ベターハーフ
【8446文字】
昔ジノザキデー用に書いていて、いくらなんでもお祝いにこれは特殊過ぎるとボツにしてお蔵入りしていたお話。個人的には大好きな雨ネタを設定に入れた気に入っている話です。雨ネタはもう多分書きやめるまでこすり続けるゾ!
以下、みもふたもないネタバレ閲覧注意事項
飼い主が人外で途中で死にます。何年かしたら番犬も死にます。飼い主も悲惨なら飼い犬も気の毒。大いに人を選ぶお話。悪趣味な人以外読まないほうがいいです。
裂いて戻した魂は一度僕に濡れたがために、彼を変な存在にした。雨の日、僕らは互いを感じて、ふと繋がってしまうのだ。もちろん彼には自覚がなかった。それでも彼は僕を感じて、パスを感じてプレイを繋いだ。良くないことだと僕は思った。これは悪質なルール違反で、でも知らぬ彼は無邪気に喜び、僕はその分胸を痛めた。
僕は修復を試みた。沁みた雨を取り除き、裂けた魂をひとつに戻そう。でも失敗ばかりが続いた。僕が魂に触れるほど触れた場所から新たに沁み込む。雨は流れて沁み込む定めで、それを乾かすは陽の仕事。そんなことなど知っていたのに、僕は愚かの限りを尽くした。
(ザッキー、このままじゃ君が壊れる)
だからとうとう音を上げて、僕はザッキーにこう言った。
「彼は醜いプレイをするけど、学ぶべきところもあると思うよ」
どうか誰か治して欲しい。可哀想な、可愛いあの子を。僕は初めて空に祈った。どうか、どうか、お願いしますと。僕には心も魂もなく、だから僕には神もいなくて、それでも、どうか、と切に祈った。誰か助けてお願いだからと。
*
僕の願いが届いただろうか、彼に沁み込んだ僕が渇いて、通じ合うことも少なくなった。僕は大層幸せだった。今彼のために摂理を捻じ曲げ、崩れ行く魂を僕が救った。
(良かった……)
その時僕に何が起きるか、それもまた明白なことだった。
(疲れたなぁ……笑えるね)
僕は僕のすべてを使った。僕の過ちを消すために。僕の心のようなもの、あたかも魂のようなもの、僕から僕を引いていったら、最後に何が残るだろう。でもこれは別に死ではない。僕は生き物ではないし。母も父もそれを感じて、昨日挨拶に来てくれた。僕もクラブにサヨナラをした。これからすべての痕跡を消す。僕はとてつもない馬鹿をして、でもそれも後悔出来ない馬鹿で、悪くない終わり方だと思う。僕は愛を誓わずに逝く。君がとても好きだから。
