お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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心の迷い?ないよね

今日はジノガミの日ですね。これも下ネタ下品系の話。3人がガミさん達とカラオケ行ったら楽しそうだなーって思いながら書きました。いつにも増して自分だけ楽しい感じ満載…。ザッキーがどんな目にあったのかはお察しください。

        バキとジノザキ

 今日は午前練の日。

「タンビー達。今日もいつものところでいいかな?」
「あー、わかったよジーノ!後でまたな!」

 午後からジーノは丹波と石神の二人となにやら待ち合わせをしているらしい。

「ザキさん…」
「ん?」
「なんか意外です。王子もチームメイトと一緒に遊んだりすることあるんスね。しかもなんか珍しい組み合わせっていうか」
「あぁ、あれか?多分月一でやってる王子主催のカラオケ大会だな」
「え!?王子ってカラオケとかするんスか!?しかも主催??なんか想像もつかな」

 驚いた椿は思わず大声を出した。帰りかけていたジーノは立ち止まってニッコリ笑って椿に話しかける。

「あぁそうか、誘ったことなかったっけ?バッキーももし午後予定なかったらどう?楽しいよ?」
「いいンスか?」
「勿論。歓迎するよ?」

 ジーノに笑いかけられて椿は思わず喜んだ。それを見て石神も笑って椿に話しかけてきた。基本的に先輩後輩間で強い軋轢がないところがETUのいいところだ。

「椿、じゃあ俺らと一緒に行こうぜ?」
「あ、よろしくお願いします!」
「じゃあ、エスコートは二人にお任せしちゃおうかな?バッキー、ボク一旦車おきに帰るからまた後でね?」

 軽やかに立ち去るジーノを尻目に、素直でかわいい態度の椿に丹波と石神が抱きついてヤイヤイ。

「ねぇご存知?カラオケって言ってもあの方の行きつけのお店はそんじょそこらのお店とは大違いでしてよ?」
「え?そうなンスか?」
「タンさんの言うとおりよ?そりゃあもうデラックスなんだから。広すぎるくらいだから一人でも参加メンバーが増えたら私達も嬉しいワッ」
「デラックス…。ああでもそんな気は…」
「お食事もルーム料金も全部彼のおごりだから心配はいらなくってよ?」
「え…い…いいんスかね、そういうの?」
「美味しいわよぉ?お酒もどんなお高いのだって頼んで平気なんですって」
「あ…あの、ザキさんは行かないンスか?」
「いかねぇよ。いくらうまい飯付きだからってあんなんにつき合わされたら食欲失せるわ」

 きゅっと顔をしかめる赤崎を見て、椿は少し不安になった。

「…え…もしかして、王子って音痴だったりするんですか?」
「「ブッ!」」

 周りのメンバーが噴き出した。

「あ…あのッ」
「安心しろ椿。寧ろめっちゃウメェよ。あの人にCDでも出させたらめっちゃ売れるかもな」
「じゃ、なんで食欲…」
「行けばわかるよ」

 ご愁傷様、と一声かけて椿の肩をポンッと叩き赤崎は帰っていった。戸惑う椿の背中を丹波と石神はバンバン叩きながら、大丈夫大丈夫心配ない、赤崎はカラオケ自体が苦手なんだってさ、と笑っていた。

   *  *  *

 3人が向かったのはとある会員制のカラオケルーム。一時期ネットでも評判になったあそこのものにとても似ていた。高級でありながら部屋の中にあるソファは不必要に大きすぎ。そして何故かガラス張りのシャワールーム併設。

「な?椿、すげぇだろ?」
「す…すごいッス。デラックス以前に謎の設計思想というか、これカラオケが主目的に使われる部屋じゃないような…」
「いーのいーの。俺らはカラオケが主目的だから。」

 面食らっている椿に丹波と石神が優しくフォローを入れている。先ほど言った不必要に大きすぎるソファに沈むジーノもまた優しげにこう語りかけた。

「ごめんねぇ?ボク、こういうとこしか知らなくて。前にタンビー達に連れてってもらったとこ、タバコくさくて辛かったからさ。ここは空調も結構しっかりしているし、この部屋みたいにいくつか禁煙ルームがあるんだよ。だから最近はみんなに合わせてもらってるの」
「そうだったンスか?別に謝る必要、ないッスから!俺もそういう部屋って時々息苦しい時もあるし」
「よかった…。せっかくなんだもの。気分よく楽しみたいよね?」

 おいでおいでをしながらジーノは椿に、早速だけどなんか飲む?とメニューを差し出した。恐縮しながら隣に座ると、沢山の美しいカクテルの写真が並んでいた。丹波と石神は、俺らはいつものねーよろしくー、と言いながら早速曲を入力し始めていた。少しの時間も勿体ないらしい。

 部屋のムードが違うと同じカラオケでも全然違う。椿は隣に優雅に座っているジーノを眺めながら、まるで王子の部屋にいる雰囲気だ、などとドキドキしていた。まだ見ぬジーノのプライベートルームに関して日頃あれこれ想像してみたことはあったけれど、遊びに来る場所がこんなすごいところなら実際住んでる部屋はもっとすごいのだろうなと思った。

「じゃ、バッキーはボクの次ね?」
「あ、はい!やっぱ歌うのとかって順番なんですね。でも俺そんな沢山歌える曲あるかどうか…」
「フフフ、心配いらないよ?みんなおんなじ歌を歌うんだから」
「え?」
「3回も聴けばきっと歌えるよね?楽しみだなー、バッキーが歌うの」
「え?え?いや、でもそんなこと言われてもあんまり俺そういう」

 こそこそ椿がジーノと話をしている間にあらかた曲をセットし終わったのか石神がマイクの衛生用のカバーを外しながら歌う準備をし始めた。

「じゃ!最初の曲はいつもどおりこれから!」

 丹波がバチーンとウインクして言った。

「4回ずつ入力してあるから。おい椿、ちゃんと聴いとけよ?」

 石神が真面目な顔をしてマイクを持って小指を立てているのでよくわからないままに、コクコクと椿は頷いた。

「フフ、この曲ボクの思い出の曲なんだ。タンビーに無理矢理誘われたコンパだったけど、行ってよかったよ」
「そうそう、あの日はどうしても!っていう女の子がいてさ~。ホントしつこくって。2次会だけでも来てもらえて助かったよ」
「顔出すだけのつもりだったんだけどね」
「途中で帰るかと思ったら最後までいてくれてさ。」
「そうそう、俺もあんまり無口だったから機嫌悪いのかと思ってハラハラしてたんだけど。実はすんげー楽しんでくれてたって知って嬉しかった」
「ごめんね?なんだか心奪われちゃってたんだよ。百聞は一見にしかずって本当だねぇ?」
「そ、そうなんッスか?王子ってタンさんに誘われるまでカラオケ未経験とか?」
「うん」
「へー」
「世の中に素敵な曲が一杯あるんだなってあの日、知ってさ?音楽の楽しみが一つ広がった。それからなんだ。こうして時々みんなで集まって、自分が見つけてきた歌をそれぞれ披露しあうようになったのは。フフフ」
「ギャハ!俺達、こんなに趣味合うとは思わなかったよな?」
「そうだねぇ?なんだか共通点を見つけると連携もうまくいく気がするしいいことだよね」

 何事もサッカーのプレイに繋がっていく。そんな先輩3人の話を聞いていると椿もまた、俺もがんばらなきゃ、と気持ちを新たにするのだった。

   *  *  *

 ところで自分も歌うとなると曲が気になる。お前も好きなの入れればいいから、と丹波に渡された入力機を使って、まず最初にしたのは石神が入れた今から歌うはずの曲のチェックだった。

「……」

 知らない曲ばかりだった。でもなんだかタイトルが変なような…。

「あの…」
「ん?」
「さっき思い出の曲って言ってましたよね?この曲…」
「うん」

「“世界が回る”?」
「ボクにはちょっとわからない感覚だけど、普通の人はこういう感じでボクの意識がどうなのか理解してみればいいと思うんだよね。大切なのは歌詞の通り“心の迷いを振り切る”ことさ。だからタンビー達はボクと同じ世界に生きてる感じっていうか?シンパシー?人生観っていうの?彼らは迷い、ないよね。なんとなく少し哲学的な意味も含んだ歌で…」

「そうですか、俺は人生全部迷いみたいなところがあるんで勉強になります。でも次のはちょっと想像つかないんですけど“牛乳トイレットペーパー海苔”も哲学的な歌ですか?」
「これは愛についての歌だね。人と人との繋がりっていう大切な…これはもう人類愛に近い普遍的な…」

「この“息子よ”っておんなじユニットの曲なんですね」
「この歌は本当に深いね。キミも騙されちゃいけないよ?」

 質問してもさっぱり意味が解らない。椿は混乱してきた。

「“金太の大冒険”って、なんかタイトルみてもなんだか想像が…」
「金太がお姫様を助けてあちこち大冒険する歌だよ」

「“オールナイトロング”でしかもこれ、“おやすみバージョン”って書いてるのはなんか意味があるんですか?」
「世界中の男性達が寝る前のやすらぎの一時にふと気が付いて感じ入る出来事さ」

「あの…これ、“ヘーコキましたね”ってちょっとタイトルからして口に出して言いにくいんですけど、まさか」
「大丈夫。この歌は見ればわかるように加害者じゃなくて被害を受けた側の心理をより繊細に表現した情緒の深い…」

   *  *  *

 翌日。

「椿、大丈夫か?顔色悪いぞ」
「ッス。ザキさん。昨日…食欲失せるだけじゃなく寝不足になっちゃいました」
「お疲れ」
「あの…ザキさんもあれ、歌わされたんですか?」
「歌う訳ねぇだろ」
「ハハ…ですよね…」
「まあ、歌うの勘弁してもらうのにひどい目にあわされたけどな。王子に。」
「え?」
「いや、なんでもねぇよ」
「俺、寝る時右側下にする癖があるからもうあの歌が頭から離れなくなっちゃって…」
「あー、あのチンポジの歌か。あれは強烈だった」
「…王子の“やすらぎの一時にふと気が付いて感じ入る出来事”って表現がもうどうしようも頭から離れなくて。もうこれからは毎晩毎晩気になってしょうがなくなりそうで…」
「きついな」

 がっくりと肩を落としている椿を見ていると赤崎も一緒に気が滅入ってきて溜息が漏れた。

「まぁ、一回はいつか行かなきゃいけなかったろうから。お前王子に可愛がられてるしな。ちなみに、絶対二人っきりであそこ行くなよ?」
「え?」
「絶対だぞ?お前の為だ。わかったな?あそこにはやべぇもんが沢山…」
「沢山ってなにが」
「あ!やっべ!お前早く用意しないと間に合わねぇぞ?先行ってっから!」

 よくわからなくて椿がやばいものは何なのか質問しようとしたのだが、その質問から逃げ出すように赤崎は足早に去って行ってしまった。時計を見れば慌てる程の時間でもなかったけれど確かに遅めだったので椿は着替えを始めたのだった。

   *  *  *

 赤崎は椿から逃げ出すように廊下を出たところでバッタリとジーノと出くわした。

「おや?ザッキーおはよう」
「ッス」
「ねぇ、また一緒にカラオケ行こうよ。誘っても来てくれないんだもの、つまんない」
「二度といかねぇよッ!」
「別にカラオケ嫌いなら、歌わなくてもいいよ?」
「カラオケ誘ってんじゃねーのかよ!あんた一体何しに行くつもりで!」
「え~?そりゃあ…」
「言わなくていいッス!」
「失礼だなぁ。キミが質問するからボクは」
「さっさと着替えないとまた遅刻ッスよ!」
「えっらそ~」
「早く!行けって!」
「こわ」

 肩を竦めてニヤつきながら見送るジーノを赤崎は思いっきり睨み付けてからグランドに走り去っていったのだった。

   *  *  *

(おまけ)

自販機前でまた赤崎と椿は二人並んでしゃべっていた。

「で、クボちゃんが今度誕生日だって言うんで…」
「ふーん」
「なんかしてあげたいけどプレゼント手渡しってわけにもいかないし、宅配で届けるのもなんか違うかなって。第一住所なんか聞いてなかったから…」
「大げさにならない程度にって言ったらやっぱ電話かけておめでとうって言うくらいしか…」

「やあ!バッキー!ボクにいい案があるよ?」
「あ!王子!」

だしぬけに声がしたので振り向くといつのまにか王子がすぐ傍に立っていた。この目立つ男がこんなに地味に人に近付くことが出来るとは、と赤崎は少し嫌な予感がした。どうやら今の話をこっそり聞いていたらしい。

「そういう時はやっぱり歌じゃない?」
「え…、えと…俺…そういうのは別に…」
「遠慮しないでいいよ!」
「遠慮とかそういうんじゃないんです、なんていうか、えっと…いいにくいんですけど王子と俺とでは曲の趣味が…」
「大丈夫大丈夫、普通のハッピーバースデーの歌だから」
「そ、そうですか?」
「ん、2・3’Sのハッピーバースデーって歌だよ?可愛い歌だからきっと彼も喜ぶよ」

 赤崎が睨んでこう言った。

「あんたそれ椿に、“セ〇クス”って言わせたいだけじゃねーかよ」

「やっぱりザッキーってば何気にボクが知ってる歌全部知ってるよね?趣味あうんだなぁ、嬉しいよ。なんだったらボクの誕生日にキミが歌ってくれても…」

「うっせぇ!歌わねぇよ!!」

今日も平和。

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(各曲の補足)

      バキとジノザキ