飼い犬と飼い主 3
のん気なザッキーを前に、ジーノは終始、YOU!食べちゃいなよ!という声に悩まされて、食べようか食べまいかフラフラしつつ結局のところ…。ザッキーかなり据え膳化が進んできた入団1年目晩夏の頃のお話。ジーノの中にあるザッキーへの気持ちに少し変化が訪れます。すっかり気に入って戯れに軽く遊ぶおもちゃでは気が済まなくなってきました。ジーノがちらっとモブ女とやっちゃってます。ご注意。王子、赤崎、世良(名前だけ)、村越、モブ女。
飼い犬的なあまりに飼い犬的な
性的おもちゃを愛玩用のペットに。
ジーノが選択した認識変更の試みは、大変大きな成果があった。あれほどまで強まっていた性衝動は、彼によく似た女性を貪るだけで十分な状態にまで抑えるができた。そう、大好きな椅子を愛でるような感覚で、お気に入りの赤崎の体を目で堪能し、時に触れて質感を楽しむ。ジーノは今やそれだけで満足できるようになったのだ。このパターンは、大きなトラブルに発展する危険性もなかったし、ジーノはとてもリラックスして彼との交流を楽しめるようになった。コントロールしかねていた部分を上手に処理出来て、ジーノはご機嫌だった。
そのおかげか、あれほど重たかった体も、チーム成績の低迷も、一時期ほどは囚われて苦しむことがなくなっていた。なにもかもがある程度思い通りになるこの男が、どうにもならない現実に少しでも背を向けられる遊びを見つけたのは、現実逃避だろうとなんだろうと、間違いなくある種の救いだった。ミスターETU同様、彼もまた自縛から逃れられない状態に陥りつつあったからだ。
この赤崎への不適切な欲望を手放すことに成功したジーノは、まさしくいい先輩そのものになっていった。赤崎は自身の成長を強く望んでおり、ジーノもまた彼の成長を強く望む、共通の目的を持った同志になったからだ。到達すべきゴールを凌辱から愛玩に変更したことで、獲物に仕掛ける罠など不要になった。よって、ジーノの口からは今までのような場当たり的に出していた指導に似せた妄言が消失した。
ジーノは、綿密な育成計画と指導を行う、赤崎専用の有能なマネジメントスタッフへと変貌した。このことは、犬の艶やかな毛並みを維持するためにブラッシングを行い、美しい肢体を維持するために最適な栄養バランスの餌を用意する、赤崎を愛玩する者として当然の義務であり権利であり、ジーノの新しく欲した快楽そのものであった。
自分自身にだけ適用してきた今までの知識と技術をかわいいペットにも適用していくことは、ジーノにとってこれまでにない楽しい遊びになった。赤崎は無知な部分も多かったが、性質が概ね素直で、しかもとても賢い男だった。なので、ジーノのしつけを受けることにより、まさに目に見える成果をあげていった。初めての飼い犬が想像以上に有能だったことは、ジーノを大いに喜ばせた。
未だ二人はスタメン組とサブ組のバラバラな生活を送っており、練習時に互いが言葉を交わすことはほとんどなかった。だが、練習中もジーノは赤崎を常に観察していた。赤崎が故障とまでいかないまでも負担のかかったシーンを見つけると練習終了後すぐに迅速なアイシングやマッサージの指示をした。また、自主トレの時間の他に、栄養指導として時々外食も重ねるようになり、プライベートな時間帯での交流も次第に増えていった。食事中、ジーノは昼間の練習時の赤崎のプレイの判断や選択について丁寧にヒアリングし、それに対する様々な考察を提示した。真面目や不真面目、様々な思考パターンを持ってることで、本気になればどんな相手にも合わせて適切な言葉を選ぶことのできる教え上手なジーノ。人の言葉をシンプルに受け止めてそのすべてを自分に生かしていくことのできる教わり上手な赤崎。このペアは、まさに最高の組み合わせだった。
ジーノの指導計画の中には、赤崎のアピールポイントを監督達に強調していく演出のようなものも一部含まれていた。なので、赤崎は徐々にクラブ内でも伸び盛りの若手として注目されていくことになった。スーパーサブとしてピッチデビューを果たす日も近かった。
