お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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鎖に繋がれて 3

キャンプが終わってから開幕までの練習風景。練習なんで選手みんないますが、しゃべっているのはほぼジノザキ二人だけです。前回UPしたバレンタインデー物は一応時系列的には「逢魔時」の手前あたりになります。ちなみに「幻9」と「幻10」の間に東京V戦が挟まっています。

不安

 赤崎が後から気付く、ジーノの変調。なぜあの日あんなにシュート練習をしようとしたのか。不安の中にあるジーノの状態を、当日もその翌日も赤崎は感知出来なかった。今日も遅刻してきたジーノは不愉快な顔でおはようの挨拶。もうここ最近は毎度のことだ。

「……」
「え?王子、なんて?」

 傍に誰もいないと思っていたのか、問うた赤崎の方が吃驚するほどジーノは驚いていた。

「なんだ、脅かさないでよ」
「別にそんなつもりは…で、何ですか?何か言いませんでした?」
「あぁ、何って…」

 この時のジーノの逡巡に見覚えがあった。こうして男が言葉を探し始めたということは、今言ったはずの言葉を赤崎に伝える意思がないということを意味していた。

「そうそう、キミさ、居残りでもっとシュートの練習しといたほうがってね。そういうことを考えてたんだ」

 少し間を置いてから茶化すような返事をしてきた彼の、ちらっと赤崎に向けた目線は案の定とても意味深で。話題のすり替えが起こっている事は明白だったが、その視線、その言い方が上手に赤崎の神経を逆撫でするものだったので思わずムッとしてしまう。

「あれ?怒った?」
「どういう意味ッスか?」
「珍しく察しがいいね。そうだよ?ボクは今、キミにシュートが本当に下手くそだねって言ったんだ」
「なッ!」
「なんでもいいから枠に飛ばすことだ。ねぇ、いい加減決定力付けておかないとこの先えらい目にあうよ?」
「悪かったな枠いかなくて!わかってるよ!余計なお世話だ!」
「馬鹿じゃない?わかってるんだったらギャンギャン言ってないでやればいいだけの話だろう?」

 すっかり腹を立てた赤崎だったが、結果的にジーノの思惑通りその日から特に念入りにシュートの練習をすることになった。意地でも見返してやる。ジーノに上手に転がされて、いとも簡単に闘争本能に火がついたのだった。

 この先えらい目にあう。この時赤崎は気付くことがなかった。赤崎の一人の選手としての有り方を問う形に偽装させながらジーノが匂わせた人知れぬ危惧。今季は怪我明けの夏木だけでなく、自身も攻撃のコマとして数えられない。この時、開幕直後から1点に苦悩するチームの未来をジーノの目は見ていたのだった。