絆に結ばれて 6
ジーノはあの日から激変し、そのことによってザッキーもまた変化し始めています。ザッキーの安定感にジーノが支えられて、そのジーノの安定感にザッキーが抱き留められているという、少女マンガ。とりあえずここまでUPしときます。
このあとは本当に荒い下書きしか残っていないので、そのうちMEMOにでもオチをさらっと書こうかどうしようかって感じです。どうしよう?「好き」を言えなくなったジーノが言わなくていい心境になって、次に「好き」を口にするのは、みたいな、エピローグは時期的に作中数年先の予定でした。その辺を別枠で書いていくつもりだった、はず……
キミがいてもいなくても
幾つも年上で頼りがいのある男。実はボクは周りが彼をどう評しようと、今まで彼をそんな目で見たことは一度もなかった。
(キャプテンシー?笑わせる)
ずっと、初めてコッシーを見たその日から、ボクの彼に対する印象はずっと変わらないものだった。弱いくせに必要以上に己を大きく見せようと片意地を張る。でも、それを自分でわかっていながら必要にかられてそれをやる。そういうところがとても愛らしい、そして不器用で頑なな男だと思った。
でもここ最近。髪型を変え、こうして少し肩の荷を下ろしたかのように自然に話している彼を見ていると、何故か今まで感じたことのない彼の強さ、優しさとその懐の深さを時々ユラリと感じることがある。
まるで本当に長い旧友同士の普通の会話のようにボク達は笑い、そのことで自分もまた彼と同じように心理的に歩み出ようとしていることに気が付いた。聞き役ではなく、ボクは今、彼に話を聞いてもらっているのだ。そんなことがとても奇妙で不思議な事だと思われた。
全てが見えていると思っていた。何も見えていなかったことに気付いた。この世は悲しみに包まれており、人はそれに耐え、やり過ごすために生きると思い込んでボクは。
ボクはこんなにも変化した
変化させられてしまった
認識以上に
わかってる以上に
ザッキー、これは想定を超えている
なんてことをキミはこのボクに
沸き起こる不思議な実感。突然崩れ落ち始めたボクのバランスは未だとても不安定だった。時々怖くて、ザッキー、ザッキーと、か弱く助けを呼ぶ声を心の中で響かせる。変革の核となる男の名を呼び続ける。今、自覚なくボクは刺激的な外界の風に、ひ弱な自身のこの内面を晒している。
ボクはザッキーによりこの身軽さに馴染んでしまって、誰にでも握手をしてしまうかのような人間にかえられてしまった。
アンバランスを感じる。キミがここにいないのに、なんだか不思議にキミをすぐそこに感じている。とても幸せなこの感覚が、なんだかボクには怖かった。
(これでいいんだろうか?ボクは今、間違った判断をしているのではないんだろうか?)
幸せな日常に不慣れなボクは、また心の中のザッキーに「何言ってンスか」と呆れた顔で笑われた。その表情、その仕草が如何にも彼らしくつられてボクも笑ってしまう。
すると、いつの間にか本当に目の前に本物のザッキーが立っていたのでギョッとする。
「何笑ってンスか、能天気に」
そして彼は心の中のザッキーと同じような呆れた顔で笑って見せたのだった。
「“試合前も常にリラックス”っていい感じに聞こえるけど、最近あんたの場合なーんも考えてないだけな気がしてきました」
今日も彼はこうやって簡単にボクを幸せな日常の中に戻してくれる。もう、大丈夫。怖くなかった。
(ああ、ザッキー。そうだよね、これであっているんだね)
