鎖を解いて 2 【2部完】
スタート 「はい、以上です。皆わかりましたかー?質問ある人ー」 「ボクは素晴らし …
スタート
「はい、以上です。皆わかりましたかー?質問ある人ー」
「ボクは素晴らしいと思ったよ、タッツミー、ブラボー!」
「お前は何か胡散臭い」
久しぶりの練習場はなんだかとても楽しい。ジーノはそんな気持ちでニコニコ笑いながら参加していた。
(タッツミーの作戦もちゃんとボクのコンディションを考慮したものになっている。さっきはボクが戻らないと思っていたかのような言い方をしていたくせに)
口ではあれこれ言いながら、達海はその実、しっかり復帰を想定したプランを練っていた。ホント曲者っぷりが半端ない、とジーノは呆れつつも嬉しかった。
「お前らがこの試合を面白がれるかどうか!俺の作戦どおりいったらそりゃ面白い試合になる。面白い試合になれば観客も盛り上がる。お前達も余計楽しくプレーできる」
達海がみんなに話をしている中、ジーノに目を合わせる。ジーノは思う。
(タッツミー、そうだね、わかるよ。面白がることだろう?医者に何度も言われてきた。でもあなたの言葉なら勝手に心に染み透る。ボクはもう、この体を引きずるようにしながら、何年も何年も如何に楽しむかを命題に生きてきた)
ジーノはこれまで何度も何度も、面白がろうと、楽しもうと、必死で手を替え品を替え。しかしそれは何故それをせねばならないかを考えることに繋がり、つまりはイップスの恐怖がぶり返し、意識すればするほど困難を極めた。
でも、今達海の言う言葉を聞きながら、ジーノは不思議ともうそれを当たり前にやれる自信に満ち溢れていた。それは自信を超える確信に近いものですらあった。
「そういう時だよ!自分の想像を超えた、いいプレーができちまうって時は!」
そう、これはジーノの確信だった。次の試合、間違いなくボクは最高のパフォーマンスをあなたに見せることができるだろう。そんな思いが込み上げる。なぜなら、こうしているだけで既に心が弾んで、今にも駆け出しそうに興奮しているからだ。
「そんで結果的に今季負けなしの大阪を俺達が初めてやっつけるんだ。ほーら、面白いことずくめだろ?」
そう、必ずボク達はそれをやり遂げるだろう
キミの考えたプランで、ボクたちがピッチで舞う
そうしてこの無敗のジャイアントとの戦いの後、
ボク達みんなで一緒になって、
勝利にはしゃごう、大いに酔おう!
今度はボク達みんながキミをあそこに連れて行くよ、
何度でも、必ず、絶対、約束する
だから、楽しみにしててよね?タッツミー
