鎖に繋がれて 4
プレシーズンマッチ直後から4月下旬くらいまで一気に。登場人物は王子、赤崎、持田、達海、名前だけ椿、有里、夏木って感じです。幻11と夢うつつは同じ時系列をザキ視点とジノ視点で追ってます。この次のUP分も重複した時間の別視点(ジノモチ気味な角度からのジノ視点とモチ視点)になります。
ジーノ、夢うつつ2
リーグ戦 第5節 対戦:横浜マリナーズ ○1-0
アウェー戦。ナッツが戻ってきてただでさえ目障りなのに、今日はマークがぴっちり張り付いてなんだかとても面倒くさい。ここ最近ちょっとボクもはしゃぎすぎちゃって変に相手チームに目をつけられてしまったかな?迂闊だった。
気分が乗らないでいるとなんだかバッキーも似たような感じだ。キミはどうしてこうもボクと同じ心の動きをするんだい?波があるのは仕方のないことだけれど、こういう時こそスカッとしたプレイでボクの気晴らしをさせてくれてもいいかと思うんだ。
退屈で眠い。連戦の疲れと、ザッキーとの夜に熱中しすぎのせいもあるのかな?だってやっぱりボクは独りぽっちの時間が苦手。なんだかアウェーの夜は興奮してしまって、いつも異常に彼を食い散らかしたくなってしまう。
バッキーのおかげでいくつかチャンスが潰れたといったら、予想通りまたしょげていた。彼のしょげる顔を見ても、前ほど不快は感じなかった。慣れちゃったのかな?人は多少の試練が必要だしね、これくらいはいいだろう。
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ジャパン杯予選リーグ 第4節 対戦:清水インパルス △0-0
体は軽いはずだ。気のせいだ。考えるな。連戦の疲れかもしれない。彼を抱いて気晴らしをしよう。手早く済ますからとアウェーのスタジアムのトイレに彼を押し込めよう。とても怖そうに震えながら、それでもキミはいつも以上に興奮するんだ。本当にいけないことが好きなんだよねキミって子は。全くいやらしい。
試合はスコアレスドロー。白星は3つでストップか。少し休んで切り替えよう。セリーが足を負傷したようだけど、大丈夫みたいだ。彼の足は大丈夫。軽いものだ。1週間ほどだっていうから。ジーノ、しっかりしろ。大丈夫だ。
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リーグ戦 第6節 対戦:浦和レッドスター △1-1
ナッツの足のことを考えるのはもうやめろ。セリーも来週から練習に復帰すると言っていた。考えるな。不愉快だ。体が止まる気がする。違う。それも考えるな。気のせいだ。意識せず、試合に集中し、楽しむこと。やれていたことだろう?こんなことだから、ほら。集中力が。ボールを簡単にカットされてしまう。試合に入り込め。ボクはもう、ああいう状態はごめんなんだ。
ザッキーだけでは足りないような感じ。久しぶりに街に遊びに出かけよう。タッツミーが見ている気がする。気を付けなければ。
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リーグ戦 第7節 対戦:ヴァンガード甲府 △1-1
だめだ。アウェーの移動のせいじゃない。連戦のせいでもない。ナッツとプレイするにはまだボクは気持ちの準備がしきれていなかった。兆候は完全に練習の時からでていた。やっぱり今日はとうとう試合中でも。タッツミーが見ている。大丈夫、まだ誤魔化せる。ボクは守備もさぼるし、集中力の切れやすい気紛れな王子だよ?そうにしか見えないだろう?
ピッチにいるザッキーの動きがよく見えない。ベッドで抱こうにも全く彼の感触がしない。違うことを考えろ。なんでもいい。どの女がいい?一人インテリアの店でも見に行こうか?ボクの息が詰まっていく。
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ナッツの足を見てしまう。タッツミーの視線が痛い。こんなことでは練習が練習ではなくなって、遅刻早退を繰り返す。のん気な態度で悪びれもせずに口だけ謝罪するボクの言葉にタッツミーは騙されない。ボクは少し間抜けなくらいの腑抜けた我儘王子だ。それ以上のボクを見つけないでタッツミー。練習後呼び出されて少し休むかと言われた。ゾッとした。彼だけには気づかれたくない。
ザッキーを抱けない。考えるだけでもなんか怖い。だけど他のどんな女を抱いても足りない。彼女らとの乾いた快感だけでは今のボクの気晴らしにもならない。今はもう、セックスどころか、アポをとることさえ億劫になってきた。でもやんなくちゃ。やんなくちゃ。だって独りぽっちは苦手だから。
こんなにプレイに強い症状が出るのはどれだけぶりなんだろう。タイミングが悪すぎる。なにもタッツミーがここにいる今でなくても。でも、もう遅い。バレるのは時間の問題だ。バレるにしても、どこまでバラすか。今のボクにはそれが一番の命題だ。
頭がガンガンする。考えたいのに頭がうまく回らない。最悪な気分だ。無理矢理ザッキーを呼んでおもちゃにしてみようとしたけれど、やっぱり全然気持ちよくなかった!心も体もがらんどうになる思いだった。こんな時に、キミはちっとも役立ちやしない!
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リーグ戦 第8節 対戦:モンテビア山形 △1-1
やりにくい一戦だった。タッツミーもそう感じていたようだ。セットプレーでなんとか引き分けたけれど、今のボクの状態から考えれば本当にこれはラッキーな引き分けだ。もうプレイがボロボロ、誤魔化すだけで精一杯。まわりが見えない。全然見えない。こうなってしまってはボクはもうなにもできない棒切れみたいなものだ。ザッキー、ザッキー。ボクはもう、キミになにも残してあげられない。なんだろう、とても悲しい。今、ボクは何を思って泣いている?
試合後のクールダウン。タッツミーがボクを無言で見ている。疲れた。今日はもうなにも考えることができない。体が重い。身軽になったはずのボクは今、一体なにを背負っているんだろう。ごめんね、今日は無理だタッツミー。話しかけないで欲しい。でもわかる。今日はもう許してもらえない。わかっている。十分キミは待ってくれたよ。十分だ。わかっているんだ。でも、今日は本当にヘトヘトで…。ほんの少しだけ少しだけでいいから眠りたい。ザッキー、ザッキー!ボクはキミがいないと眠れない。ボクはキミを使わないとどうしても眠れないんだ。でももう、多分。そう、多分、キミを使ってももうこれからさき上手にまた眠れなくなるだろう。もう駄目だ、タッツミーがくるんだよ、ザッキー。もう、駄目だ。ひとたまりもないよきっとね、だってタッツミーなんだもの。
