お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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飼い犬と飼い主 2

ジーノがザッキーの自主トレに時々付き合うようになって体調管理と称して色々からかい始めます。ザッキー入団からしばらくした頃のお話。今回の登場人物は二人だけ。ほとんどトレーニングルームで二人ワイワイやってる描写。

体調管理1

 ジーノが体調管理について細かい話をし始めたのは、そもそもストレッチ中に赤崎のアレが度々反応してしまっていたからだった。赤崎は他の人と幾度となくこうやって二人組になってストレッチをやりあってきた。なのに最近相手がジーノの時に限って、体を触られると時々なんか変な気持ちになることがあったのだ。

   最初のうちはこの人にこうして同じように触られてても
   全然平気だったのに急になんで?

 こんな不適切な場面でセクシャルな感覚が赤崎の体を襲う。しかも寄りにも寄って先輩相手に。実は赤崎は相当困っていた。でも、嫌だけどそういう反応は生理的なものなので、いくら困っていようが彼自身にはどうしようもないことだった。
 赤崎は一生懸命素知らぬふりをしていたつもりだったので、ジーノには気付かれていないと信じていた。でも、ある日とうとうそのことについてズバリと指摘を受けてしまった。さすがETUきっての視野の広い男、赤崎の考えが甘かったのだ。

「いつもソレ、すっごく気になっちゃうんだけど。キミ結構たまってんの?」

 自主トレのメニュー内容の指導と同じように、ジーノは赤崎に体調管理の、とりわけ性処理の大切さについてのうんちくを披露した。そうして、セックスの、オナニーの頻度はどれくらいなんだとか、やるのは試合前日とか当日とかいつのタイミングなんだとか。まるで朝の挨拶をしているかのように普通に、お気軽に、平気で質問をした。赤崎が返事に窮すると、キミはきっとストイックすぎるか煩悩に流されまくる猿かどっちかだね、とても自己管理を適切にやれる人間とは思えない、などと小馬鹿にし始めて。赤崎はそんなジーノの煽りを真に受けて、普通だ!なんて怒鳴り始めてしまった。そしたら今度は、信用ならないね、泥棒は自分のことを泥棒です、なんて言わないもの、なんてジーノはすぐさま言い返す。
 赤崎は話をしていて絶対にこの人に口で勝てないなとは思っていたが、ドンドン頭に血が上って次第に自分でもわけがわからなくなっていった。ついにはジーノが、ちょっと抜かせろ、そしたらホントはどうかってことがすぐわかる、ボク上手だよ、やっぱ普通なんて嘘なんだろ、やりすぎなんでしょ、あれ?もしかして童貞?とか矢継早に言い出して。浴びせかけられる言葉の数々に、赤崎はあれよあれよと口車に乗せられてしまい最後には、そんなに言うならやってみろよ!なんて言ってしまったのだ。

   あんときの俺はホント、どうにかしてた…。

 やってみろと言った瞬間、じゃやるね、言っとくけどこれ合意だから、なんてジーノは物凄く楽しそうな意地悪な笑みを浮かべた。赤崎はその顔をみて、しまった!と思った。完全に罠にはまったことにその時初めて気付いたのだ。澄ました顔してジーノの美しい長い指がソレを器用に弄ぶので、赤崎はあっという間に達してしまって…。そして終わった後に、すっごい緊張してたね、でも気持ちよかったでしょ?、とかシレッとした顔でジーノは言った。赤崎がその態度と羞恥で頭にきて言い返そうとしたら彼は、ごめんごめん、ついからかいたくなっちゃって、と今度は少し苦笑いを浮かべた。

 そうしてジーノは、2点キミに言いたいことがある、聞いてくれるかい?と言った。その言葉と真剣な目線は、どんなことでも聞かざるを得ない、相手に有無を言わさない強い威力と支配力を持っていた。赤崎は否が応でも従わざるを得なかった。さっきの軽い言い合いはなんだったんだと思うほどに圧倒的な迫力だった。軽口どころか何一つ言葉を発することが出来なかった。

   *  *  *

 一つ目は、理性と本能のバランスの重要性についての話だった。

「冗談でも何でもなく、男の性管理はアスリートのパフォーマンスにおいて非常に重要だよ。溺れすぎることは論外だけど、抑圧的過ぎてもよくない。性処理は本能的な部分と理性的な部分が関わる典型的な事例。理性と本能のせめぎ合いの強さとそのバランスは選手としても重要なキーになるものだから、是非キミのケースを一度確かめておきたかった。やり過ぎでもやらなさ過ぎでもなさそうだし、キミは己を制御できる素質が十分にある。」

そういうことをまるで分析結果を報告するかのように淡々と語った。そして、

「キミはとてもいい選手だ、確かめさせてくれてありがとう。」

なんて笑った。

 二つ目は、赤崎の弱点の指摘だった。その時の彼の表情はかなり深刻なものだった。

「キミは感情表現がとても豊かなので、トラッシュトークに弱いのではないかと危惧していたが案の定だ。試合中に挑発を受けて感情的になり過ぎたり、集中力を切らす目的で雑談を持ちかけられて調子を崩されたりしないように、キミはもっと訓練が必要だよ。人間性としてはチャーミングなそれも、選手としてはやはり致命的な欠点だからね。」

と少し厳しい表情をしながら王子は赤崎の左胸をトンと指先で押した。激しい動悸がおさまらないでいた赤崎をまるで透視でもするかのような仕草だった。

   *  *  *

 冗談っぽい流れで相手をコントロールしていき、考察が完了したら、ひとつ褒めておいてからひとつ忠告する。ジーノは人を指導していく上でもとても高い技術を持っている男だった。赤崎は人に負けたとはあまり思いたくなかったが脱帽する他なかった。ジーノはふざけているように見せながらも、なにもかもがハイレベルな存在だったからだ。それと同時になんだか本当になんでもかんでも出来るジーノに赤崎は大いに腹を立てた。

   なぜ世の中にはこんな人間が存在しているのか

と。赤崎はジーノがこんなにハイレベルな理由が、単なる天才だから、ということならこれほどまでの憤りは覚えなかった。何気ない顔で、努力を努力とも感じない顔で、おそらく気が遠くなるほどの努力を実際には行い続けて、こうやってひそかに誰にもひけらかすことなく非常識なほどに自らを高めていってしまう。そんなジーノだからこそ赤崎は腹が立つのだった。赤崎はなんでもかんでも口に出してしまう自分とは全然違うジーノを、まさしく自分にとってこうでありたいと願う、理想の人間と捉えていた。目の前に存在する男の姿は、あまりにも遠く、手の届かないほどの夢だった。

 赤崎はあの二つの指摘はとても教訓になった。だが、それでも先ほどジーノにされた行為自体はいますぐにでも忘れてしまいたかった。一生の汚点にも感じるような恥辱だった。失ったものも得たものも、その両方が大きすぎて、なんとも心の中の座りが悪くなってしまった。ジーノは行為の前も後も、全く変わらず飄々としていたので、そのことがまた器の違いを思い知らされる思いがした。赤崎はなんだかよくわからない、ジリジリとしたものを感じた。