お花結び

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二人の日常、二人の秘密2

【8745文字】
飼い主目線の続編は前作よりも時系列が過去から始まっています。基本のんき。でも飼い犬があまりに厨二っぽいノリなんでちょっと笑ってんだけど変な意味で影響受けちゃっている的な?日常の細かいのを妄想して書くのは楽しくて、だらだら長くなりがち。

        ジノザキ ,

 やあ、ルイジ吉田だよ。随分時間はかかったけれど、恋人ごっこ、出来てるよ。そう、そんなのただの茶番。触れ合うことにも慣れてきたけど、まだまだ無理はさせられない。まだまだ初歩の感じだね。
「んっ……」
性欲自体は旺盛みたいで、好奇心もあるみたい。それがすごく恥ずかしくって、僕にもそして自分にすらも、隠しておきたいみたいだね。
 キスでゆっくりとろとろにして、愛撫というより撫で撫でをして、心も体も少しずつ焦らすみたいに解いていく。加減はとても難しい。怯えで爪を立てるだけなら、そんなに危なくないものの、彼は自分の唇を噛む。程度を知らない愚かさが、僕の肝を冷やさせるんだ。
(ああ、でも今日はきっと……)
やめるとザッキー自身も傷つく。俺は意気地がないだとか、嫌われたとか、捨てられるとか、ひっそり自信を失って、全く以て面倒くさくて、けれどちょっとも嫌いになれない。
(この僕を随分と低く見積もってくれるよねぇ)
昂ぶらせるというよりも、心地の良さで眠気を誘引。ふわふわ意識を漂わせ、寧ろそこへの干渉を、気付かせぬほどにやんわりと。上手に彼を紐解くと、そこはまるで赤ちゃんみたいに健気に僕の指に吸い付く。
「可愛い……すっごくエッチだよ」
「……っ!?」
「もう、褒めてるんだよリラックス」
ちょっと正気に戻してしまって、やれやれ失敗、やり直し。沢山キスして、いい子と囁き、ほらね、すぐに元通り。
「大好き。ザッキー、いい子だね」
夢見心地で、うずうずとして、指を求めて小さく揺れて、甘えて僕の名を繰り返す。いいの?と問えば頷いて、イきそう、なんて可愛くて、ちゃんと自分でイッてごらんと、そういう方が好きだよね、って、意地悪、親切、半分ずつで。
 ザッキーはとても生真面目で、責任感も意欲も強くて、けれど本当は甘えたがり。心身ともに頑固そのもの、ここまで彼を緩ませるのに随分時間を掛けてきた。悪の誘惑なんかじゃなくて、きっと二人の望む世界で、僕達二人の重い秘密で、生きてくために不可欠な。
「大丈夫だよ、僕しかいない」
「……」
「どうしたらいいか、わかるよね?」
意思と本能が混ざり合い、泣きつくみたいな顔をしている。出来なくってもいいよだなんて、そんなことも時々匂わせ、逆に追い詰めちゃっているのかな?そんなつもりは……あるかもしれない。
「ん、ぅ……」
無意識だったら自然に出来て、なのに急に不器用になり、もどかしさの中抱きついて、必死に羞恥と戦うザッキー。僕の言葉に従いたくて、そんな風になりたくて、でもやっぱりまだまだ葛藤で、なまじ上手に出来るより、尚更淫らでいじらしい。
 僕の顔を必死に見上げて、かたかた体を震わせながら、犯す指先に腰を浮かせて締め付け、目を閉じ顔を背ける。
「ザッキーちゃんとこっち見て」
風に戯れる紙風船を追いかけ手に取り取り逃がす、可愛い子供の遊びのように、でもほらそんなに乱暴すると、育てたものが割れてしまうよ。
「慌てないで、ゆっくり、そう……」
渇望と欲望を蓄積させて、歪んで潤むその目を笑って今日も見下ろし幸せになる。お預けタイムの辛さの善さも、とことん体に覚えこませる。羞恥を乗り越え淫らになるのが、何より僕を善くするのだと、彼は十分理解している。心をうんと純粋にして、僕だけを見つめるザッキーになり、上手に指示に耳を澄ませて、その目は再び陶然として、言われた通り下肢に手を置く。
「気持ちいい?」
可愛いでしょう?涙目で、未熟な心で僕を愛して、体をドンドン成熟させられ、悲しみの中、喜びの中、理解も出来ずに泣いているんだ。僕の恋人になりたくて、一生懸命頑張っている。イく、王子、と繰り返し、必死になって待てをして、自分で必死に攻め手を緩めて、それでも波は激しくて、飲まれまいと必死にもがく。彼はすっかり僕の手の中。ずっとこうしていたくなる。僕のために頑張ってるのに、なんて意地悪なんだろう。このまま彼に粗相をさせたい。深く傷つく彼が見たい。黒くて醜い僕の衝動、いつもギリギリの中にいる。
(ごめんね、自分がわからない……僕は君を愛せている?)
彼が決壊する寸前?ほとんど同時に彼を許した。間違えたのか、間に合ったのか、わからず戸惑うザッキーの、無駄に賢い怯える目。胸が痛くて潰れてしまう。だから蕩ける笑顔を心掛け、大好きだってキスをする。
(笑ってザッキー。泣かないで?僕は君を笑顔にしたい)

 僕達は恋人ごっこをしている。けれど恋人同士じゃない。恋人がし合うことをするけど、いわゆる競技性が違う。

 僕の笑顔にはしゃぐ体は、僕を深々受け入れて、愛おし過ぎてまた泣きたくなる。彼の、その、澄み切った、どこまでも僕を思う心を。

 腕の中、ザッキーはもうぐったりしているけど、なんだか頭がぼんやりとする。感じられるのは愛と信頼。贈られるものを噛みしめる。綺麗で、彼が僕だけに思いを込めてくれる物。だから恋人じゃない。宝物。彼は僕の大切な。
 自分のいいように抑えつけ、彼も逃げ出したりなんかせず、ただただ抱き合う。ぼやける視界。何が何だかわからなくなる。肉体的な絶頂の波、それより荒くて強い衝動。
(ああ、すっごく気持ちいい……)
彼の調律が成功した夜、僕は少し変になる。ちゃんと頭が働かなくなる。ぐちゃぐちゃ、多分、破綻している。推測になってしまうのは、そんな認知も出来ないくらい僕の形が失われるから。こんなの、絶対セックスじゃない。恋人じゃない。そんなじゃない。

 僕はきっとザッキーを、まだまだちゃんと愛せていない。

 とても彼はお利口で、手に余るほど優秀だ。警戒心が強い割には、基本人の善性を信じてる。
「ザッキー……」
自分を律し、自分を疑い、真っ当であるということを、何より厳しく自分に強いて、ズルもなければフェイクもなくて、素肌のままの熱さを以て、俺は俺だと、お前は誰だと、そんなことを無意識に問う。疲れ知らずで、がむしゃらで、けれど中身はとても脆くて、拙い鎧と盾を持ち、人とは、なんて、大上段に。
 僕が彼を飼うというのは、守って、強くすることで、思いは強く、腕にも自信。おそらく時間はたっぷりかかるし、それでも気長にやれる気もして、なのにこんな蕩けた夜に、痺れるほどの幸せな闇、僕が僕に戻りつつある、こんな一時、僅かに不安がこの身に宿る。
「ザッキー、ねぇ、愛しているよ?」
深い眠りの中にいる、彼の耳元に思いを呟く。綺麗な綺麗な宝石は、みんなに自慢して歩きたい。けれど宝石箱にこっそり片付け、戸棚の中に隠しもしたい。夜毎手に取り頬ずりをして、キスして、少し口に含んで、なのにそれではもう気が済まず、噛んでみたり、それでもまだまだ、僕はペンチで粉々に。
 はっと、我に立ち返る。まだまだ少し変みたいだね。そろそろ今日はこの辺で。明日は朝から練習だしね。

 おやすみ、ザッキー。
 おやすみ、自分。

大丈夫だよ?のんびりやるさ。僕が多少ふざけてみせても、彼は存外強い子だしね。僕にそれを信じさせるほど、彼の心は透明だから。

      ジノザキ ,