お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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飼い犬と飼い主 6

ジーノご乱心アワワで色々踏み外して幸せ飼い犬生活がぶっ壊れます。やっとこR-18 な時期に入りました。(ほのぼのエロなしから一転、バトル展開!というよりウツ展開?) 5と6で落差激しいです。王子、赤崎、黒田、夏木一家、村越、モブ女で、ジノ→←ザキ、ナツ+ジノ、ジノ+コシなどなど。

失速

   飼い犬との生活は快適だ
   そう、とても快適
   そうだろう?ジーノ

 キッチリと綺麗に線を引いたので、今のボクの飼い犬はとても従順でお利口だ。時々彼が寂しい物欲しげな顔をすることさえ目を瞑れば、ボクの望んだ一番いいゲーム展開だと言える。ボクの方が彼に過剰なスキンシップを行わない限り、彼は上手に“待て”を続ける。そう、しつけは完璧だ。あれだけボクを悩ませていた色んなことは、もう綺麗さっぱり。

 今度こそボクは彼の良き先輩として、良き飼い主として。こうして線を引いて過ごす彼との時間はとても穏やか。平和で退屈や不満を感じる暇もなくあっという間に過ぎていく。まさにこれが安寧というものなんだ、多分…。

 彼のいない時間はやっぱり退屈だからボクの周りをおもちゃで一杯にする。彼女たちの時間も目的があるので以前ほどは退屈ではない。必要不可欠なバランサーの働きを上手にしてくれている。これもまたボクのプラン通り。飼い犬とおもちゃ、カーサとヴィラ。ボクの天秤にはやっぱり二つが必要だ。そうでないと立ってられない、ヤジロベエのようにボクには足が一つしかないからだ。今だボクはミラクルを起せない。

    *  *  *

   そう、私生活は上々だ
   でも一番肝心な…

 ボクの症状を知る者はこの国にはそれほどいない。昔の知り合い、昔の主治医とそんなくらい。大学以降に知り合った人たちは誰もあの時期のボクのことを知らない。それにボクもまたここ数年は自身のチェックを、また、記録を残すことをしてこなかった。

 まだ誤魔化せてはいるけれど、今のボクはプロとして活動するには次第に厳しい水準に入りつつある。体がぎくしゃくとするのが嫌で、まるでプレイのためでなくさぼるためにピッチに立っているみたいだ。…おそらく受診が必要だ。そして結果は当然長期離脱か引退か。多分そんな感じだ。崩れる体を拾い集めてまともなふりをするのはもうそろそろ限界。

 もともとボクの治療はベストである完治ではなくベターの寛解を目指した方向性で、これでもむしろ長く持ってる方。そう、これもまた上々の部類。ボクの故障箇所はメディカルを簡単に通過できる場所にあるわけだけど。別にわざわざ隠しているわけでなし、周りが気付かずともそれはボクのせいではない。
 ボクはマヌケなGMが気付かないをいいことに、素知らぬ顔で延長契約のサインをした。とても続けられるなんて思ってなかったし、想定外だった。もう少し選手が出来ることになって単純に嬉しかった。ボクは彼を嫌いじゃないけど契約は契約、仕方がないことだよね?だからこのことに関しては今でも全く後悔はしていない。それに、そのおかげでかわいい飼い犬にも出会うことが出来たし。
 ボクのプレイの水準はみんなの期待に十分応えられているとは言えないけれど、自分で設定した最低限の目標レベルにはちゃんと到達している。ボクなりにはソコソコやれてるってそういう自負があるから、まあ、いいよね?

 とはいえ。全く気にかからないかというとさすがにそうもいかなくて。今、チームの得点力は確実に落ちていてとてもいい状態とは言えない、さすがに。ボクのコンディションが入団当初と比較して落ちてきているせいもあるのは理解している。ボクのパフォーマンスがチームバランスを著しく崩しているのは確かに自覚がある。今までそれなりに出来ていたつもりだけど、今はマーカーを釣る以外は上手に誤魔化しているだけで役割を果たしていない感じだから。対戦チームに警戒不要な選手だってバレたら大変だな、と思う。プレイは出来なくても演技くらいはしっかり頑張らなきゃいけない。

 ボクの全盛期はあのU17候補の話が出た頃で終わり。二つ目の小さいピークは入団した後くらいかな?あとは下降の一途。小手先のテクニックと演技で煙に巻いていることを、ボクは誰にも言わない。退団するその日まで、我儘王子として毎日涼しい顔をし続ける。これもまた選手の命が消えかかっている人間は誰しもがやること。選手生命を完全に絶たれでもしなければ、潔い決断なんてそう簡単には。この陶酔を知ってしまった人間には到底無理な事だろう。そういうものだ。

   でもこれって…すでにサッカーとはいえな…

 考えても不毛なことは考えるのはやめておこう。ピッチに立ち、走り、ボールを蹴り、ゴールを目指す。サッカーというのはそういうものなのだから、ボクがこうしてここにいる意味なんてあんまり考察するもんじゃない。どこからどうみても、ボクは今、サッカー選手だ。そのことについて誰も疑問など持ちはしない。

   そう、ボク以外はね