お花結び

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鎖を解いて 2 【2部完】

ジーノと後藤  クラブハウス。ETU事務室。  11時からはクライアントとの打ち …

ジーノと後藤

 クラブハウス。ETU事務室。

 11時からはクライアントとの打ち合わせ。お迎え、買い出し、会場設営、事務室の人間は慌ただしい準備のために一同揃って出払っていた。後藤を除いて。
 彼は今、朝のミーティングで決まった新しい案件を、急遽作成済みだった会議資料に反映させるためにPCに向かって悪戦苦闘している最中だった。

 そんな中、人の気配がしたので後藤が振り向くとそこには仏頂面のジーノの姿が。

「うわ!王子」
「うわって……何それ。なんか失礼じゃない?」
「お前今まで一体何処で何をして!」
「ん?言ってなかった?バカンスだよバカンス。今回のお土産はボク。嬉しいだろう?」
「ホントにお前って奴は!いい加減にしろよそういうの!」
「いいから、返して」
「なにを?」
「返してよ、おしゃべり。ほんの冗談だったのにザッキーに告げ口してくれちゃって。キミ馬鹿じゃないの?」
「冗談ってお前」
「いいから早く!返して!レター!」
「ったく、あんなもの冗談で寄越すとか、何考えて……ほら、これか?」
「タッツミーがあんまり意地悪なもんだからちょっとヘソ曲げただけじゃないか」
「ヘソ曲げただと?お前なぁー、子供か!」
「ザッキーから聞いたけどキミ大分焦ってたって?いない間にボクのありがたみを痛感したかい?戻ってきてあげたことに感謝するなら次の契約の時は年棒アップよろしく頼むね」
「……なんだそれは、脅迫か?あぁー、胃が」
「何?お腹空いたの?」
「痛いんだよ!テテ……」
「なんだ痛いだけか」
「だけってお前……」

 そうしてジーノは渡された自分の出した契約解除申請のレターを事務所のシュレッダーにかけに行った。離れた場所から大声で後藤に言う。

「しっかし本当にキミは社会人失格だね。こんな個人情報、簡単に漏らしてくれちゃって!全く飽きれるよ。これが原因で解除申請してもいいくらいだ」
「社会人失格なことをやってんのはお前だろう?」
「なんでもいいからタッツミーんとこ今すぐ行ってあげてよ。で、ちょっと口でも顔でもどこでもいいから舐めといで。そしたら許してあげるから」
「な!何言ってんだお前!」
「本当にキミは馬鹿だね。ボクがいなくなってあの人どんだけ辛かったと思ってるんだい?」
「それはお前が悪いんだろ!」
「ねぇ、いいかい?人んちの飼い主の心配するよりもまずは自分とこの飼い主だろう?あんなに弱らせちゃって、駄目じゃないか!また痩せちゃってたよ?あの人」
「だからそれはお前が!」
「いいから!朝食の差し入れするだけでもやっといでよ!ボクが舐めてやれって言ってるのはそういう日頃の細やかなケアの積み重ねの話でさー、あー、ホント無神経!デリカシーなさすぎ!あの人生活面での管理能力が絶望的にないことくらい、キミ十分すぎるくらいわかってることでしょ?全く!」
「そりゃ、でも……今はもう昔とは立場も違うしそういう馴れ合いのような」
「友達としては当然GMとしても極めて重要な業務内容だろ?屋台骨が倒れたら一体どうすんのさ!」
「いや、しかし俺はそういうのは少しずつ」
「あー!ほら!モタモタしない!」
「でも俺はこの書類を11時までに……それにあいつ多分まだ寝て……」
「しつこい!そんなのチャチャッと後からでも出来るだろ?それにタッツミーは起きてるよ!あと寝てたら起せばいいだけの話!優先順位が間違ってる上に行動が遅い!ほら、立って今すぐだよ、早く!あの人が太りそうなマヨネーズたっぷり系のヤツでも買ってきなよ!」
「王子、おい……」
「Vai!(行け!)」

 後藤はつかつかと歩み寄ってきたジーノにものすごい剣幕で抱える様に立ち上がらされて、ついでにドンと背中を押された。後藤はそのままヨタヨタとしながら、やれやれと半ば諦め気味に、とりあえず一回様子だけでも見てくるか、と達海の部屋に向かった。

「ハハハ、じゃ、またあとで」

 その背中を見送りながら、ジーノもまた少し遅れてロッカールームに向かって鼻歌を歌いながらテクテク歩いて行った。