、逆に萌えますけども」
ジーノの愛は、まるで心酔。赤い頭巾をすっぽり被った可愛い少女のあどけなさ、毒舌と傲慢のいつもの姿は一体どこに行ったやら。不思議そうに見ているジーノに、口籠りつつも赤崎は。
「えと、そろそろ、そのいいんじゃねぇかと。つか、そろそろいいっスか?」
キュ、とジーノの手を握り。
「ベロチューだとか、その先……も?」
ジーノはベタベタ触りたがったが、赤崎が試みようとする度、上手い具合にいつも躱した。気のせいにするのは無理だった。だからこうして捕まえて、直談判をするしかなかった。
「もしかして俺とそういうのはナシ系的な?一回確認しておきたくて」
ブロマンス的なジーノの愛には、日々を『ありえない』ことだと戸惑う、心の揺れが見て取れた。確実にそこには揺れがあり、いけなさそうで、いけそうで、赤崎はたまらなくなっていくのだ。
「大丈夫です。優しくします。いきなり一気にどうこうだとか、俺もそこまで鬼でもねぇし」
「……」
「初めてのことっていくつになっても……結構緊張しますしね?」
瞬きひとつしないジーノに、赤崎は静かに口づけをした。
「今日は味見程度でいいんで。そしたら大人しく眠ります」
*
ジーノの唇は柔らかく、そこから伝わってくるものがある。
(いける……のか?)
求めるみたいに口を開け、そこから零れる吐息は甘い。抱き返してくる腕が教える。いつものようなハグ(愛)ではなくて、絡みついてくる束縛(性愛)で、ゾワゾワとそこから総毛立ち、キスは少しずつ深まっていく。初めて互いを味わい合って、赤崎は理性が飛びそうになり、一旦唇を離そうと、でも。
(ん……?)
離れようとしたのだ一旦。でもその赤崎をジーノが追って、チラリと見えたその頬はうっすらと熱に上気しており、唇はほんのり濡れていて、まさに疑いようもなくその目は欲しいと雄弁に。
赤崎の理性はもう駄目だった。駄目にならないわけがなかった。
音の鳴るようなキスをした。それこそ何度も、数限りなく。時々相手の名前を言って、微笑み、再び舌を絡めて、口づけるごとに愛を交わして、互いを、今を、確認し合った。やがてそこに手を掛けるのは、流れの中では当然で、でも小さくも明確なジーノの拒絶にハッとする。突然、空気が不穏になった。途端、胸が苦しくなった。
(やべ、ちょっとやり過ぎた……?)
ジーノはそもそも異性愛者で、見えない障壁が存在している。
「ごめん、嫌とかそうじゃなく……」
「いや、わかってます調子に乗り過ぎました」
「違う、聞いて」
ひるむ赤崎をキュッと抱き締め、消え入るような小さな声で。
「君に触られたらイっちゃいそうで」
ヒソヒソと耳元で囁く声は、むしろ赤崎をこそ危なくさせて、そして次にはとどめの一言。
「ごめんね?僕がしてもいい?君のと一緒に僕が自分で」
