お花結び

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二人の日常、二人の秘密2

【8745文字】
飼い主目線の続編は前作よりも時系列が過去から始まっています。基本のんき。でも飼い犬があまりに厨二っぽいノリなんでちょっと笑ってんだけど変な意味で影響受けちゃっている的な?日常の細かいのを妄想して書くのは楽しくて、だらだら長くなりがち。

        ジノザキ ,

 やあ、ルイジ吉田だよ。今日は抱っこ出来た日の話をするね。ベッドでうつらうつらしている顔がどうにもこうにも可愛くて、繋いでいる手の反対の手をそっと彼に伸ばしてみたんだ。
「な、何スか?」
これがその時の反応だった。びっくりさせてしまったみたい。正直に僕は説明したよ。
「ん?君を抱っこしようと思って」
「は?なんでそんな……」
身じろぎしながら体も逃げて、まあね、想定内だけど。威嚇の癖が抜けないみたい。対応力の未熟さもある。
「なんで?君が好きだからだよ?」
飾りはいらない。端的に。嘘無く誠実、そういう感じが彼にとっては大切なんだ。でも。
「好き?あんた、何言って……」
人を小馬鹿にするかのような、皮肉な態度も想定内。ギュッと眉を寄せ睨んでいるけど、単に困惑しているだけ。意地っ張りや強がりは、繊細な心のバリケード。生きていくのに身につけた、自分でこさえた大事な鎧。拙く、まるで張りぼてで、それでもとても愛おしい。
「君は嫌いかい?僕のこと」
「……」
「嫌いでなければ自然なことだ」
「いや、全然自然なんかじゃ……」
「何故?」
「だってそんな、俺、今まで一度も」
判断能力が時々鈍い。
「子犬、抱っこしたいじゃない?ウサギも?リスも?猫でも一緒。そういう気持ち、わからない?」
「全部、動物の話じゃないですか」
「君の話だよ」
「はぁ?全然意味が」
これはこの子の魅力で欠点。これでは敵に食い掛られる。けれど僕は飼い主なので、至極真面目に答えを探す、その健気さをも噛み締めたい。俺が、俺が!が口癖だけど、どんどんゴールと離れていくから、時には誘導も必要だ。僕には答えが見えていて、彼は迷路で右往左往、鎧の継ぎ目も丸見えで、おんぼろなのに無敵のつもりで。
「試してみればいい」
「待っ……」
口調は明るく気軽なムードで。子供の遊びのような形で。そして有無を言わせないスピードで、でも恐怖をあまり煽らぬように、手付きそのものは慎重に。腕の中に来たザッキーは、全身ガチガチに硬直していた。でも信頼を積み重ねてきた成果もあってか、いきなり突き飛ばされもせず、噛んだりなんかもしなかった。ただただ困惑に体を竦ませ、ぎゅっと小さくなっていた。
(ふぅん?最初にしては上出来だ)
ジッと様子を観察しつつ、徐々に腕の力を抜いた。ザッキーはそのままジッとしていて、こんなお利口な子、他にいる?思わずキスしたくなっちゃった。でも今はまだまだ無理そうだから、残念だけど我慢をしたよ。
「どう?なんか、やな感じ?」
「い、いやとか、いいとか、……つかやっぱ全然意味が」
「そう?」
理解出来ないはずもないのに、怯えと葛藤が色濃くて。このあたり結構大きな課題で、でも思いと特性は尊重するよ。彼が作った稚拙な壁は、彼そのものとも繋がっていて容易く解いていいものでもなく、寧ろ強化していくべきだ。僕も彼と一緒になって外から内から手を加え、素敵なものにしていくつもり。先は長いけど楽しみだ。
「じゃあ、一緒に深呼吸を5回しよう。そうしたら終わり。今日はそれで十分だ」
分かりやすい見通しを提示して、課題達成をしっかり伝える。訓練はこれの繰り返し。うちの子はとてもクレバーで、パターンを理解し順応するのに、さほど時間はかからない。

 再び手をつなぐだけの形になる時、少し不思議そうな顔をしていた。
(ふふ、いい表情。学習を深めているところだね)
邪魔しちゃいけない大事な時間。僕達はこうして互いの距離を二人の力で調節をする。
(君は名残を惜しんでいるよ?今は理解出来ずとも、感覚だけでも知ってね、ザッキー)

      ジノザキ ,