お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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飼い犬と飼い主 3

のん気なザッキーを前に、ジーノは終始、YOU!食べちゃいなよ!という声に悩まされて、食べようか食べまいかフラフラしつつ結局のところ…。ザッキーかなり据え膳化が進んできた入団1年目晩夏の頃のお話。ジーノの中にあるザッキーへの気持ちに少し変化が訪れます。すっかり気に入って戯れに軽く遊ぶおもちゃでは気が済まなくなってきました。ジーノがちらっとモブ女とやっちゃってます。ご注意。王子、赤崎、世良(名前だけ)、村越、モブ女。

カーサの中の少年と椅子

 ジーノは遊び用の家であるヴィラと、生活用の家であるカーサと、2つの家を完全に住み分けていた。ヴィラは過度にも思える装飾にあふれていて、王子の住処にふさわしいシンプルながらも豪奢なものを感じる家だった。一方カーサは人を呼ぶことを想定していないため、壁紙の素材から小さな小物に至るまでジーノが熟考を重ねて厳選した、彼の大好きな物ばかりで構成されている家だった。ジーノにとってのカーサは、その存在すら他人に教えないほどのとてもとても大事な秘密の隠れ家だった。人に疲れたジーノが唯一安らぐことが出来る彼のためだけの癒しの絶対不可侵の領域だった。

 そして、今回赤崎を誘ったTPPT講習を行うジムがあるのはカーサのあるマンションの方だった。カーサそのものではないマンション内のジムとはいえ、そんな場所にジーノは赤崎を呼ぶ選択をしたのだ。考えるまでもなく、通常ならありえないことだった。

 ここに至るまでのジーノの思考の整理は、実はそれなりに長い間行われていた。

 ジーノは赤崎が入団してすぐに彼を気に入った。以来、様々な禁忌のジレンマを抱えながら今にも押し倒して蹂躙しつくしたい性衝動と戦っていた。だがその強すぎるほどの性衝動と同時に不思議な気持ちが湧いてくるのを感じていた。複雑な感情なので、ジーノはうまく咀嚼することが出来なかったが、お気に入りの椅子に対する気持ちとよく似ていた。

   この感覚は直接的な性欲や支配欲とは少し違う

   ただそこにあり、眺め、触り、そして座って安らぐ
   そんな風にすることで満たされる、
   椅子に向けるのとよく似た欲求と快楽?
   誰にも言えない、ボクの中の偏愛に近いあの感覚
   フェティシズムにも似た異様で異常なあの目線

   ボクは自分で気付かぬうちに、
   そういうものを少しずつ彼にも向けはじめているみたいだ

 沢山の人の体を知っているジーノにとっても、赤崎の肢体というのは特別なものだった。彼が自分に話しかけると、笑いかけると、犯したいという性衝動の他に、椅子と同じような形式で深く深く全体を愛でたいという感情が沸々と湧いてくる。物理的な性快楽とは微妙に違っていても、それもまさしく快楽だった。なのに、赤崎はジーノの寵愛する大切な彼のボディを簡単に擦り剥けさせたり青あざを作ったりと乱暴に扱う。そのことは苦々しくて仕方がなかった。彼にはもっと教育が必要だ。そう考えた。

 獲物やおもちゃを取り扱うのはヴィラでだけ。

 近い存在は獲物としない。

 ジーノは性快楽のゲームの中に人知れず数々の厳格なルールを強いていた。一目で思わず獲物として捕らえてしまった相手だったので、シチュエーション的に様々な自分の中のルールに抵触しており、苦慮する場面が多々あった。だが、あの子を獲物でなく椅子と仮定してみればどうだろう、ジーノは考察を続ける。

   ジーノ、考えてみて?
   キミは椅子とはセックスしないよね?
   そう、そこまでのマニアックな感覚は持っていない
   でもそんなことがなくても十分素敵で適切な関係になってる

   あの子を意思を持ち動き回る椅子、四足の…
   そう、犬のような存在だと考えるのはどう?

   キミは犬ともセックスをする趣味はないし、
   これなら、ルールを回避できる

   おもちゃじゃないから
   椅子と同じように
   カーサに彼を持ちこむこともできる

   ありきたりなおもちゃよりも、
   そこにあるだけの椅子よりも、
   ペットの方が幾分楽しい存在になるかもしれないよ?

   認識を変更することに成功すれば、
   今あるこのトラブルを起こしかねない不必要な性衝動も
   自ずと抑えられていくはず

   椅子みたいに犬みたいに彼をかわいがるなんて、
   なんだかとっても素敵だよね

   だってこの椅子は、しゃべるんだよ?
   それに、一緒にサッカーまで出来るんだ
   ボクと一緒に遊んでくれる
   どこでも連れ歩けるボクだけの犬

   ペットはおもちゃみたいに使い捨てじゃない
   きっとそんな風にはならない

   ほら、想像しただけで愉快だよね

 ジーノの中には沢山の思考のバリエーションがあり、スタンダードな物から、こうしたあまりにも異常で変質的な発想までも同時並行的に意識の中に存在していた。平凡で無難な選択はサッカーのプレイと同様退屈で、より刺激的なチョイスをするのが癖のようになってきていた。そのほうが奇妙で愉快な展開が待っているからだ。ジーノはそうして赤崎を獲物としてではなく、観賞用のお気に入りのペットとして意識的に目線を変更していくプランを選択してみることにした。これもまた、彼の中では退屈しのぎの刺激的な遊びの一種だった。成功すれば成功したで、失敗したら失敗したで、それもまた楽しめる。そんな感覚だった。

   ボクのあの子をおもちゃから犬に変えていこう
   やったこともない新しい遊びの始まりだ

   だから、ねぇ、もっとボクの傍においで?
   一緒に遊んで、沢山ボクを楽しませるんだよ?

 そうやってジーノは赤崎を自らの秘密の領域に招き入れる危険な遊びを始めることにした。すべては退屈しきったジーノの暇つぶしのための気紛れだった。