お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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飼い犬と飼い主 9

今回は一直線のザッキーを書くのがテーマでした。どんな時も逃げ出さずにあくまでも冷静に問題点を突き詰め立ち向かっていく。この突き詰め→努力→解決で今まですべてを乗り越えられてきたザッキーが今回初めて解決しきれず少しずつ空回りの絶望の世界を知っていくという。ジーノ失速を曲解したせいです。時系列は9と8で重複。ちなみにこの頃のザッキー、実際にはサッカーへの集中力は半端なく、選手としてグングン成長し始めているけれど、一段と向上心が強まりちょっとやそっとの達成感じゃ満足できないようになってきただけです。

渇望と悲痛の積み重ね2

 やっぱり考えてしまう。今こうしてボクに抱かれながらうっとりと目を細めてセックスの世界に埋没して体だけになってるザッキー。ボクの罠に囚われてくれた、もがき苦しむやんちゃで小さな赤ウサギ。

   ねぇ、キミは今、何を思う?

    *  *  *

 あの日、彼が必要もないボクの手を欲した日から、ボクの心は張り裂けんばかりに罪悪感に苛まれている。ボクはまるで自分が彼を甘やかすようなことを口にしたけれど、そんなの嘘だ。ボクは彼の事を大切にしたいのにボクのエゴを捨てきれない。別れを口にしながらボクは、陰に隠れてそっと胸を撫で下ろす。ボクの言葉に逆らうように別れないと言い張った彼の選択に安堵するような愚かな真似をしている。

 ここ最近の彼の頑張りは素晴らしいものがある。やっとトップチームの環境に慣れ未来を夢見て、その情熱が確実に彼の血肉となってあの躍動感が生まれてきている。入団当初にボクが見つけた彼の煌めき。それがドンドン洗練されていき最近では周りにも十分認知されるくらいに安定感が出てきた。仲間の選手のそれぞれのカラーもしっかりと認識した上で鋭く彼らの弱点と強みを指摘し、周りはそんな彼にカッと来ながらも徐々に変化の波が起き始めている様なそんな気がした。

   早く手を離してあげなくちゃ

 屈託なく笑う彼が、最近少しずつ暗い顔になってきている。ようやく彼の才能が開花する瞬間を迎え始めたというのに、彼の精神は幼くデリケートで、ちょっとしたことでユラユラと揺れてしまう。20歳そこそこの若者なんだから当然だ。今彼が背負っている重みは通常の人間が普通に生活していて抱える様な重たさではない。誰にも話すことのできない後ろ暗いボクとの関係性は、確実に彼の精神を病ませる原因となっているだろう。

   そう、早く手を離してあげなくちゃ
   ああ、なのにボクはまた

 騙されきっている彼の目がまた勘違いでボクを追う。この快感が、ボクの邪悪を増大させる。不安げにすがるような瞳を向けられてボクは、彼のはちきれんばかりの瑞々しい果実を、もう一粒、もう一房と、つまむことがやめられない。決して許されない、ボクの罪。

「ザッキー…」

 小さく小さく彼を呼ぶ。どうか、彼に聞こえませんようにと願いながら呟くのを止められない。でもまた彼に聞こえてしまう、ボクの声。彼は彼の従順そのままに、優しげな微笑を湛えながらボクに歩み寄ってくる。それを見た時のボクの感動。ボクの快感。それがボクを追い詰める。ああ、ボク達はまたあの夜を過ごしてしまうのだ。泣きそうになりながら彼を待つ。給水を取るボクの肩をポンポンと叩いて彼は言う。

「あ、王子スイマセン、そのボトル次俺に。いいッスか?」
「ん…どうぞ?」

 何の変哲もないチームの日常風景。でも心の中でひっそりと目配せする二人。暗黙の了解。ボクはまた今晩、彼をあの世界に引き摺り込んで、彼の苦悩の傷をまた一つ増やすことになってしまった。

    *  *  *

 彼は今、ボクにまた奏でられ続けて、もう息も絶え絶えに身を捩りまくる他なくなっている。ボクは彼の世界に虜。あまりにもボクとは違う飼い犬。彼の中にはボクの知らない驚くほどの清らかな世界が未知なる広がりが存在している。その存在を垣間見る度に、ゾクゾクと性快楽にとても近い官能が体全体に湧き上がる。凌辱したい。メチャメチャにその清純を食い散らかしたい。
 体だけは大人になってしまった子どもの彼を、これでもかというほどに蹂躙する。やめよう、やめようと思うのに、その思いのすべてが逆におそろしいまでの性欲となって淫らな夜を求め続けてしまう。彼を貪り、溢れる熱さを液状の熱に変えて、今またこうして、吐き出して、吐き出して、吐き出し続けて。まるでこれはボクの彼に対する暴力。欲するほどに彼を穢し、痛めつけていく。卑猥な声をわざとあげさせ、淫靡に彼を煽り、彼の快楽を引き摺りだし、どうにも逃げ切れない彼をさらに縛り上げて荒波に沈めていく。

 こんな状態、やっぱり駄目だと思う。

 なのに止まらない。この苦痛が強ければ強いほどにボクは彼に執着し、おそるべき快楽が自分の内部に巻き起こる。ボクは紛れもなく彼の足枷だ。ボクに日々こんな禁忌を仕込まれて、一体彼はこの先どうなっていってしまう?ボクはいつか彼を壊す。彼の健やかな身も心もすべて破壊しつくし、彼という宝石のような花を枯らしてしまうだろう。

   もう、足元がぬかるんで一歩も動かないんだ、ザッキー
   だからキミこうしてしがみつくことをやめられない
   支えている顔をしながらボクはキミに負担をかけ続けている

   それがバレてしまってはキミは去るだろうとボクはさらに嘘ばかり

   もう限界だ、嘘は続かない
   わかっているのに、もう少し、あとほんのちょっとだけと
   どうしようもなくキミをメチャメチャにしてしまいたい

 飼い犬は簡単にボクの嘘を見抜く。見抜かれるその日までこうしてこのままなんて、恐ろしくて到底考えたくもない。ボクの限界、彼の限界。期限が迫っているのにやっぱりボクは彼をつまむことをやめられない。飼い犬はボクに抱かれ、優しく笑う。安心して眠る。ボクは償いに彼に歌を歌う。彼の好きそうな愛の歌。彼の欲しがる恋の歌。それでもこれはボクの悲しみの歌。傲慢の歌。自分勝手な、見苦しい執着の歌。

   キミがいないと心が細る
   キミがいないとため息ばかり
   Cessa、やめて、rigor、苦しい

 ボクを信じてという部分を歌う時、ボクの心が締め付けられる。ボクを信じて?何を言ってる?それを言うならボクに騙されないで、だ。そんな気持ちで歌い続ける傲慢の歌。ボクは本当に大馬鹿野郎だ。