飼い犬と飼い主 7.5沢山遊ぼう
ジーノがザッキーを使ってねっちりどっぷりR-18的に遊んでいるお話の詰め合わせ。7と8の間の7.5的な位置づけのスピンアウトになります。泣ザキが苦手な人はまるっと読み飛ばし出来るように、お好きな人はそこだけ読んでも大丈夫なようにと分離してみました。単品のつもりで読んでもそこそこ平気なはず?悪いジーノと泣ザキがいますので興味ない方は読み飛ばし推奨。
沢山遊ぼう~なすがまま
「今日の試合、なんだか少しくたびれちゃったんだよね。悪いけどザッキー、ちょっとした前菜を用意してくれない?ね?まだボクはキミに教えてもらってないことだし。」
ベッドに横たわっていたけだるい獣はゆっくりと俺の方を向いてこう呟いた。彼の言葉は暗喩的で時々意味不明だ。俺が王子に教えること?キョトンとした顔をしている俺に向かって彼はこう続けた。
「普段通りでいいからね。さ、見せてよ、キミの自慰。いつもどんな風にしているのか全部言葉で説明しながらするんだよ?」
「!」
当然断ることなどありえないとでも言いたげな指示的な目線。その瞳の奥にはいつにも増して残虐な光が輝いていた。こんな様子の彼に逆らうとどんな目に合うのかも瞬間的に察知した俺はそれだけで体が少し震えはじめていた。彼の前でそんなことを出来るわけがない。そう考えて俺が苦しむことを全部知っている目。そして断ることも出来ないことを全部知っている目。
「説明って言われても…俺最近はそんな余裕も…」
「余裕とかそんな話、別に聞いてないけど。さ、座ってするの?寝そべってするの?やってごらん?」
口調がガラリと冷たいものに変化した。今日の彼はあまり余裕を持たない方の王子だ。多少待つことはしてもほんの些細な抵抗も許さない方の彼。最初の晩の彼に近い彼。
「あ…、す…座って…」
俺はそう言って寝室の床にゆっくりと座った。洋服ではなくバスローブなので胡坐をかくような姿勢になるとあの部分がもろに露出してしまう。思わず手で隠す。王子の目が刺さるように痛く、そんな刺激ですら少し反応してしまう自分の体。
「オカズは?女性のグラビア誌とかそういったものはなにも用意できないから説明ながら妄想でもしてやってみせてよ。」
「……」
最初の夜、王子は俺が彼を使ってこの行為をしていることを全部把握しているよと言っていた。だから今の言葉の陰にはひそかに侮蔑と嘲笑が混ざっている気がする。そのことにあえて触れないワザとらしい彼の言い草に、罪悪感といたたまれなさを感じる。
「へー、キミって右利きなのに左手でするんだねぇ。」
イチイチ心臓が飛び跳ね、あそこも反応してしまう。彼の言葉が絡みついて吐息が俺の局部に触れるかのよう。彼に見られまいとするように自分のモノを手で包み込んで戸惑いながら少しずつ刺激をする。有無を言わさない彼の目線が極当たり前のように窮地に立たせて、絶対に抗うことを許さない。
「ほら、説明。」
「……」
冷たい鋭い王子の声。心と体にざっくりと突き刺さり、あまりの痛さに俺は思わず泣きたくなる。いつもどんな風に?と言われても、今の状況の異常性に頭が混乱してちっとも言葉が出てこない。勝手に心臓がドキドキして体が興奮の色を帯び始めて堪らない。
よせばいいのに俺を見つめているであろう王子の方をチラリと見てしまった。
肩肘をついて枕代わりに横向きにゆったりとリラックスした姿で寝そべっている。羽織っているバスローブの前が大きくはだけており、彼の真っ白い首筋から胸元のラインが薄暗い室内の空間に浮かんでいる。見えるか見えないかギリギリのところには彼の淡い色をした乳首のチラリズム。着替えでもシャワーでも常に彼の裸体と接する機会が沢山ある俺なのに。寧ろ体の大部分を隠した状態で横たわっている彼の姿に激しく動揺してしまう。彼の体はあまりにもベッドにマッチしすぎていて眩暈がする。なぜこうも違う彼のその時々の印象。
「ん…」
彼はおそらく全部わかっている。今、俺が目の前にいる彼の姿にすっかり欲情してしまっていることを。目を逸らして他のことを考えたいのにどうしても彼を見ながら触ってしまう。これは彼に対するリアルタイムの凌辱だ。決して許される行為ではないのに、罪に苦しむ俺を見て彼は笑う。
「ほら、言葉にしてごらん?」
「…はぁ…あッ…」
「ねぇ、言ってよ。何考えてる?」
「ゆる…許して…王子…」
「なにを?」
「すごくつらい、王子…つらい」
彼の願いはなんでも受け入れたい。でも、あまりの背徳さに知らずに涙が浮かんでくる。彼に抱かれるためにベッドに入ることですらやっとやっとな俺なのに、こんな彼を穢すひどいことをする俺の姿を王子自身に晒せだなんて。本当に辛くて仕方がない。彼は残虐な目をしたままそれを寛容に許すだろう。だからこそ、今この瞬間の自分の汚さと醜さが絶望的に憎い。でも彼以外のことを考えながら自らに触れるなど俺には到底出来ないし、彼もまたそんな行為をする俺を許さないだろう。
「本当につらそうだね、キミ…。とてもかわいいよ?」
「もう…いいですか?」
「まさか。何がそんなにつらいのか、まだ聞かせてもらってすらいないというのに。」
「う…、ッ…」
「ほら、口にしてごらん?いいんだよ?懺悔してしまえばキミは楽になれるだろう?」
「あ…王子…、はぁ…そんな、…俺…」
「ボクが楽しめて、キミが荷物を一つ降ろして身軽になれるなんてさ。一挙両得じゃない?」
「王子…でも、あ!」
「全く平気なんだよザッキー。ボクにとってはボクに触られて気持ちがよくなるキミも、ボクを使って気持ちがよくなるキミも全部同じキミなんだから。」
「あ…王子、王子」
こんなこと、したくない。心からそう思っているのに、とてもつらいのに手が次第に勝手に動き出していく。その刺激に口からは彼の名前と吐息が漏れ続け、増え始める射精への期待感に手だけではなく全身が少しずつリズムをとるように揺れ始めてしまう。自分でやっていることなのに口からこぼれるのはこんな言葉。
「やめて、王子、もう、やめて…あ、王子…王子…」
「さあ、自分の力でその苦しみを手放して快楽に変えていくんだザッキー。」
「苦しい、王子…こんな…こと、俺は」
「フフ、もしかしてあれかな?キミのその左手は、ボクの左手というわけなのかい…?クスクス、なるほど…なるほどねぇ…」
「あ!王子…駄目、もう…あ…」
「気持ちがいいかい?」
「あ…、はぁ、ふぁ!」
「ザッキー?聞いているんだよ?気持ちがいいのかい?」
王子の言葉が切りかかる。痛い。王子。ゾクゾクしてしまう。簡単に彼に引きちぎられていく自分の理性をただ見送る他なかった。
「…き…気持ち…」
「ん?なんだい?ちゃんとはっきりボクに聞こえるように言うんだ。」
「気持ち…いい…あ、王子…許して…いい、はぁ、あ、いい…許して…。」
「お利口だね。ホント確かに気持ちよさそうだ。フフフ…大丈夫、泣かなくても。許してあげるよ。」
「王子…許すなんて…そんな!駄目、こんなことを許しては…あ!駄目、出てしまっ!俺、このまま…あ、はぁ!どうしよう…あ…」
涙を流しながら一生懸命手と体の動きを鎮めようとしているのに俺は。どうにもままならなくて自分自身の手の平全体の力でドンドン自分を追い詰めていってしまう。このままでは今にも俺は、彼の見ている目の前で彼の姿を使って絶頂に達してしまう。彼を穢す行為をよりにも寄って彼の目の前で。とまらない自分に絶望を抱えて両目から涙が止めどもなく流れ落ちる。いやだいやだと子どものように首を横に振るのに、それにも増して強い快楽が俺を襲う。こんな激しい背徳と快感を伴うような自慰行為なんて初めてだった。
「えー?気持ちがいいのは許すけどこのままイッちゃうなんてちょっと辛抱が足りないなぁ、ザッキー。“待て”だよ?ちょっとストップ。」
「あ…王子、駄目、助けて、出ちゃう…王子!…おれ、このまま…あ!王子の目の前で…王子で…あ、助けて…」
彼の言っている意味がわかるのに止まらない俺。苦しみと喜びのジレンマに挟まれて彼に懇願する。なんの懇願?彼が一言イッていいと言ってくれればと?それとも彼の手でイかせて欲しいと?わからないままに我慢を強いられて声絶え絶えに彼に懇願を続ける。それでも手が止まらない。もう限界だった。
見かねた彼が苦笑してベッドから這い出し、俺の左手を掴んで快楽の熱からそれを引き離す。反射的に右手を下に伸ばそうとしたことを察知した彼はその手もすばやく掴んで拘束する。自由を奪われた俺は情けなく涙を流しながら体を震わせ、膝立の状態でがっちりと指同志を絡めて見下す王子に向かって我を忘れて哀願する。何ももう考えることが出来なかった。
「あ!王子…イかせて!つらい…王子!助けて、助けて」
そして彼の唇がソフトなタッチで俺の涙を拭った。官能の一切を除外しながら優しく舐めとる彼の舌先がまるで拷問のよう。手でも唇でも、足でだっていいから、彼に触れてもらいたくて。涙が流れるように先端からもぬらつきが溢れ。王子はお構いなしだった。ただ笑ってそんな俺を見ていた。
だから俺は喘ぎながらただただ自然に波がおさまっていくまで耐えるしかなかった。とても長い時間に感じる激しい苦痛だった。
生殺しの状態が少し治まり始めた頃にようやく彼は俺をベッドに誘導した。助かったと思った。俺は彼を裏切るところだったから。彼がいくら許そうともあのまま射精してしまったら俺はもう彼に顔向けが出来なかっただろうから。やっと彼の手を得られる。戸惑いでしかなかった彼の愛撫を、今の俺はごく当たり前のように自然に受け入れるようになっていた。もうすっかり彼の手によって、すんなり幸せを感じるまで飼いならされてしまっていた。
* * *
なのに、俺は助かったわけではなかった。
「ザッキー、今日は正しく使うことをおぼえようか。せっかくキミの手がボクの左手になった姿を見せてもらったんだものね?」
ゆったりと怠惰な風情だった美しい獣はようやく目を覚まし始めたようだ。王子は微笑をたたえながら美しく目を輝かせ、すっかり俺を食い尽くす表情に変っていた。
「さあ、やってみせて?賢いキミならわかるだろう?」
「え…?」
「はい、ジェル。最初は中指からね。はしゃぎすぎて傷をつけたりなんかしないように気を付けてね。」
「なッ…何言ってんだ、王子、まさか…」
「言っただろ?ボクちょっとだるいって。今日はボクのお仕事、ちょっとでいいから手伝って?ここで全部ボクが見ててあげるから。ね?」
王子はニッコリと笑い、蓋の空いたジェルを俺の右手に持たせ、左手に付けろと手真似をした。そんな顔をされたら、また彼の目が俺の意思を奪い去ってしまう。案の定、気が付いたら震える右手は容器を少しずつ握り込んでおり、そこから出てきたさらさらとした水飴のようなものが反対の手の指先にパタパタとこぼれ落ちていた。
また新しく涙がにじんできた俺の顔を見て、王子はまた満足そうにこう言ったのだった。
「…そうだよ、本当にキミはお利口な子だね。」
