お花結び

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絆に結ばれて 1

渾身のイチャ甘ジノザキになる予定。「仲良く遊ぼう」はゲス顔で書いた「沢山遊ぼう」と対。ジーノ長いトンネルを抜けた結果、中からぴょこんと子供が出てきてしまいますが、心を痛めた人は回復期に悪化→赤ちゃん返りすることがあるそうで一応それを踏襲しています。ジーノの回復とザッキーの成長はまだ始まったばかりです。

仲良く遊ぼう~初挑戦

 あの再会の夜の体験はまさに衝撃。けれどあの日以来当たり前のように一緒に暮らすようになった俺達だけれど、それっきり王子はまともに俺のことを抱かなくなってしまった。聞けないので理由はわからない。もう俺達にそれがなくなってしまったのか、たまたまなのか。宙ぶらりんなまま1週間以上経とうとしていた。

   *  *  *

 就寝の時間。ベッドの時間。二人横たわり、沢山沢山、星降るキスの嵐。優しい王子は壊れ物のように俺に触れる。穏やかなその指先。包み込む両腕。この行為はとてもあの時のものと似ている。カウチで初めて二人が抱き合った日、心地よい眠りを誘うような、そんな春のような抱擁の時。
 大切にされている。愛されている。とてもとても幸せ。そんなことを感じながら、それでも今ではもうこんなことだけでは満たされきらない俺の全身に火が灯り始める。
 なのに。王子は温かい触れ合いを楽しんでは最後に名残惜しげに二つ三つ口づけて、そのまま俺を自由にする。そして今日も子供を寝かし付けるかのようにこう告げる。

「おやすみ、また明日」

 まるで穢れを知らない天使の笑顔で、柔和に、優美にこうやって二人の一日の終わりを王子は告げる。だからいつも俺は自分をどうして欲しいのかを言いはぐる。でも、それでも、いよいよ以って俺は。

「王子」
「ん?」

 ゆったりと枕に頭を沈めて眠る姿勢になろうとする王子を引き留めると、彼はまるで花が綻ぶようにまた笑った。まるで女性向けのラブロマンスの主役のように、今の王子には性を匂わすそれがない。

「どうしたの?」

 一方、俺は今どんな顔をしているだろう?不釣り合いなほど醜く生臭く汚れてはしないだろうか?そんな感じで、思わず居た堪れなくなってしまう。だって体を重ねるようになってから二人、ここでこうして過ごす夜にあの行為がなかったことなんて一度もありはしなかった。当たり前のように王子の家で暮らすようになったけれど、こんなにもそれがない夜を過ごすだなんて戸惑いばかり。同棲なんてしたことがないからルールがわからない。そりゃあ一緒に暮らす意味はそればかりじゃないこともわかってはいるのだけれど。
 普通はどれくらいの頻度で?日本人は世界的にみても淡泊な方だとは聞いたことがあるけれど、淡泊ってどれくらい?次はいつしてくれるのかだなんて聞きにくい。変なことを考えているのはわかる。でもいつまでもこんなだなんてやっぱり俺は困ってしまう。だって、あの夜はやっぱりあまりに衝撃的で、もしかして彼はもう、あれで全て満足してしまって、浄化してしまったんじゃないかなんて。俺なんか、あれを知ってしまったらもうすっかり王子とのあの行為の虜になって、ずっと心と体がそれを忘れられないでいるというのに。
 だからいよいよ我慢ならなくなって、今日は何も言えないままに顔を隠すようにしながらしがみつく。当然彼に俺の熱を知ってもらいたいがための行為だった。王子、気付けよ。つか気付いてんだろ?そんな思いを込めて彼の足を挟むように足を絡ませてみる。興奮してしまっている自分の体の熱さを押し付ける様に彼の腰骨に触れさせる。

「フフフ、まったくキミは」

 そう言いながらも、王子は知らんぷりして俺の体に腕枕した右手をくるりと巻き付けてはもう一度優雅に笑う。そのチロリと流した視線もまたとても純粋に美しく、そのため俺は自身の邪心を恥じることとなった。
 だが、それでも悪魔の囁きが俺を唆し続けるので、勢いのままにぐっと右足を深く絡ませて彼の体も熱を帯びていないものかと確認することにした。

「あ、駄目だよ」

 あの瞬間を持って彼は己の全ての性欲を昇華してしまったのではないのか、なんの反応も示していなかったら、という俺の不安は杞憂だった。素知らぬ風情の王子のそれは俺のそれ以上に情熱的な姿をしていて、仕草に不釣り合いなほどの滾りを知った瞬間ゾクゾクとした興奮が背筋を走り、思わず俺は王子の右脚を跨ぐ様な姿勢で四つん這いになって彼に覆いかぶさってしまっていた。俺の右膝に王子の熱の感触。心地よいその熱さが膝を蔦って俺を刺激する。欲しい。これが。頭で欲求を認識するよりも前に、俺のあの箇所が疼いていた。王子に指示されたわけでもないうちから清めるのが癖になったあの箇所。

 顔が熱い。火照っているのが自分でもわかる。すると見下ろす王子のその顔が、子供のように穢れのないものから戸惑いのそれに変化し、よく見れば淫靡な獣のような気配がチラチラと見え隠れしていることに気が付いた。なんだ、良かった。俺だけでなく、二人はやっぱり呼び合っていたのだと、そんな実感が湧いてくる。

「本当に、キミっていけない子だ」
「だって俺……」
 
 欲しくて。今自分の発する声とその言葉が、逼迫した甘い猫なで声のおねだりのようなものになってしまっていることにふと気が付く。恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだった。早く王子、この時間を有耶無耶にして、今すぐ二人で、と思うのに、なのに彼は窘める様に左右に振る。

「大人しく、寝よう?」
「なんで?」
「わかるだろ?」

 王子は眉を寄せてとても困ったというような表情を浮かべ、いつものように俺の髪をその長い指先でゆっくりと梳く。宥めるようなその態度が気に食わない。わかるだろうと言われても、わかるわけがなかった。だってもうその心地よい指先の触れ合いにすら俺は興奮してしまう。王子が触れてる場所が、それ以外の全身が、ところ構わずもう熱くて熱くて、どうにかなってしまいそう。
 目の前に御馳走。たまらない。あの日、俺が王子を強引に求めた時とは意味が違う。あの時は俺も必死で、王子も必死で、そして、あんなにも激しく俺は彼を、彼は俺を。ふいに襲う目くるめく官能の想起が眩暈を呼ぶ。もう一度あれを。もっと。欲しい。あの時はひどく俺も混乱していたし、今度はしっかりそれを味わいたい。覚えてしまったのだ、もう。俺はあれを。知ってしまった。忘れることなど出来るわけがない。なのに何故駄目?わかるわけがなかった。

「わ……わかりません」
「わからないわけないだろう?そういうことはちゃんと自分でコントロールしなきゃ駄目だよ」

 その毅然とした態度とコントロールの言葉。そして裏腹の、王子の足が、俺の。

「んッ」

 やわりと彼は右膝を立てたのだ。そしてその卑猥な膝先が俺の猛りをなぞる。俺はたまらず、四つん這いのまま彼の足に自分の陰部を擦りつけるようにしながら両足で彼の膝を挟み込んでしまった。

「あ、あぁ……」
「そうしていると、本当に犬みたいだ」

 震える俺に王子の淡々とした言葉。駄目と言いながら煽ってくる。彼の考えていることがさっぱり理解出来なかった。

「王子、あ、ッ……」

 王子の熱を膝先だけでなくもっともっと感じたくて、自分の熱を王子の右脚に感じて欲しくて、どうしていいものかわからないままに足と腰を居心地のいい形に落ち着かせようと、おずおず彼の膝を滑り降りるようにしながら彼に体を預けようとした。すると王子は腕で俺の上半身を押し止め、四つん這いのままでいろと目で示す。

「あ、なんで……?」
「今までボク、キミのことどうでもいいと思ってる節があったから色々無茶出来たんだけどさ」
「?」
「どうでもよくなくなっちゃったからね。しょうがない」

 しつけのやり直しは大変だなぁ、と王子はそう言って押し止めていた腕の力を抜いてやんわりと俺を引き寄せ抱き締めた。

「わかんねぇ。王子、どうして?」
「わかってよ」
「わかりません、王子、俺、わかんねぇよ」
「そんなに……」

 したい?と見つめた彼の淫靡な眼つきといったらなかった。ああ、その目だ、と思った。なのに。

「でも駄目だよ?困ったな、これじゃ一緒に眠れやしない」
「王子!そんな」
「ねぇ、わかって?ボクだってキミとしたい」
「だったら!」
「キミはおねだりが上手だからさすがにこれ以上そんなだとボクもきついよ。だから」
「嫌だ、俺は」

 ゲストルームに行きなよ、と言われる前に、聞きたくなくてその言葉を静止する。

「キミとのセックス、すっごく良かったから」
「良かったからもう寝ないって?あんで終わりだって?」
「え?」
「嫌だ、王子、お願いだ」
「何言ってるの?」
「わかんねぇ。しつけのし直しとか。我慢大会かよ、どこのドM調教、ッ!痛い痛い痛い!」

 突然ギュッと抱き締められて、あばらが折れるかと思った。勘弁してほしい。

「まだキミ痛いんでしょっ!て言ってんの!」

 当たり前だ、この馬鹿力離せ!と怒鳴ろうと思ったが、続く言葉で王子の言ってるのはあばらの件じゃないことに気が付いてカッと頬に血が上る。

「だってボクあんなに乱暴しちゃったんだから!面白おかしく我慢してるわけないじゃないか!馬鹿!反省してるんだよ!」
「え……あ、あの」
「もうやだ、この子。馬鹿、鈍感、意地悪。もう無理」

 首に触れる王子の頬が熱い。多分彼の耳に触れる俺の頬も。ギュッと俺にしがみ付いたまま石みたいに固まってしまった王子は、俺の体の下で足を絡ませ、頬と同じように熱くなってしまった場所を押し付けながらもう一度言った。

「もう無理。限界。どうしてくれんの?これ」

 人が変わってしまったかのように甘い声をかけてくる。穢れを知らない無垢な子供のような彼から、初めての恋に戸惑う少年のような初心さで。どれもこれも、王子らしくない、でも、寧ろまさしく彼らしい仕草の数々に、こっちまでドンドン調子がおかしくなってくる。

「だ、大丈夫だし……」
「嘘、大丈夫なわけないし。あと数日はかかるよ多分」

 彼の言う通りだった。王子にもらった薬と軟膏はとても効き目があったけれど、それでも完全に回復したとは言えず、ボクが塗ってあげるよという王子の言い分を無下にあしらってきた日々はまだ続いていたのだから。勘の鋭い王子がわからないわけがない。恥ずかしいからだけじゃない、その理由を。だから、王子を俺が欲しがるのはまさしく矛盾した行為だった。見せたくないのにしたいなんて、我儘もいいところで。

「でも、そんなにしたい?」

 少しずつ互いの呼吸が上がってくる。きつく締め付けるだけの腕が、徐々に互いをまさぐり始める。

「あ……」

 王子がするりと手を忍び込ませてくる。背中の脊椎の縦のラインから割れたその部分まで、ゆっくりとなぞる様に這うそれが、過敏になりすぎてしまっている俺の箇所に近づいた時思わず俺は身を竦ませる。

「治りかけはどうしても疼いちゃうからしょうがないけどね」

 でも、ここ、まだ使えないよ、ザッキー、どんだけおねだりしても、絶対駄目。息も絶え絶えに王子はまるで自分に言い聞かせるようにそう呟く。そうは言っても、突き上げる快楽への本能の強さに二人翻弄されるがままに悶え吸い付くようにキスを重ねる。

「王子、俺……」

 そんなこと言われてももう、と言葉を続ければ、彼もまた、ボクもだよ、と言いたげに更に深く唇を重ね、今日は、痛いとこ、使わないでしよっか、と、上気する頬を益々朱に染めて小さくおねだりするようにそう言った。

「それってどういう」

 咄嗟にその意味を解しない俺に気づいて、王子はギュッと目を閉じてしがみ付く。あの、流れるように手慣れた彼のベッドのマナーは一体どこに忘れてきてしまったのか。

「ボクもするから、キミも……」
「俺も」

 最後はもう聞こえるか聞こえないかのその、小さな。ボクにこんなこと言わせないでと恥ずかしそうに、彼は耳元で、舐めて、と言った。

 王子は今まで自分の体を俺に好きにさせたことはなく、その欲求を持っている俺を嬲っては嘲笑するようなマネをすることが多かった。それが今彼自らそれを願うようなことを言い出したので、しかも、それが恥ずかしくてどうしようもないというシャイな表情でそれを言うので、まさに俺は面食らってしまう。見ているほうが恥ずかしい。なんだこれは、ともういたたまれない。

「なんであんたそんな言い方すんだよ!おかしいだろ!」
「どうして?」
「そんなの、普通に言えば、言えば……いいことなのに、なんで……」
「だって……」
「あんたらしく、上から目線でいつもみたいに言えばいいだけなのに、そんな……」
「で、出来ないよ!もう……出来るわけ……馬鹿じゃないの?」
「馬鹿って」
「だってボク達、今はもう……」

 動揺に動揺を重ねてモタモタになっていく王子につられて二人もうこんがらがって何が何だかわからない。今はもう恋人同士なのだから、とその一言がどうしても出せないでいる彼の姿が恥ずかしい。たかが、そんなことで。ましてや、あの、王子が、だ。
 それでも、もうやっぱりキスは止まらず、途切れ途切れの言葉の隙間に犬のそれのようにしまい忘れた互いの舌を絡め絡めて俺達は。なんて陳腐なラブロマンス。なんて馬鹿げた少女漫画。

「服……いい?」

 精一杯の王子の。もう、それを聞く俺は彼と同様この時間が耐えられなくて、OKの返事をする代わりにムクリと起き上がって、乱暴に自分のシャツを脱ぎ捨てた。そして王子の服に手をかけると、彼は恥じらう乙女のように自分で、と言うので、俺は憮然としたふりをしながら彼にそれを任せて、暇つぶしをするかのように残っていた自分の下の服も乱暴に投げ出した。裸になってみたはいいものの、顔が見れない。なんだこれは。初夜より恥ずかしい。誰かなんとかしてくれよ、と王子にそっぽを向く感じで壁に向かって背を丸めて座り込む。体が熱い。熱い。

 背中から抱き締められて心臓が飛び出るかと思った。耳を舐めながら、王子が、ボクが先にやろうか、と言ってゆっくりと肩を掴んでさりげなく俺を横たえる。

「だって、あんたももう」
「言わないでよ恥ずかしいんだから!そんな気遣いあるなら早くボクの番に」
「じゃ、一緒に」
「!」

 俺のあまりの赤裸々な言い分に目をむきながら、火照りきった体で肩で息する俺の王子はみるみる情けない程眉を寄せては複雑な表情をしてみせる。それでも最後に体を少しずらして小さく、頭、こっちに、と言った。正直、いつも誘導は王子がやってきたし、そういうことが出来る体勢になるのも王子が何とかしてくれると思っていた。が。両手で顔を覆い隠すように伏せている、それどころではない状態に陥ってしまった王子を見ていると、こりゃ駄目だ、と半ばあきれる。

 目の前に、あれ。多分、それはお互いがそうなのだが。サワサワと王子の手が俺の腿やヘソなんかを徘徊するので俺も何となくそのマネをした。時々触れてビクリとしてしまう場所は、初めて知る王子のウィークポイント。焦らすように、少しずつ近づいてくる王子の指と吐息。俺もまた。ああ、手を添えられ、吐息が、吐息が熱い。もうすぐ、王子の舌先が俺に。

「あ!」

 気が付けば俺は彼の顔を汚して怒鳴られていた。それはいざ互いが互いのものを口にする前の事であった。本当に俺はこの奇妙な行為に興奮しすぎて、彼のあの熱い小器用な舌先のぬるりとした感触がくると思った途端で。ひどいよ、髪にまで、と怒る王子を黙らせるために有無を言わさず俺は俺で彼を一気に頬張った。

「あ、ちょ!待って!やめ……」

 本当に、それもまたあっという間の出来事だった。つまり、甘い声を二、三、漏らして王子もまた。

「ザッキーッたら、知らないよもう!シャワー浴びてくる!」

 左の手の甲で俺のつけた髪や瞼の汚れを拭いながら、顔どころか全身真っ赤に染めながら逃げ去る様に部屋を飛び出す王子。それを俺は追いかける。
 当然のことながら、喧々囂々のそのあとに、二人はゆっくりとシャワーを浴びながらそこでもう一度甘い夜のやり直しをすることになったのだった。