いいよねぇ秋
ジノバキの日ですね。小噺3本。始まった瞬間からオチがわかる、そんなベタベタな典型ネタであればあるほどヒーヒー笑ってしまう。膿んでるのかもしれません。
いいよねぇ梨
秋風そよぐ練習場。ジーノは飼い犬二匹従えて、のんびり芝生で一休み。
「ん~、やっぱりいいよねぇ、秋月は」
ボンヤリ遠くを見つめるジーノの目線の先に、真昼の半月がチョコンと浮かんでいた。椿はそれを見ながら返事をする。
「そうですね、王子」
「少し大きめなのがいいね」
「そうですか?言われてみれば確かにそんな気もしますね」
「ちょっと緻密で甘い感じなのもよくて」
「…緻密で甘い?へぇ…王子って詩人ですねぇ」
「え?バッキーったら、何言って…」
一瞬少し驚いたみたいに目をクリッと見開いて、フッと目を細めて優しく笑うジーノ。椿はそれが眩しく感じて少し恥ずかしい気持ちになる。フワフワ夢心地。椿はジーノと他愛無い話をしている時、いつもなんだか気持ちが安らぐ。
「す…素敵です。王子」
今のこの気持ちを伝えたくて、真っ赤な顔をして椿は小さく呟いた。上手くいえなくてなんだかドキドキしてしまって、ギュッと肩を竦めてしまった。ジーノはそんな椿の肩を抱き寄せて、頭をコツンと合わせてこう言った。
「フフ、真っ赤。か~わいい」
すりすりと頬同士が触れあうので、椿は益々ドキドキしてしまう。ジーノはともかくスキンシップが大好きで、四六時中こうやって飼い犬達を愛玩するのだ。赤崎はため息を付きながらこう呟いた。
「椿。わかってるだろうとは思うんだけどさ。王子、また喰いもんの話してるんだからな?」
「え?」
「ボクね、にっこりって品種も気に入ってる。いいよね、にっこりって。ネーミングが可愛い。かおりっていうのは女の子みたいだよね。ちょっと林檎みたいな味がしてさ。」
梨の話だった。
