鬼交譚1
【29150文字】
ジノザキデーですね(呼ばれてなくてもジャジャジャジャーン)。MEMOでも書きましたが以前書いてた中編?を今日から連載していきます。はい、まだ全然終わっていないんです。
鬼とか出てきますがオカルトというよりファンタジー寄りの転生ものです。環境は原作のものを使っていますがほぼ創作に近いくらい特殊・虚偽・ねつ造です。ご留意ください。
20200923
投稿単位を考え直しある程度まとめて再UPしてみました。これまでの投稿文は赤崎幼児期~再会、ジーノ幼児期~、新規分が初エチシーン含む今現在
「怖がらないで、もっと欲しがっていいんだよ?」
繰り返されるジーノの言葉は、赤崎の中のトリガーになった。欲しがれの一言で我を失い、重たい体でまた目を覚ます。
(王子、満足出来たかな)
欲望を煽られ自我を失うのはとても怖い。それでも満ち足りて眠る姿を朝見る度に、生じた恐怖は掠れてしまう。
「ふ、緩んだ顔もイケメンか」
赤崎は何が正解かわからなくなる。快楽を与えて搾取を行う、ジーノはある意味悪夢そのもの。恐怖ごと赤崎を掻き抱き、そのまますべてをズタズタにして、開いた裂け目をひっそり閉じる。
「王子……」
正気に戻って広がる安堵に、自分に対する嫌悪が滲む。いつまでも行為を怖がる自分。ジーノを恐れる自分が醜い。
(もっと王子を好きになりたい。当たり前に抱き合いたい……)
毎回己を手放して、戻されその度ホッとして、幸せそうに眠る美に、その幸せに、悲しい気持ちに、心が復元しきれない。ジーノがいないととっくに駄目で、なのに今が、未来が重い。
「王子」
「……ん」
切ない気持ちで抱きつくと、意識もないのに抱き返す。ゆっくりでいいと常に嘯く。意志などままならないというのに。
(……善意なのか、悪意なのか……なぁ、王子どっちだよ)
これではまるで嬲り殺し。逃げられもせず、まだ死ねない。
(いっそ……なんて思うのに。なんで俺を連れてかない?)
*
「おはよう、ザッキー」
目覚める姿も美しく、切なさのあまり顔を背ける。
「こら」
「わっ」
ジーノは強く抱きついて、くしゅくしゅと背中に頬を擦り寄せた。軽く歯を立てキスをして、ぺろりと舐めて少し吸う。糧を得た朝はいつもこうだ。歌うように機嫌がいい。
「おはよ?ザッキー。いい朝だ」
身を起こしてこうしてのぞき込まれて、返事をせねば再びキスが降る。体は昨日を覚えているので、そのまま再びなんて日もあり、だから今日も必死な思いで、やっとやっとで挨拶をする。
「……お、は……ようございます」
「ふふ、うん、おはよ」
ニ、三、おまけに口づけをして、ジーノは嬉しそうに微笑んでいる。
(……あぁ、なんて朝)
キスはまるで甘い果物。肌は温もり。吐息は安らぎ。嬉しく、切なく、呪いは深く、いろんな感情がないまぜのまま、さとられたくない赤崎は、ジーノをぎゅっと抱き返し、自分の顔を隠してしまった。
「おやおや、朝から甘えん坊だ」
「……あんたがね。俺は付き合って、やっ、てるだけ……なんで……」
「ふふ」
ジーノは優しく穏やかで、自然にその身をゆったり預けて、赤崎の自由を許してしまう。口説き口説かれたの話は霧散したまま、愛を語らうこともないまま、それでも全てを晒した朝は、ちょっとした酩酊状態になる。人ならざる空気を纏う、満ちたジーノは輝きが増す。
(王子、また綺麗に……キラキラ、炭酸の泡みたいなシャボン玉みたいな光が王子の周りで生まれて、弾けて……なんて……)
それは微睡の中で見える世界で、はっきり目覚めると消えてしまう。眠ってしまうと見えなくなるので、その加減がとても難しい。
(窓からの日差しの加減だろうけど、本当に綺麗だ王子……)
「……昨日のテレビさぁ」
(綺麗……)
うとうと、少しずつ赤崎の力が緩んでくると、ジーノはよくくだらない話をし始めた。意味がないものほど心地よく、赤崎はこれが好きだった。少しずつ明けていく朝がいい。ゆっくり起きたり寝たりしながら、眺め、そして感じていたい。
(こういう気持ちは俺自身の?それともすっかり餌になってしまって、暗示がかかっているのかな)
