鎖に繋がれて 10
ガチンコ対決後半戦。前回が拘束系で、今回は更にもう少しハードな行為(当社比)でジーノが本気で従順なザッキーを性倒錯に陥らせて精神的に潰しにかかっているというシチュになってます。キチンとそういう感じに書けたかどうかは疑問なんですが鬼畜的なお話が苦手な方は強く強く閲覧回避をお勧めいたします。でもその実大した描写じゃないかもしれません。
濡罪
「またかい?いやらしいことはあっという間に覚えてしまうんだから、キミの体。ホント、淫乱」
3回目はもうすぐ、といった段でジーノはこう言いながらチョキリと首の紐にハサミを入れた。さすがに首は危ないということと、自分も男の狂乱の世界に集中したく思ったので。
未知なる快感に戸惑う赤崎は今、絶望的な心境の中でスクスクとこの今を楽しむ体へ変化していく。赤崎自身は屈辱の怒りに包まれていると感じていても、嬉々として堕落を求める体の正直などジーノには丸わかりで、先読みの声掛けを体に向かって投げてやる。拒絶をあらわす心ではなく、今をエンジョイし堪能しまくっている淫らな体に。
「嬉しいね?気持ちいいだろう?でもね?もっともっと気持ちよく。出来るだろう?どうなりたい?暫く待ってあげるから、おもちゃだけでちゃんと射精するんだよ?」
赤崎はそんなことなどお構いなしに、反射的に食い締めてしまうことがやめられず、延々と達し、体力が削られぐったりとし始める。
そこからが本当の意味での赤崎の試練の始まり。ジーノの施す罰、隠し続けてきた男の欲望の実現への道のりだった。
弛緩が普通の状態に入ってしまえば、まさにジーノが最初に指示した、半分力を抜いた状態が保たれることとなり、その分、より激しい快楽が赤崎を襲う。オーガズムを感じやすくなった体は弛緩が進むとともに益々過敏になっていき、4回、5回、ジーノが指折り数えるオーガズムの最中、
「ああ!ッんんん!嫌、いや!!」
「ねぇ、ザッキー、なんかさ、それ……やだな、本当にこのまま?」
「うぅ!!ぐぁ!!」
「出ちゃう?ほら、ね、もう」
もうお願いだ、黙ってくれ!そんな心の中の悲鳴など誰にも聞こえない。言われなくてもわかってる、この感覚、この充実、今にも、そんな!と激しい、無駄な抵抗。膨れ上がり破裂しそうなそれを、ジーノが言葉の愛撫を再三に渡り、しつこくしつこく繰り返し。
楽しげな男の、悪魔のような赤崎の心の実況が始まる。それに導かれるままに赤崎の体が操られるように支配下に置かれ、自由自在にコントロールを受け始める。自分を苛む圧倒的な屈辱がその身を抉り、絶対にそれだけは嫌だと願いながらもジーノの責め苦は緩まらない。
もう出そう、もうイッちゃうね、嫌でしょ?ああ、でも我慢が、もう、無理、恥ずかしい、出ちゃう、見られてる、後ろで、イッチャウ、イク、ほら、もう、イク、呼んでごらんボクを、気持ちいいって叫んで、ほら!と。男の言葉のその通り、赤崎は呪文のように繰り返す。王子、気持ちいいと連呼し、恥ずかしい、見てください、と、なんでしゃべれないのにこんな言葉だけは口をついて出てくるんだ、と絶望に涙を流して。そして完膚なきまでに自分が支配される、そんな今に全身が喜んで赤崎の体に最大級のエクスタシーが生じ始める。ジーノに望まれ、自分が望み、本当の意味で自分が自分でなくなって訪れた、魔の時間。
「ほら、もう」
「ああ、王子、や、ああ、気持ちッ、い……いやだ!」
「もっと口に出して、卑猥だよザッキー」
「あ、も、あ!駄目!見るな!アッ…、!」
「わかってる、見てるよ」
「嫌!見、……イク!王子、見なッ!!ッ」
「うん全部見てる。あぁ、キミもう出……」
「あ、も、イク、王子、嫌!見てあ、あ、ぃいッ、もっと俺、見て!見て、あ」
「――んあぁッ!!」
射精の瞬間、今までで一番官能的で淫らな姿を赤崎はジーノの前で晒していた。それはまるで露出に酔うのが生業の生き物であるストリッパーのそれのような、下劣で下品、淫乱の果ての姿だった。
「あ、はぁ、あ……ッは、あ……あっ、あっ……」
これまでにない激しい、そして大量の吐精は、終わらないのではないかと思う程長く、地獄の苦しみを伴って続いていた。当然のことながら、見て見てと叫びながら達した、そのリズミカルに吐き出され感じる快感の回数分だけ、赤崎の何かが大きな音を立てて瓦解していくこととなる。
そうして、男が健常の世界から大きく踏み外しながらもその恍惚に、あ、あ、と止まらぬ声を漏らし続けているその時、まるで、泥沼の世界へようこそ、とでも言いたげに、悪魔の発する一声のようなジーノのそれが部屋に鳴り響いた。
「とうとう……やっ、ちゃっ、た」
言葉で犯すジーノの姿は赤崎の目には見えることがなかったが、その顔はまるで初夜を迎えたその喜びを示す征服欲の充足による恍惚と、強姦のような蹂躙を堪能するあられもない愉悦が赤裸々に浮かんでいた。うっとりとした表情のまま、ジーノはふるりと体を震わす。
「盛大な粗相だったね。おめでとう?ザッキー?」
陶酔し切ったジーノのその一言が致命傷となった。男の言う通り、自分は完全にメスネコになってしまったんだ、それも露出狂的性倒錯をもつネコに、そう感じた。後孔の快楽。自分はゲイではないと、今まで信じてきた。ジーノが好きで、ジーノを愛して。だからこの行為は必要なだけだと。仕方がないと。
でも違った。それどころか。自分は今、目隠しされ縛られ、ジーノでないもので犯されることに何度もオーガズムを感じ、挙句それを全部見られていることに興奮して射精した。ジーノは指一本自分に触れず、自由を奪われた体にちっぽけなプラスチック片だけ入れられて。
男の言う通り、なんの言い訳もきかない、と感じていた。何故なら嘗てない程こんなに気持ちよく。普通じゃない行為で今この上なく解放されて。絶望的な程。最低な程最高に。
(自分はまさしく、この行為が、この、タブーの行為がよくて、イッたんだ)
吐精と同じように赤崎の目からは滂沱の涙。目を塞ぐタブーの布が優しくそれを拭うので、その矛盾にも更に涙した。そんな風に射精後の茫然自失の中にいる間、ジーノはクスクスと笑いながら汚れた個所を軽くティッシュで拭っていた。終わった。そう思った時、涼やかな声が聞こえてくる。
「自分の倫理観が破壊されて、真実の姿を晒し……ねぇ、これで終わったと思ってる?残念でした」
赤崎の先端、ティッシュを挟んだ向こうから、チクリと弱く爪が立つ。
「……ぅうッ!」
「ちゃんと出来るなんて偉いね?1回出来るなら何度でも出来るだろう?さあ、もう少し遊ぼう」
地獄の釜の、蓋が開く。なんの手掛かりもないままに、赤崎は真っ逆さまに悪意の世界に突き落とされていく。
「射精に成功しても解放なんてしてあげないよ?今から延々とキミは自分で自分を何度も……さ?フフフ、やがて鳴き声が泣き声に変わっていくんだ。でもやめらんなくてキミは……キミの心は見る影もなく粉々に。あぁ、なんて素敵なんだろう?フフフ、楽しい、ザッキー、ボク今、気の毒なキミが壊れ切っていく姿を見るのがすっごく楽しみで仕方がない」
「いや……王子……」
「本当にキミは馬鹿なんだね?今更だよザッキー、キミが手を振り払ったんだよ?わかっているよね?後悔してももう遅いと」
「あ……ぁ……」
そうして男の言葉通り、その後何度も何度も。連続で絶叫のような嬌声を響かす快楽に飲み込まれていく。波が去り、ジーノの言う通り勝手に自分自身が波を引き寄せ、再び嬉々として波に溺れる。
「…ッ――!」
喘ぎ声で喉が枯れ、体がぐったりするのに止まらない。赤崎はどうにもならない自分の体の反射によって、快楽の恐怖に包まれて完全におかしくなっていった。射精など、短時間にそう何度も迎えられるわけがないことは男なら誰でも知っている。通常は回復の間、インターバルのようにゆったりと愛撫を楽しんだり。なのに今は、ギリギリと挿入された切迫の種が赤崎を断崖絶壁に追い詰め続ける。一歩、また一歩と詰め寄る速度は変わらない。何度も精なきままに達しながら、もう限界だ、限界だやめてくれ!と叫びたくてももう声が出ない。誰も助けには来てくれない。目の前には自分が落ちていくのを楽しみに待つギャラリーが一人だけ。
「可愛い、夢中だね、ザッキー?ちっぽけなおもちゃ一つで、一人勝手に……あられもない姿を人前に晒しながら、そんなこと気にもかけずに?ううん、寧ろそれが良くってそんなに気持ちよくなっちゃって」
指が足りなくなる、と溜息交じりに数えるジーノが笑う。体のバランスを失い力なく倒れ込む赤崎は今、少しでも楽になろうと後ろ手に土下座する様な卑屈の姿勢でジーノに深くおもちゃの刺さる秘部を晒す。射精無きオーガズムに達する姿をどうぞご覧下さいとでも言わんばかりに、ヒクヒクと性快楽の泥沼の世界で溺れ続けていく。
「ザッキー、すごく綺麗だよ。こんな醜くて綺麗な子、ボク今まで見たことない。気持ちよくて苦しいね?一杯写真撮ってあげてるからね?動画もね?ホントキミって最低で最高。後で一杯キミ宛に送ってあげるから、それオカズにして、こっそり一人で、フフ、良かったね?いい置き土産だ。喜んでくれるよね」
ジーノに見られている。男はこの痴態をもっと見たいと言い、見られていることが確かに今明らかに自分の快楽となっている。そのことに何度も気が付いて赤崎は更に自分を恥じ、それを重ねる度に迎えるあの瞬間は、より過敏に、より深く。我を忘れ、このままドンドン自分が自分じゃなくなっていく果てには一体何がと恐怖と、そして邪まな期待と。初めて知る倒錯の強烈で甘い拷問の世界に、震え、震えて。愛じゃない、愛じゃない、これは単なる行為だ、と。自分が最も嫌悪した世界に落とされ、今、抜け出したくないくらいのめり込むように楽しんでいるのだ、と。
「おいたが過ぎると炎症起こして……何日間かはまともに立っていられなくなることもあるらしいよ?おもちゃ抜いても感触が残っちゃってなんもしてなくてもイッちゃうんだってさ。ね、試合いつだっけ?そんなんなっちゃったらボール追うなんてとても無理だね?フ、フフフ、可哀そうに、それが一番のキミへのお仕置きになるのかな」
ジーノの声は無我夢中の赤崎には聞こえるわけもなく、だが、聞こえなくてもジーノは楽しくて仕方がなかった。赤崎は周期的に襲われる強い快楽の波によって一人、王子、王子と男の名を呼びながら、もういや、やめろ、見ていて、もっと、と絶望の淵に突き落とされていく。ジーノは快楽に苦しみ喘ぐ赤崎のその自己喪失の堕落の姿を、ただ眩しそうに目を細めながら眺めているだけだった。
