お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

*

飼い犬と飼い主 3

のん気なザッキーを前に、ジーノは終始、YOU!食べちゃいなよ!という声に悩まされて、食べようか食べまいかフラフラしつつ結局のところ…。ザッキーかなり据え膳化が進んできた入団1年目晩夏の頃のお話。ジーノの中にあるザッキーへの気持ちに少し変化が訪れます。すっかり気に入って戯れに軽く遊ぶおもちゃでは気が済まなくなってきました。ジーノがちらっとモブ女とやっちゃってます。ご注意。王子、赤崎、世良(名前だけ)、村越、モブ女。

ヴィラの中の狼

ヴィラの中の狼

 秘密の集まりの狂乱の中で、ジーノは再びため息をついていた。想像はしてないわけでもなかったけれどやっぱり退屈だった。いろんな女性が猥雑な目的を持って話しかけてくる。ほんの少し笑顔を浮かべながら気のない返事をする。そんなことを繰り返しながら部屋の隅のソファに一人座ってグラスを傾けていた。

   みんな見てくれに騙されてボクを欲しているけれど、
   そんなキミたちをボクはさらに騙していくことが上手

   でも今日はそんな気になれない
   申し訳ないけど、そこで眺めているだけで満足してくれないかな

    *  *  *

「すいません、そこ、座ってもいいですか?」

 しばらくして一人の退屈を楽しんでいたジーノに声をかけたのは、狂乱の夜にふさわしくない涼やかでシャープな目線を持つ若い女性。その場にフィットし切れていないクールで凛とした印象が、ジーノと同じように彼女が退屈を感じていることを匂わせていた。

   この喧噪をくだらないと思えるようなら、かなり精神的には大人
   でもこの潔癖さ…多分まだ若いね
   何人くらい男を知ってる?
   ガードが固くておそらくそんなには手をつけられていなさそうだ
   大人な見た目と違って性的な方面はかなり未成熟、そんなところ

   だってほら、ボクみたいな狼を紳士に間違えてる
   かわいそうに、楽勝だな

 ジーノは楽しい笑いなのか苦笑いなのか、どうとでもとれる笑みを浮かべながら、ついっと手の平を椅子に向けて、どうぞ、という仕草をした。

 二人はそのまま静かに互いのグラスを傾けて、時には目が合い、見つめ合い。大人びた子どもの美しい子羊を前にして、やっとジーノの退屈が少しずつ緩和されていった。ジーノはそれほど乗り気なわけでもなかったけれど、極自然に当たり前のように彼女に促す。それに気付いた彼女は頷いて、二人は黙って立ち上がり、賑やかな部屋を誰にも気付かれずに後にした。ジーノは、今日のお菓子は溶けてなくなる儚いラムネといったところかな?そう思いながら、彼女の歩調に合わせてゆっくりと歩いた。

    *  *  *

 行きつけのバーで軽く飲んだ後、ジーノは彼女をヴィラと呼ばれる自身の遊び専用の部屋に連れ込んだ。初対面でいきなりここに連れてくることはあまりなかった。だが今回そうしたのは、無口で勝気な目を持つアジアンビューティを、今後のストックにしておくのもいいと判断したからだ。この目つきが気に入ったし、自身を大人と錯覚する子どもは便利に使える。そう考えた。

 ゆったりとした音楽に暗い照明。

「私、立派なお酒はあんまり飲みつけてなくて…あの…」
「フフ、安心してよ、ボクの家にはホームユースのものばっかりで立派なお酒なんてないから」

ジーノが用意したのはちょっとした軽いつまみと甘口のスプマンテ。そして三日月形のボトルに入った甘いリモンチェッロ。落ち着かない風情で座っていた女性だったが、心を惹きつける感じの小さな小瓶に視線が釘付けになる。ジーノはその姿を眺めながら、

「これなんて1000円もしないしね?」

などと表面が氷結した小さい小瓶を手に、にこやかにほほ笑む。これらを出してきたのはジーノなりの考えがあってのことだった。
 贅沢に不慣れな女性にはこういう配慮が必要。ジーノ自身はすべてにおいて値段に無頓着で、気に入ったものは価格に関係なく手に入れるポリシーだった。本物の贅沢を知る人間は常にアピールの必要な成金上がりの人間とは違う。値段ではない部分にプライドがあるので、TPOに合わせて当たり前のようにいろんなことに対応できる余裕を持っていた。一緒に用意した軽いつまみの値段は彼女がびっくりして手がつけられないレベルのものだったけれど、当然そんなことも口にしなかった。

「これね、冷凍庫でキンキンに冷やして飲むレモンのお酒。気に入った?」
「すごい、レモンみたいなお月様…」
「リモンチェッロは日本で言うところの梅酒みたいなものかな?食後酒として自家製を楽しむ家庭も多いんだ。ま、ボクは作れないから買う訳だけど」
「…意外にそういう家庭的なものがお好きだったり…する方なんですね」
「えー?いやだな、意外もなにも男って大概そういうものだよ?喧騒から逃げ出した家の中ではキミみたいな人とゆっくりくつろぎたい」

 意味深な言い回しに少し気を張っていた女性の心がふわりと開いていく。

「スッキリするしちょっと飲み過ぎたかな?って時はこういうので最後締めると次の日に響かなくていいんだよね」

グラスにとろりとしたリキュールを入れて、上からスプマンテを注ぎいれる。気泡の遊ぶグラスの中でレモンイエローが陽炎のように揺らめく。

「…これ結構甘口で飲みやすいから。キミお酒強そうだしまだいけるでしょ?」

 差し出されたグラスを手に取り、おずおずと彼女はそれを口に運んだ。ジーノは、どう?と言って微笑みかけた。甘口の発泡系のお酒は口当たりが良くて飲みやすい。リキュールの度数は実に30度。ジーノに薦められるがままに受け入れていくとあっという間に立ちあがれないほど深酔いさせられてしまう。すでにそれなりに飲んでいた彼女がジーノの甘言に落ちてしまうのはあともう少しだった。喉が渇きやすいつまみと、気付かれないほど自然にジーノの手によって彼女に注がれていく琥珀の蜜。その濃度は杯を重ねる毎により甘く、より濃厚に。

   甘やかすか、メチャクチャにするか…
   キミは紳士と狼、どっちに抱かれたい?

   ほら、どういうのが好き?

 ジーノはそんなことを考えながら、まるで桃のようにふわりと上気した彼女の頬を優しく手の平で撫で上げた。

「ストレートも結構いけるんだけど…飲んでみる?」

自分の使っていたグラス片手にジーノはそっと呟いた。強い光の中に寂しさを宿す彼女の瞳は、暗示にかけられたかのように少しずつ閉じ始める。ジーノはそれを眺めながらリモンチェッロを口に含み、彼女の顎に指を添えた。

    *  *  *

   この子、服を脱がされることに慣れてない
   ちょっと失敗だったな

 上の服を脱がせ始めた途端、ジーノは彼女に聞こえない様な小さな舌打ちをした。おそらく彼女のぎこちない反応からして、今日の獲物は手入らずで、まだお酒を飲めない年齢の可能性さえ匂わせていた。経験が浅いと踏んだが、まさかここまで未成熟だとは。珍しくジーノの読みが少しずれており、この想定外の面倒な展開にイラついた。一旦手をとめ、彼女の頬や瞼にソフトに唇を這わせながら、このまま行為を続けるかどうか思案した。ジーノは過去、こうして泥酔した状態の年若い女性の処女を奪って、事後ちょっとしたトラブルに巻き込まれたことがあったからだ。初めての男というのは女性にとってはなにかとても意味のあるものらしい。ジーノはあれ以来そのポジションをうっとおしいものと捉えていた。ジーノはしばらく考えて、やっぱり面倒だからこのまま手放すか、もしくは素面の時に気が向けばあらためていただくことにした。ため息をつき、彼女の服を直しはじめる。

   やれやれ、
   なんだか今日はため息ばかりついてる気がする

 苦笑いをするジーノに気づいて、彼女はどうしたんですか?と目を開けた。どうしたもこうしたもないよ、と不機嫌になりながらも表面上はふわりと優しい笑顔を作った。そんな嘘つきな彼を見つめ返す彼女の鋭い美しい瞳はゾクゾクするほど魅力的で、ジーノの理性がグラリと揺れた。彼女の瞳を見つめるジーノはもう紳士に戻る気のない獰猛な狼に変化していく。

   どうする?保険でも掛けておくか。

  もう彼女のすべてを平らげることに一寸の躊躇もなかった。かといって、やはり面倒なことは少しでも回避したかったので、ちょっとずつ小さい保険、罠を仕込んでいくことにした。

「狼さんはお腹がぺこぺこ。でも食べちゃっていいのかなって少しは優しい気持ちもあるんだよ?ねぇ、どうしたらいいと思う?」

 スプマンテだけでなくジーノの色香に酔ってしまった憐れな彼女は、自ら不慣れな唇を寄せるだけの長いキスをした。そんな彼女のぎこちないキスを優しく受け止めた後、ジーノは深い深い刺激的なキスを返した。

「ほら、キスってこうやるんだ。キミはどんなことが知りたい?ボクは優しい狼だから、教えて欲しい事だけ教えてあげる。」

 自分の技術に絶対的な自信のあるジーノは、そうやって保険と称して彼女の自覚しない彼女の中の情欲を引き出し言語化させながら行為をそのまま最後まで続けていくことにした。

「安心していいよ、怖がらなくて大丈夫。ボクは狼だけど紳士だから、嫌がればちゃんとキミを守ってあげることだって出来る。」

 うっとり顔の彼女の唇をジーノは自身の舌先でねっとりと舐めとった。そうして、彼女に視線を合わせたまま、続けるよ?とでも言いたげに、極自然にまた彼女の服を脱がせていった。彼女がドキドキしながら期待に震えているのがわかるので、目を細め、

「どんなこと、教えて欲しいの?ねぇ言って?じゃないと、ボクわからないよ。」

と優しい声で呟きながら、ゆっくりとした手つきでブラジャーをはずし、彼女の胸元にある薄桃色の小さな突起に唇を寄せて甘噛みした。彼女の返事はか細い小鳥の鳴き声のようで、知ってか知らずか、胸元にあるジーノの頭を自身の両腕でそっと抱きしめた。

 ジーノが無断で噛みついたのは口の中にしっかり存在感を感じさせる女性特有のそれだった。今日昼間見た、弄り損ねたあの子のソレとは随分違うものだったけれど、一応はほんのちょっとだけ気が晴れた。退屈で虚しい気晴らしに過ぎないこの行為も、いつもよりは楽しむことが出来そうだった。