飼い犬と飼い主 7.5沢山遊ぼう
ジーノがザッキーを使ってねっちりどっぷりR-18的に遊んでいるお話の詰め合わせ。7と8の間の7.5的な位置づけのスピンアウトになります。泣ザキが苦手な人はまるっと読み飛ばし出来るように、お好きな人はそこだけ読んでも大丈夫なようにと分離してみました。単品のつもりで読んでもそこそこ平気なはず?悪いジーノと泣ザキがいますので興味ない方は読み飛ばし推奨。
沢山遊ぼう~楽しいね1
二人きりになると王子は、今日も沢山遊ぼうね、と笑う。
今日は午前練。終わってから王子の家で簡単な昼食をとった。片付けを手伝ったらキッチンからリビングのカウチまで二人でテクテク。俺はこの時間がなんとなく好き。彼の背中は不思議だ。ピッチにいる時も普段の時も。何メートル先にいても目の前にいるみたいに燦然と輝くオーラを放っているような時もあれば、熱い日差しの中にそよぐ涼やかな風のような時もある。この家の中にいる彼もまた独特だ。ふんわりとリラックスしている姿は少し儚くも見える。ほんの少し切なくも感じる、王子のこの背中が好きだ。
少し食休み。彼はカウチに座ると同時に後ろからついてきている俺に向かって両手を広げ、おいで、の合図をする。ちょっと戸惑いながら隣に座ると必ずそこで苦笑いを浮かべてため息を付く。じっとみられるのが恥ずかしいので下を向いていると、彼はその指先で俺の耳や頬を触れるか触れないかの微妙なタッチで、俺をひとつひとつ確認をするかのように撫でまわす。あんまりソフトなのでゾクゾクッと鳥肌が立ってしまって、そんな時彼はクスクスと楽しそうに笑うのだ。
「緊張しているね。ボクとのこの遊び、苦手かい?ねぇ。返事してよ。」
「……ンッ」
本当にたったこれだけなのにゾクゾクする。彼はそのままのソフトすぎるタッチで指先を次第に俺の唇に向かわせ、スーッと滑らかに何度も何度も這わせていく。くすぐったくて我慢しきれなくて思わず唇を噛みしめてしまう。そうするとまたクスクスと笑いながらその指は唇から下に降りて顎から首筋に降り、そのままスーッと上に向かってまた耳に戻ってくるのだった。
「じれったいのが好きなの?そんなに我慢して。ほら、力抜いて。そんなに緊張してたらボク、もっとからかいたくなっちゃうよ。」
「……」
「そうそう」
鳥肌は立ったままだったけれど一生懸命肩の力を抜こうとしていると王子は褒めてくれる。そうして指先を俺の顎に移動して、その指先を使って俯いた俺の顔を自分の方に向ける。優しげながら情感のたっぷりとこもった微笑がなんとも魅惑的で、正視できなくて俺は目を逸らすしかない。どうせこの先二人がなにをするのかなんてすっかり暗黙の了解なのに、毎回恥ずかしくてしょうがない気持ちになる。だって王子は俺と遊んでるつもりだけど、俺は王子のことが大好きだからだ。遊ばれたい、愛されたいという、そんな俺の心が彼には丸見えになっていると思うから、やっぱりとても恥ずかくなる。どんな顔をしてたらいいのかわからなくなる。
「王子…あの…」
「キミは抱かれた経験が浅いでしょう?触られることにもっと慣れないと。わかるでしょ?」
反対の手でやんわりと俺の左側の髪を梳きあげるようにしながらキュッと俺の顔を固定し、ゆっくりと唇を寄せてくる。この瞬間がいつもとても緊張して。だって、彼の顔はいつまでたっても俺はドキドキしてしまって、なんというか、これはもはや彼の顔を苦手といってもおかしくないんじゃないかと思うくらいで。
「こらこら、なに?どうしたの?」
「あの…顔…近いッス…王子…」
顔が熱い。きっと赤面してる。王子はそんな俺を見て、またクスクスと笑う。そしてそのままさっきの彼の指先のようにあまりにもソフトなキスをする。彼のやわらかい唇が触れるか触れないか、そんな微妙なタッチで俺の唇を撫でまわす。彼の吐息が熱い。多分俺も。
「……ッ」
「あーあ、もうかわいいなぁ、震えちゃってる。フフフ、ね、キミも唇を左右に動かしたら、スライドキスっていうのになるんだよ?やってみない?お互いの唇だけ使う愛撫。唇って皮膚が薄めで意外と敏感なんだよ?ねぇ、一緒にそんな風に二人で一杯感じ合おうよ。」
「嫌ッス、なんでそんな。」
「そっけないねぇ」
想定内なのか特に機嫌を損ねるまでもなく彼は続ける。今度は舌先で同じようにソフトに俺の唇を舐めはじめるので、俺は思わずまたゾクゾクッと鳥肌を立てた。次に彼がやったのは俺の上唇を彼の唇が包み込むようにするようなキス。次は下唇。チュ、チュ、と何度もそんな音を立てながら、彼はそれを繰り返す。彼はキスが大好きで、こうやってじれったいキスを存分に楽しんでからドンドン深い深い、俺を味わい尽くすようなキスをする。強引じゃなくて、ちょっとじれったくて、こっちからもう少し…なんて思うような、そんなキスを延々と、少しずつ。彼の繊細な技術を駆使した芸術的なキスに俺はいつもいつも身も心も巻き込まれていってしまう。彼はこれでも食休みをしているつもり。でもこんなの俺にとっては全然お休みにならない。
「最近は怖くて震えてるんじゃないよね?キミってノンケなんでしょう?どうして?嫌なのにそんなに気持ちいいの?ボクとのキス。」
彼のキスの舌先がまるでノックのよう。優しいノックのような愛撫に噛みしめていたはずの唇が震えながら次第に緩んでいく。すると開いた隙間から少しずつ彼の舌先が俺の口に入ってくる。一言話しては一舐めして、二言話しては二舐めして。ダンダン頭の芯がボーっとして、そこから出てくる気持ちがいいという俺の感情を、彼が次々に舐めとっていってしまうかのようだ。
「こんな軽いキスだけも、もうこんなにうっとりとしちゃって。駄目だよ?これは前菜。もう少し休憩して、あとでちゃんとシャワー浴びてからね?」
「…んぁ…あ…」
「ね、こういうの好きでしょう?男同士でさ、すっごく悪いことだって思っているよね?こんなの覚えちゃいけないこと。でも大好きなんでしょ?仕込み甲斐があるよ。」
「…ん…」
王子の舌先が俺の唇の裏側や前歯の付け根あたりに蠢いている。嬲るような言葉遣いなのに、ほんの入り口の部分でうろつく舌先も、別のところで俺の体を味わっている彼の指先もとてもとても優しい。彼の心地よい響きを持つ声は、俺の官能の中枢を直撃し続ける。いつもこうして彼は上手に俺の思考を鈍らせていく。キスの愛撫と声の愛撫が交互に俺をあの世界に導いていく。
「もっとキミを頂戴よ、まだまだだよ?足りないんだ、ザッキー、ねぇ、もっとだよ?」
「…ん…あぁ…」
王子は繰り返し繰り返し。ゆっくりとキスをして、一言話し。またのんびりとキスをしてもう一言話し。キスの時間が少しずつ長くなっていく。器用だな、と思う。もう音楽にしか聞こえない。声が言葉ではなく、体の芯に届く愛撫に良く似た振動にしか感じられない。きっと彼もまたその効果を知ってて意味のあるようなないような言葉を呟き続けているのだと思う。長いキスに慣れない俺のための息継ぎなだけではない、これはもう無意識の彼の癖。意識的な次元を超えてしまった、もはや呼吸と同じようなほど自然に身についてしまった彼の戦略の一つなんだと思う。
「ねぇ、おいで?キミの舌先。ボクにもキミのその甘さを味あわせて?ねぇ、聞いてる?一杯一杯、かわいがってあげるからね?いけないこともっと沢山してあげる。だから、もっとだよ?ザッキー」
「ン……」
彼のキスは本当に手慣れていて。少しずつ俺の舌先を招き入れるように誘導する。舌先を絡め一言話し、もう一度絡めては一言話し。俺はもうなすがままの状態なのでそのまま彼に差し出す他なかった。すると、ほんのちょっとのつもりだったのに、王子はそれを彼の舌先と唇で思う存分に弄び始めてしまって。中々終わりにさせてくれなかった。
俺が伸ばした舌先の分だけ彼の舌先が俺の舌の根元まで届く。奥歯の内側のやわい場所を中心に散々味わい尽くすように王子が俺を蹂躙する。快楽が深くて甘くてとても苦しい。たまらない。鼓動が高鳴り、呼吸が乱れ。キスが終わった後に文句を言うと、彼はシレッと、キミって攻撃的な選手なのに攻められるのがとっても好きなんだね、なんて言う。でも、そんな意地悪な彼のキスは本当に優しくて。どんなに苦しくても気持ちがいいことは本当に確かで。俺の状態を本当になにからなにまで把握している彼は、こうやって事ある毎に俺のひそやかな願望に応えていきながら自由自在に俺を操っていく。
「王子…はぁ、もう…」
「なぁに?言うんだよ?ザッキー、もう、なに?聞かせて?ねぇ」
返事のかわりに睨み付けたら、
「そう?お休みはおしまいかい?」
王子は正視できないほど美しくて官能的な笑みを浮かべ、満足そうに俺に言う。彼にねだって俺がもらうのか、俺が差し出して彼にあげるのか、そんなどっちつかずなあの行為が俺の言葉をキッカケにして今から始まる。彼はいつもそうやって次々に俺の欲求を引き出し、溢れる快楽を生み出してはその全部を平らげていってしまうのだ。繰り返し繰り返し彼はこれはいけないことだと言う。確かにそうだと俺も思う。こんなものを覚えさせられてしまっては、どんな人間も彼の虜だ。なにからなにまで、俺のすべては彼のモノだ。
