絆に結ばれて 1
渾身のイチャ甘ジノザキになる予定。「仲良く遊ぼう」はゲス顔で書いた「沢山遊ぼう」と対。ジーノ長いトンネルを抜けた結果、中からぴょこんと子供が出てきてしまいますが、心を痛めた人は回復期に悪化→赤ちゃん返りすることがあるそうで一応それを踏襲しています。ジーノの回復とザッキーの成長はまだ始まったばかりです。
仲良く遊ぼう
王子はスキンシップ過多な人だ。もともとだ。わかってる。
ここ最近の彼はまた印象が変わってきている。この家にいるとカウチで二人。離れて座っていてもいつの間にか極自然に近づいている。彼はこの家にいると懐いた猫のように俺にまとわりついて離れようとしない。これももともとの彼の癖だ。だけどやっぱり少し違う。前は身を離すと死んでしまうかのような、又は時に高圧的に俺を縛り上げて楽しむかのような顔をしていた王子。けれど今は?まるで子供の様な、甘えた恋人の様な?そんな仕草。腕を、体を、俺から外れる度に極自然に、まるで無意識に絡ませ直す。そうして体勢を落ち着かせては雑誌を眺め続けている。その度に俺はもう、なんだかドギマギしてしまって、どうしようもない心境になってしまったりするのだった。
あんなに高く絶望的に感じられた彼の一切の壁、絶対不可侵だと引かれた強烈な印象の一線の全てが取り払われて、今、こうして不思議なくらいのんびりその辺で気軽にくつろいでくれている。だから彼だけではなくこちらの方にしたって、まるで引き寄せられるように歩み出すこの足を止められないのは当然の話だった。
暗く、少しどぎつい印象さえある、妖艶と称するにふさわしい退廃を感じる夜の王子。以前あんなに毒々しかった彼に散々欲情してしまっていた俺は今、新しい王子に新しい欲情を抱くようになってしまった。
あの頃は彼の愛撫でいつもあの世界に連れて行かれた。王子の手しかない、二人が溶けあうあの世界。二人達した後には必ず生木が裂かれるかのような空しい苦痛を伴うあの官能。それが今はこうして二人特段なんにも話さないでも、一緒に何かをしているわけでもなくても、フワフワとこの家の空間全部に二人が馴染みきってしまって、感じたこともない安心感が広がっている。
触れていなくても安心感。でも触れれば例えようもない安定感。そんな世界だった。今、ここにはとてもゆったりとした時が流れている。
