お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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飼い犬と飼い主 5

前回我慢できずザッキーに軽くちょっかいを出してしまって大後悔のジーノが今度こそはとほのぼののんびり飼い犬生活を目指します。良い先輩になるため頑張ってる幸せなジーノと、優しいホワイト版ジーノに可愛がられて幸せなザッキー、今回はそんな二人の原作1年前の年明けから夏までの話。エロなし健全。王子、赤崎、赤崎父、モブ女(気配)、ジュニアユースっ子(気配)、赤崎のジュニアユースの仲間(気配)。次回!バトル展開ッッ!!(エッ

迷える飼い主

 あの立食パーティの次の日。

   あの子、大丈夫だったかな

 女性の家のベッドの中で、ふと目が覚めて、飲み慣れないお酒をたくさん混ぜて飲んだかわいい飼い犬のことに思いを馳せる。そうして湧き上がる後悔の念。

   ああ、ボクはなんてことを…
   あんなつもりはひとつもなかったのに
   気が付いたらもう…

 隣に眠る女性の髪を撫でながら、昨晩の飼い犬の、自分の肩口に落ちる彼の涙を思い出す。そして初めて触れた彼の唇。

 最近ボクは悪い遊びを再開した。少し前に飼い犬を自宅に連れ帰り、心地よいスキンシップを体感した後のことだ。誠実な飼い主足ろうと思った自分は不安定になってしまって、結局飼い犬を失う危険を招いてしまった。後から強くその事に対して後悔をした。だからもう二度とあんなことにならないために、今まで以上におもちゃを欲し、出来るだけ沢山彼女たちとの時間を過ごすように心がけるようにした。飼い犬と過ごす安らぎとは比べ物にならなかったけれど、それでも一時期に比べれば大分飼い犬への性的欲求を安定させることが出来た。彼女たちは自分にとても優しいし、いつでもボクを受け入れてくれる。

   無茶はすべきじゃない
   そういうことだよね

 これは飼い犬を守るためにやることだから。一人の夜が辛い自分はこうしてもう何年もこんな夜を過ごしてきたのだから。もう本物の彼女を得ようなんて思うのはやめた。やはりこればっかりは努力ではなく偶然や運命的な何かで得られるものなんだろう。

 目を覚ました彼女が恥ずかしそうな顔でボクをみるので、そんな彼女にバードキスを。彼女たちはみんなボクが好き。そしてボクも彼女たちが好き。ボクのプライバシーに踏み込んでこなければ、それさえやめてくれれば、ボクは彼女たちにうんと優しくすることができる。ボクの中にはキミたちの大好きな我儘でチャーミングなETUの王子しかいないよ?騙されたいキミたちのために、ボクは沢山の美しい嘘を用意する。そうすることで、甘い蜂蜜の中にボクの中の沢山の毒を混ぜ込んで、彼女たちを翻弄していく。もうすっかり飽きてしまったこの遊び。これをまだまだ飽きない彼女たちの為に。まだまだ彼女たちが必要なボクの為に。そして、誰よりもボクを楽しませてくれる貴重なボクの飼い犬の為に。

   やっぱり、かわいいよね、あの子

 ちょっと遅めの朝食を作るのに去った彼女をベッドで見送る。その背を眺めながら今年の春から一緒に過ごした飼い犬との時間を思い出す。つくづく厄介で魅力的なあの子。ボクの口車に何度も乗せられて、彼の一番大切な場所ですら簡単にボクに明け渡して。頭の中はカルチョで一杯。きっとずっとそれだけで生きてきた、一途で情熱的なボクのペット。彼はボクを見て怒って笑って、そして泣いて。ちっともボクを飽きさせない。

 ボクは他人の中で彼と一緒にいる時間が一番長くて。日中には、互いの中にあるサッカーのパッションの交換を続ける。これは選手ではない彼女たちとは実現不可能なこと。彼はボクの傍に立ち、一緒にピッチに立つ夢をそんな近未来を、楽しくボクのこの目にうつしだしてくれる。チームメイトに限定しても、多分今はボクが一番あの子の傍にいる。そう、本当はそれだけで十分満足できることで。でも、そんなボクの大好きなあの子を、ボクの悪癖が変えていく。そのことを思うとたまらなくなる。考えたくないのに、頭から離れない。

   どうして、こんなことになってしまったのか

 ため息が出る。ボクはあの子のことになると、てんで自分をコントロールすることができやしない。遊びたくてやってるわけでもない。使い捨てにする気もない。本当にこうした穏やかな時間を大切にしたいと思っているのに、こんなに苦しい思いをする羽目になるなんて。今まではどんなことがあっても、その時その時で自分のやり方を整理してきたつもりだし。熟考の上結論付けた気持ちが揺らぐこともそんなにはなかったはず。なのに、あの子のことだけは。自分のことなのに、とてもあやふやで。振り回すことが大好きなこのボクが、彼を前にするとまるで止まることを知らない振り子のように思考が、判断が揺れ動く。

 ボクに泣いていいといいながら、まるでボクの代わりとでも言うように、あんなに沢山の涙を落としてくれた優しい子。前回は自分がどうしようもなくて、ごめんねって沢山言って、彼の体に触れたボク。もうなかったことにしようと思ってた矢先に、彼のかわいさに思わず触れてしまった昨日のボク。大事な大事なボクの飼い犬を、ボクは大事にできやしない。おもちゃにする気もないくせに、そうやっておもちゃにしてしまう。酔ってお酒のせいにしては見たものの、彼の前ではそんな馬鹿げた嘘しか思いつかない。ボクが忘れろ忘れろと繰り返し、そして簡単に彼の体を弄ぶから、真っ直ぐな彼はきっと今頃また苦しんでる。

   願わくば
   あの子が昨日、口にしていた沢山のあのアルコールで
   ボクのいたずらがすべてなかったことになりますように

 今度こそは、ボクは彼のいい飼い主に。彼のリスペクトを受けるにふさわしい誠実で有能な先輩に。少しでも彼の役に立てますようにと願いながら、ボクは沢山のおもちゃをキミのためだけにこうして用意する。

   だからボクの傍にいて欲しい
   飼い犬のままでボクの隣に
   決して使い捨てのおもちゃになんかならないで?

 今日から年明けまで沢山のおもちゃと遊ぶスケジュールを詰め込んだジーノは、年明けの再会に思いを馳せる。考える気がなくても四六時中頭から離れないかわいい愛犬。自慢げに笑い、屈託なく笑う赤崎の姿を寝ても覚めても思い浮べる、そんな風に過ごす忙しい冬のオフ。