お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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飼い犬と飼い主 5

前回我慢できずザッキーに軽くちょっかいを出してしまって大後悔のジーノが今度こそはとほのぼののんびり飼い犬生活を目指します。良い先輩になるため頑張ってる幸せなジーノと、優しいホワイト版ジーノに可愛がられて幸せなザッキー、今回はそんな二人の原作1年前の年明けから夏までの話。エロなし健全。王子、赤崎、赤崎父、モブ女(気配)、ジュニアユースっ子(気配)、赤崎のジュニアユースの仲間(気配)。次回!バトル展開ッッ!!(エッ

散歩は一緒に

「今日は何食べたい?」

 トレーニングルームでクールダウンをする隣で雑誌を広げながら王子は言う。もう今では彼の中で俺が彼の手を握ったその日は誘いの言葉を省略してこんな感じで当然のように一緒に食べるメニューの話をする。

「今日めっちゃ暑かったし、この前作ってくれたトマトのあれ、また食べたいッス」
「あー、冷製トマトのカペッリーニだね?了解だよ。」

 最近では当たり前のようにまた彼の家に出入りするようになっていた。飼い主の彼は彼の言うように先輩であった頃の彼と同じで、本当に親切で優しく、俺を見てニコニコ笑う。俺は上手に彼のお気に入りのペットになれたようだった。こんな二人で過ごす時間はほんの少しだけ寂しくて、でも楽しかった。

 食事が終わり、のんびりと先日の負け試合の録画を二人で眺める。今季もチームは成績がふるわず、また王子のプレイも昨年にも増して気紛れで。大きな画面の中にいる彼はふわふわとマークを連れてのんびりと歩いていた。

「これまた、えらい退屈そうな王子だこと。」
「ペットのいない散歩なんてつまんないものさ。」

 少し間を置いてから茶化すような返事をしてきた彼の、ちらっと俺に向けた目線はとても意味深で。この、一瞬の逡巡と意味深なアウトプットが彼の魅惑的な部分の一つかと思う。わざとなんだろうか、癖なんだろうか。あまり見かけたことがなかったけれど、最近稀にだけどこういう言葉を探す仕草を見せる。

「それって俺いないとヤル気出ねぇとか、そういう話?」

 たまには彼のからかいの言葉に乗ってみようかなんて反抗の意味も込めて返事をしたつもりが、王子はなぜかとぼけた顔をして“お手”と言った。思わず反射的に手を乗せると、お利口だね、と言って優しく笑った。こういう時の彼の言葉や仕草って、結局冗談めかした彼の本心なんじゃないかなんて、俺はやっぱり錯覚してしまった。俺もあの芝生の上を、王子と一緒に散歩がしたいんだ、とか思わず言いたかったけれど。彼に全部冗談にされて笑われるのがわかっていたので言わないことにしておいた。

 彼のこの時折見せる逡巡の美しさの理由は後になってわかった。それは彼からサッカーへの溢れる様な愛情とそれに伴う苦悩が一瞬漏れ出ていた姿だった。情熱という名の憂いが、俺がこの頃の彼に感じていた危うい魅力の根幹でもあったのだと思う。