お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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鬼交譚1

【29150文字】
ジノザキデーですね(呼ばれてなくてもジャジャジャジャーン)。MEMOでも書きましたが以前書いてた中編?を今日から連載していきます。はい、まだ全然終わっていないんです。
鬼とか出てきますがオカルトというよりファンタジー寄りの転生ものです。環境は原作のものを使っていますがほぼ創作に近いくらい特殊・虚偽・ねつ造です。ご留意ください。

20200923
投稿単位を考え直しある程度まとめて再UPしてみました。これまでの投稿文は赤崎幼児期~再会、ジーノ幼児期~、新規分が初エチシーン含む今現在

「本当にあんたは昔から勝手なんスよ」
文句を言いながらトマトを頬張り、ジーノはそんな赤崎に目を細める。
「昔って……知り合ってまだ数年じゃないか」
変なことを言ったと自分でも感じ、赤崎は首を傾げながらキュウリを齧る。
(そうだよ、王子は勝手に消えちまったあの鬼じゃない。つか、あれ?今、俺そういう意味で言ったんでもないような)
「食欲、旺盛だね」
「それはあんたも同じでしょ」
「違いない。とてもいいことだ」
「ウエイト管理、出来ればね」
「人生は楽しんで然るべきだよ。ほら、お肉好きでしょう?僕の分も食べるかい?」
「誘惑しないでくださいよっ!ちゃんと考えて食ってんだから!」
ジーノにはこういう人の悪さがある。
「本当はもう一口くらい欲しいよね。我慢はストレス。不健康だ」
心を器用に揺さぶる甘言は、奇妙な説得力まである。言い負かされるのが嫌なのに、手数が増えれば追い詰められる。
「あーもう、いいの!やめろって、本気でいらねぇから!」
「自然発生する欲望にこそ生の意義があるというのに。君は変に我慢し過ぎだ。なんのために生きてるの?」
「じゃあ、ストレスも俺に必要なんスよ!欲しいけどいらねぇってなっちまうんだし!」
「ふむ、それも一理ある」
たかが減らず口を妙に肯定して、ジーノが苦笑する。
「……あんた、馬鹿にしてますね」
「そんなことは。なるほどねって」
納得出来ない赤崎はやけくそ気分で、差し出されたローストビーフに食らいつく。どちらにしてもむしゃくしゃするなら、味わってしまうに限ると思う。
「おや?」
「こうしなきゃあんたしつこいッスから!その分動けばいいだけですし!」
そう、ジーノは時に駄々っ子で、そしていつでもその内容は赤崎を甘やかしたいの一言に尽きる。
「ふふ、美味しいかい?」
「そりゃあね?買ってきたのは俺ッスから。待ってただけのあんたが得意げなのは、これっぽっちもわかりません!」
「またつれないことを言う」
「ほら、そういうあんたは手が止まってますよ。王子の本能が買いに行かせた肉でしょう!?」
「うーん、どうだったかなぁ」
「はぁ!?」
「ま、そうだね。僕も食べたかったかもしれない」
まるで飼い犬に食べさせたかったと言わんばかりのその表情に、赤崎はドキリとしてしまう。今日は何も考えずに、肉をたらふく食べたかった。でもそうもいかない自制心が、ギラギラの焼肉でなく赤身のローストビーフを求めていたのだ。
(う、まただ……なんで王子は)
ジーノは赤崎の負の感情に敏感であり、解消する能力にも長けていた。赤崎は『鬼』の気配をひっそり感じ、ふるふると小さく首を振る。だがそんなことにもおかまいなしに、ジーノは窮することを言う。
「今日は色々大変だ。ローストビーフは一枚減るし、カロリー消費の手伝いもだし」
「は?」
ウインクとキスを投げてよこして、
「食べ終わったら、先シャワー行っていいよ」
と嘯いている。意味を察して赤崎はかっと頬を染めて、今一度目を細めてジーノが言う。
「ああ、でも頑張るのは君の方か。よろしく今日は任せたよ」
「ご、ごちそうさまっ!」
立ち上がりかちゃかちゃと食器を重ねて、逃げ出すようにキッチンに急ぐ。その咽を扼して背をうつように、ジーノは更に追い打ちをかけた。
「だって、それでいいんでしょう?」
「ほらくっちゃべってないで!食い終わる前に腐っちまう!」
「はーい。怖いんだから」
プレイに乗り切れなかったこんな日は、欲望の制御が難しい。食欲が満たされた後に欲しいものを、簡単に差し出す不思議な男。
(ったく、王子はいつも、なんだってこう……)

*

「痛いよ、やだ、鼻の頭、噛まないで」
「その天狗の鼻、少しは削れてもいいかと思って」
「ザッキー、本当にひどい」
ひどいのは王子の方だと赤崎は言って、腰を抑えて呻いている。
「なにが『今晩頑張るのは君の方』だ、くそったれ無茶苦茶しやがって、俺のケツを一体なんだと」
「大丈夫?」
患部をチェックしようと伸ばした手をひっぱたかれて、ジーノは、
「痛ったぁ」
と大げさに手を振り笑ったのだが、赤崎はその仕草や態度に軋みを感じた。どこか遠く、覇気がなく、見えない空虚が存在していた。
(あ……?これ駄目なやつ……)
痛がったり文句をつけたりするのも珍しくはない。それでも暗がりに薄っすらと姿が沈んで見えるような夜は、隔たりが二人の間に生じていた。
(また上手く陽気食えずじまいか……最近ちょっと頻度高いなぁ……)
妄想なのは理解していて、けれどジーノとの関係性の中にはそう考えることで整理がつく奇妙な現象が多々あった。行為をしても出来ていない、そう感じてしまう場合があるのだ。改めて考えるまでもなく、それは赤崎の調子と連動している。
(王子も物足りねぇっつうんだったら、はっきり俺に言やぁいいのに……どうしてこういう時に限って)
餓えは、ジーノを優しく甘くした。傍若無人、我儘、気まま、なのに無理も絶対させない。特徴的な饒舌も消え、目には不自然な微笑が悲し気、黙って抱き締めてくるだけで、それ以上は赤崎に、だから、尚更。
「立てねぇし動けねぇしもう駄目ッス、もう、もう、めっちゃ痛ぇ」
「……」
「だから労わってくださいよ、王子」
そう、だから大根役者さながらの迷演技をせねばならない羽目にもなる。
(あー、顔熱い……)
赤崎は自分で言いながら、恥ずかしくなって目を閉じた。ジーノは小さく返事をして、髪をゆっくり撫でたりする。
(王子……なんで……あんたはどうしてそう……)
ぎゅっと閉じていた瞼の力が、知らず知らず緩んでいく。触れている肌の温かみ、思いのこもった長い指。伝わるものは蜜のように甘く蕩けて絡みつく。
(気持ちいい……)
膜のような隔たりが闇に溶け始め、ぽう、と朧げに灯る陽炎。錯覚だとはわかっていても、暗がりに浮かんで見える姿は美的だ。
「そっか。今日は甘えたかったのか」
「べ、別に俺はっ」
「いいよ、一杯キスをしよう。だからもっと僕を感じて?」
「……っ」
ゆっくりと圧し掛かられる重たさを感じたのち、唇に心地よい柔らかさが触れる。緊張が少しずつ解けていくとともに、ジーノの舌先がやわやわと口の中を弄び始めた。
こうして舌を絡める合間に囁かれると、その響きすら快楽の燃料になる。過敏な赤崎を気遣いながら、ジーノは緩やかな愛撫を続けた。
「いいね、こういうの僕も結構好きだよ」
その言葉には思いやりよりも愉悦があった。
「君を労わるの、とても好き」
即物的な性快楽とはまた違う、延々と続く営みのようなもの。
(あ、めっちゃいい……体、とろける……)
ジーノの腕の巣の中で、再び欲望の火が揺らめく。
「ん?出したくなったのかい?いいよ僕がしてあげる」
緩慢な指先が問いかけるように、ゆるゆると触れたり包み込んだりしている。簡単に昂ぶっていく体を持て余しながら、赤崎はやっとの思いで口を開いた。
「王子、」
「ん?」
「その……」
口にするのも憚られる、本能の欲するがままの言葉だった。それでも赤崎は自らの、欲望に怯えている。理性を踏みにじる時の痛みに身悶え、涙してまで乞うていた。その健気さをこそ抱き締めたく思うジーノは、絆されキスをしそっと囁く。
「見せて」
はぁ、はぁ、と甘い吐息を吐きつつ、赤崎は借りてきた猫のように大人しくしている。そのタイミングで足を開かせると、中から白濁を溢れさせた卑猥な光景が露わになった。吸い付くように蠢く後孔。
「さっき、し過ぎて少し赤いよ?」
「いい……っ、だいじょ、ぶッス」
ジーノは少しでも負担がないよう、たっぷりとローションを塗り広げた。差し込み中にも注ぎ込むと赤崎は声を漏らしていやいやをした。
「動かないで」
すぐさま漏れ出るその羞恥に、体を染める淫らな姿。
「ちょっと入れ過ぎちゃった」
ジーノの指がそれを塗り込めると、小さな声でジーノを呼ぶ。快楽を追うのか逃げるのか、揺れるように腰を浮かせて、自我はもはやないようだった。
「かわいい。ザッキー、今度はちゃんと気持ちいい?」
子供のような純粋さ、娼婦のようなあざとい淫らさ。無心に欲しがるその腰つきを、ジーノは慈しむように両手で支える。
「あ、ああ、あ、」
ゆっくりと慎重に腰を落とせば、恍惚に浸った声が喉から漏れた。
「ザッキー、気持ちいい?」
「……っ」
「言って?ちゃんと気持ちいい?」
じわじわと焦らすように入り込んで、ジーノは耳元で囁いた。
「そう……ならもっと『気持ちいい』って言ってごらん」
全身を朱に染めて最初は小さく、求められるに従い次第に涙を流しながら善がり呟く。
「あ、イく……イっ……」
「かわいい、じゃあ、ほらこっちにおいで」
「っ!?」
必死で耐えていた赤崎の手を取り、起き上がらせて膝に乗せる。一気に挿入の深度が深まり、その刺激だけで赤崎は軽く達した。
「こういうのもっと好きでしょう?」
「あっ、今しゃべら、っぁ、イっ、」
迷い子のように縋りついて、翻弄されてまだビクンビクンと体が跳ねる。話しかけられる振動が甘イキを簡単に誘発し続け、そんな息絶え絶えの体を少しずつ下から揺さぶってやる。
「……うご、ああっ、おねが、苦、し」
「こんなに善くなれるのに」
ビクビクと身悶える赤崎を、あやしながらやわやわと刺激してやる。全体重を預けて膝に乗っているので、どんどん挿入は深くなる。
「う、あぁ!」
「すごい、今日はこんな奥の方まで」
「ああ、あ、っ、入っ……!」
「うん、前に苦手って言ってたね」
しがみつく体が刺激に耐えかねてずるりと剥がれて、ジーノはその腰を腕で支えて仰け反るような体勢にさせる。不安に赤崎の腕は空を舞ったが、どうすることも出来なかった。
「ぅあっ!」
結合部を押し付けるような状況になり、体内に激痛が走る。それでも抽挿を繰り返された。
「教えてザッキー、本当に苦手?」
「あ、だ、そ、こ、やぇ、てっ」
呂律が回らないよれよれな赤崎の体を支えながら痛みを感じるであろう箇所を刺激すると、合わせるように呻き声をあげている。我慢出来ず漏れ出る赤崎のそれは、ジーノの言うように明らかに善がり声であった。
「いいんだよ好きでも。我慢しなくていいんだザッキー」
「あ、あ……おう、じ……いっ、」
肉体的本能、精神的欲望。嬉しくてそして悲しくて、涙が愛液のようにぽつりと零れる。ジーノは蜜を垂らすように、愛し子に渇望と充実をとめどなく与える。
「さっきよりも上手に出来てる」
「お、、じっ、」
「イきたい?それともこのままもっと?」
首を縦にも横にも降って、赤崎はその瞬間に怯えていた。ジーノはもう一度覆いかぶさるようにしながら赤崎に寄り添い、あやす様に赤崎を導いてやった。
 あられもない喘ぎ声が漏れて、ジーノはそれに合わせて激しく穿つ。時々赤崎を器用に揉みしだき、また、中にある弱点の数々も追い詰めるようにいたぶり続ける。
「ねぇ、そろそろイっていい?」
怖くて、気持ちがよくて、堪えきれなくて、今日も押し切られ決壊し、とうとう重大な過失のように赤崎の恍惚への時が満つ。
「~~!」
壊れるように昇華する赤崎を、すべてで守るようにジーノが掻き抱く。それでも引き攣る体を力づくで抑え込んで、自らも息を止めてその時を迎えた。
(ああ、今日すごいかも)
感じているのは快楽というより至福。赤崎もジーノを前への自分の無力に、どこかしら安堵をおぼえていた。
「よかった、さっきとは全然……ねぇ、ちゃんと満足出来た?」
ジーノは今一度赤崎を抱き締め、汗滲む額に口づけをした。

*

 赤崎がすべてを受け入れ、ジーノが甘い息を吐く時、ほの暗い闇に明かりが灯り、ゆったりとした夜になる。
「人生を謳歌してるねぇ、君は」
「……王子には到底かないませんよ」
静かな湖面のさざ波の、その底にある見えない激流。こんな夜の闇の中では、その存在を皮膚で感じる。
「王子?」
「ん?ああ……そうか。ううん、そういうのはゆっくりでいい」
「え?」
ジーノにぎゅっと抱き締められると赤崎の意識が遠くなる。
「気楽に行こう?今日は上手に出来たしね」
「気楽……?」
「うん」
瞼にそっとキスを落とされ、記憶は儚く消えていく。
「またねザッキー、いい夢を」
(あれ……?おう、じ……俺今なんか言いいかけ……)
「お休み、眠って?ぐっすり」
(……)

肥料で育つ苗木のように、ジーノは赤崎を育み慈しむ。

「ザッキー、少しずつでいいんだよ。だから丈夫に、しっかり咲いて?」

「時間はあるんだ、気長に待つよ」

「だって今更焦っても、ね?ザッキー」