お花結び

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ジノザキDay2014ジーノ編

【77054文字】
後半戦のジーノ視点バージョン。赤崎編はお題消化がテーマでしたが、こちらはすれ違いがテーマの意地悪?オマケ物語です。ラスト、ハッピーエンドではありますが途中えげつない(強姦未遂)描写がございます。R18設定としましたが人によってはR18Gかも?黒い展開が苦手な方は閲覧熟慮願います。10/17~10/31連載

2. due/ドゥーエ

 着替えるはずの練習着がくしゃくしゃになっているのを見た時、ボクはちょっとしたヒステリーを起こしてしまった。
 ところどころ神経質な部分を持つ気分屋なボクにとって、こんなちっぽけな出来事でさえ十分コンディションが崩れる原因になるのだ。この自分の中にある厄介な激しやすい気性をコントロールする為、少しでも気持ちの算段を崩してもらいたくなくてボクは常にスタッフに対して細やかな対応を重ねている。だからこれは良好な関係にある彼らスタッフの仕業ではなく、その他の人間の故意の所作。しかも何てことはない遊び半分の出来心。嫉妬されやすいボクだから、こういう事にはとても慣れてる。ダメージを受けてしまう事を悟られれば尚更状況が悪化する事をボクはちゃんと知っていたし、素知らぬ顔をするのも板についた。なのに今日はなんだかとても我慢がならなかった。笑うは愚か、表情を消す事すら。込上げる激情のままに体が震える。

 何故ならやった人間に心当たりがあるせいだ。そんなの、一人一人の目を見ればすぐにわかる。

 気分を害され戻ってこれなくなってしまったボクを宥めてくれでもすればいいものを、ボクの駄犬はやはり遠くで複雑な顔をして、ただ馬鹿みたいにボクを観察するだけだった。焦れて悪さをした事を、自白して謝る気すらないらしい。謝る事が難しいのは知っているけれど、ボクは往生際の悪いいじけた人間が大嫌い。憎んでいると言ってもいい。全く躾がなっていない。やった事の重大さをわかっていない。つまり、

(ボクを慕うキミはその実、ボクを全然理解していない)

 自分でさえ手を焼くこの気難しいボクの扱い方を、周りのみんなは間違える。ボクの中にあるケアすべき肝心な部分をわかってくれない。誰一人。何一つ。これっぽっちも。

(ハッ、説明してまでわかってもらいたくもないけどね)

 繰り返しになるけれど、プライドの高いボクなので、涼やかな顔をしながら人知れず失望する事には慣れている。けど、そんなあまねく繰り返される失望にすら今は失望、思った以上に気落ちした。その事に尚更イライラして、

「服ひとつの事で馬鹿馬鹿しい?ああ、実際ボクもそう思う!」

 吐き捨てるように皆に告げては、久しぶりにサボタージュ。いつもならクラブハウスを出たらすぐさま気持ちがプライベートモードに切り替わるのに、何故かこの日の憤りは一日中ついぞおさまる事がなかった。そして、この痛みをボクは引き摺る事となった。

– – – – –

 突然ひょんな事から駄犬がさりげなくボクに話しかけてきたので、しめしめ、と思いながらボクは密やかに網を張る。そもそも今の不調は、彼がボクに植えたもの。そう、ボクは彼を根深く根深く、まるで蛇のように恨んでいた。

(見てろよ?あんな風にボクの機嫌を損ねた事を、心の底から後悔させてやる)

 粉の掛け方はさじ加減が大事。ばれないように、でもそうと気取られぬ程度には大袈裟に。ボクはこういう遊びにもとても長けた人間なので、案の定、憐れな駄犬はいつもと様子の違うボクに少々戸惑いを覚えたようだ。

(もっとボクを見つめていいよ?だって興味があるんだろう?)

 これでいい。最初の呼び水は味気ない程にさりげなく。どうとでもとれる咀嚼しきれない言葉の意味を、何度も何度も反芻させて悩むといい。今は彼のプライベートタイムをホンの僅かに削り取れば万々歳。

(大丈夫、ほら怖がらないで、いい子だね)

 そうやって僅かな希望のようなもので微細に彼の心を揺らし、最後には振れる振り子の作用そのままに、その、人としての大切な価値観の主軸をポッキリと折ってやろう。それがボクの計画だ。
 憧れの人間におっかなびっくり近づいて、そうして彼が迂闊に警戒を解いた瞬間、ボクが綺麗に梯子を外してあげる。彼は温かいミルクと部屋の幸せを知ってその後、寒空の下に逆戻り。想像しただけでその時の彼がどんな顔になるのか楽しみだ。
 え?チームメイト?そんなものなんてたかが数年の関係性で、ボクにはどうでもいい事だ。偶然同じ店に立ち寄った客同士のような間柄で、心遣いが必要かい?それに運が良ければ試練の挫折が人生における大事なキャリアに、まあ、変わる可能性は殆どないけど。

 そういうわけで今日、またひとつボクの意地悪なホビー(暇潰し)が始まった。

(おいでおいでボクの子犬。怖い罠が待ってるよ)