鎖に繋がれて 11
やっとこジノザキ仲直りして、チュッチュしながらおしまいです。と言いつつ、エピローグ的な話もチラチラUP予定です。よろしければそちらも。ザッキー無双!ってやってたらなんだかどうにも……一応ジノザキですよ?
膠着
赤崎の嗚咽が落ち着いてジーノが言う。
「……そろそろ、もう……いいかな」
身を離そうとしてみるものの、やはり縋る赤崎の腕はそのままに。
「嫌だ、まだ、です……王子」
「ザッキー……さすがにそろそろ寝た方が」
「まだだ、まだ俺に、付き合っ……ッ」
「困った子だ……まぁ、いいけど、でもザッキー、もうちょっとだけだよ?」
こんなことを口にしながら、忍びないのは自分も同じ。このままこの時が止まればいいとさえ思うジーノに、赤崎は続けてこう呟く。体のヒクつきは嗚咽のソレなのか、もしくは快楽の苦痛によるものか。
「ッ……付き合……」
「うん」
「本……当にッ……?」
「いいよ」
「なら……」
「なんだい?」
「し……してくだ……」
「ん?何を?」
「今から、俺の、こと……抱い……」
「えぇ?」
「俺に付合っ……王、子」
「その状態で?ハハハ、何を……お盛んなのはいいけど無理に決まってるだろう?物足りなきゃ後で、おうちに帰っておもちゃでお遊びよ。今はもう駄目、おしまいだ」
「お願い……しま……」
「ザッキー、悪いけどボクは薄汚れてしまったキミにもう興味はないし、もう二度と抱くことはない」
ふるふると首を振る赤崎にあきれたようにジーノが言う。
「淫乱に火が付いちゃってヤル気満々ってわけ?全く……考えてもみなよ、大体今のキミのそのコンディションじゃ……本当におかしくなってしまうよ?もう十分だろう?ほら、こうして抱き締めてあげるから、馬鹿な事言ってないでこのまま少しお休み?」
「い……やだ……全然、まだ……なんにも、王子は……。教えて、お……じ。俺に教え……」
「この期に及んでキミ、まだそれを言うの?もういいだろう?悪い遊びはもう終わりだ」
「もっと、教えてください……ッん……王子……俺に」
「ねぇ、途中で半分殺されかかってて、なんでまだそういうことが言える?今回最初にしては結構ハードに遊ばせてもらったんだ。お気に召してもとっくにキミ自身限界を超えてる。どこまで色狂いなんだキミは。自分を管理する力をもう少し」
やはり赤崎が嫌々をしている。
「弱ったなぁ……変に目覚めてしまって。埋める喜びを知ったはいいけど、使いたい道具にボクを選ぶのは間違ってる。それとこれとは違うだろう?」
「キミの今のその苦しみは全部ボクのせいなんだよ?なのにボクに抱かれたいとか……本当にどうかしてる。十分心も体も思い知ったはずだ、ボクがどんな人間か。こんなもので今キミを埋めようとしても、もう今までのように気持ちよくイケないことくらいわかるだろ?自罰的な倒錯も過ぎると病んじゃうよ?」
「それに、その体の状態は今のままでも悪くしたら数日続くわけだし、それってキミが思うよりずっと大変で……」
「……王子、俺……が……」
快楽が体を襲うのを必死で我慢をして、一言一言刻むように言う。
「俺が今、思い知ったのは」
喘ぎ、喘ぎ。
「あんたの、優しさだし……」
「ザッキー、馬鹿げたことを」
「……だからやっぱり、あんた俺のこと、好きなんだ……よな?」
「あんな目にあった後に一体何言って……ボクはさっきから何度も何度もキミにそれは錯覚だと言ってるだろう?」
「……」
「ボクがやっていたのは自分本位な調教だし、キミが欲しかったのは愛じゃなくて餌だったんだよ。優しさとか、思いやりとかそういうモノとは一切縁のない関係の中でボク達は」
「王子ッ」
引かない赤崎と引くジーノの、押し問答のやり直し。精も根も尽き果てているはずの二人、再び感情が昂ぶり、ジーノはとうとう余裕のなさから怒鳴り声になり始めてしまう。
「いい加減にしなよ!ボクはキミをメチャメチャにするんだ。わかるだろう?楽しいんだ、この手のことがね?本当はこんなもんじゃない、ボクはもっともっと残酷なことを平気でキミにやれる!」
「王子、」
「抱かれたい?何を以て?ボクはキミを愛なんかでは抱かないよ?悪意だ。破滅させたいんだキミを。ボロボロのゴミ屑みたいな……そんな、どうなったっていいくらい」
「うん、どうなったっていいよ俺」
赤崎は喘ぎ、体を震わせながらも、再びリビングでしたようにジーノに降るほどのキスをする。キスの好きな男もまた吐息を漏らしながら十分その身に受けつつも、もう、それこそ必死に言い返す。
「だから、だから、キミはそうやって、いっつも……自由に好き勝手な事ばかり……こっちの身にもなってよ!不謹慎な遊びが気に入ったからって、遊び相手は選ぶべきだ。ボクとはもうおしまい!だって、もう、これ以上続けてたら本当にキミ、殺されちゃうよ?やりたくなっちゃうんだ、とことんね?ボクは少しおかしいんだ、止められない、今だってもうすでに歯止めが効かないくらいにボクはキミを……」
「好き?歯止めが効かないくらいに」
「だから!違……う、そう……じゃない、ザッ」
赤崎はそんな男を逃がすまいと押さえつける様にキスをしながら、今まで一度も口に出したことのない彼への言葉を贈る。
「俺も、好きだ……本当だ、王子」
「やめてよ、わからず屋!正真正銘の馬鹿だキミは。まだわからないのかい?いい加減にしてくれ!」
「愛してる」
「うるさい!」
「ねぇ、わかってください、王子、好きなんだ。俺はちっとも騙されてなんかいない」
「ボクはキミが嫌いなんだ!……ッ!ボクがキミに与えているのは、強い憤りと絶望で、だから……そのこと、に、ついては今謝ったじゃないか!だから、だからもう」
「俺、いるから!……ずっと、ここにいる!ぜってぇ追い出せねぇからな?あんたの、一人ぽっちのあんたのすぐ隣に、いつだって、疲れたら王子、凭れていい、だから」
「違う、違う!やめてくれ!こん……な……、ん……」
ジーノが口を開く度に、その口元に、その舌先に。数限りないジーノへのキスを。
「一緒に、いさせて?王子……俺、もっとまだまだ頑張れるし。大丈夫へっちゃら、絶対だ、俺のこと信じろよ、なぁ、王子」
「そうじゃないんだ、ザッキー、違う!そうじゃない、ボクが言いたいのは」
「あんたが安心して休めるように、気兼ねなく寛いで思いのままに泣けるように、なんでもやる。どんだけでもやる、あんたは何したっていい。その為なら何されたって俺は」
「何したってって……本気で死ぬつもりなのかい?正気の沙汰じゃない!」
「あんたは俺を殺せない。でも殺したくなっちゃったっていい。構わない。そんでもいいよ、王子。あんたなら」
「違う……!」
「あんた優しくて、人なんかちっとも壊せやしない。やってるつもりかもしんねぇけど大袈裟なんだよ。こんなん、全然足りねぇ。俺にとっちゃまるで痛くも痒くも……」
「ザッキー、もういい!駄目だよ、動かないで?負けず嫌い!痛くて、苦しいだろう?いいんだ、いい加減もうやめてよ!」
快楽を逃がしながら赤崎が必死になって気持ちを伝える。震えながらジーノにキスをして手で男の腹部をまさぐる。赤崎は勝手にエクスタシーが襲う体で、懸命にジーノの情欲を煽り、泣きながらしがみ付いていた。
「はぁ、うぅ!」
「ほら!キミこれ以上無理なんだよ!じっとして、いい加減大人しくしてよ、ザッキー!」
「あんた、逆らえないよ。絶対あんたは俺のこと抱くから、知ってるから」
それでも赤崎は、バスローブ越しからもわかるジーノのもうすっかり熱を持ったソコを欲して。
「あ、何すッ……やめ……!」
「そんな優しさいらねぇよ!ねぇ、これ、俺に……今すぐ、」
「恥ずかしくないのかい!?キミは、こんなッ……下劣なこと出来る子じゃ……あ……」
もっと、もっと、震える唇に絡みつく舌先。早く、急いで、滾るソコを弄る指先。一糸まとわぬ素肌の赤崎が喘ぎ喘ぎ身を摺り寄せて、卑猥なままにジーノを欲す。
必死に首を左右に振っていたジーノの冷たい体はドンドン熱が帯び、吐息は上がり、真っ青だった頬にも上気の暖色が浮かび始めていた。
「わかったから、もういい、そんな……やめなって、キミおかしいよ」
「……わかってねぇよ、王子、来て、俺もう……あッ……!」
「謝るから、悪かったよ、お願いだから本当に、無茶しないで!そういうんじゃないだろ?キミは、ッどうかなっちゃ……」
「俺がどうなっても、あんたに関係ねぇだろ!早く抱けよ!本当に俺のことどうだっていいんなら出来るだろうが!」
「ザッキー、本当にやめて、これ以上……んッ……」
延々続く、怒鳴りあいの押し問答。自らがこんな形で欲望のままにジーノを欲し、ねだってみせるのは当然これが初めてで、次に戸惑いの欲情の中に追い詰められるのはジーノの番だった。
