お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

*

そよ風ロマンス第2章(水際クライシス2)

【21781文字】
そよ風ロマンスシリーズの第2章。
前半は変態遊び。番犬病みに病んじゃいまして、壊れます。話の内容もぐちゃぐちゃですが、書く文章もズタズタ汚い。しんどいけれど虐めたい……。
後半は病気療養です。こういう病気(変態性癖)に完治はないので、寛解と憎悪(ぞうあく)を繰り返させます。こんなだけど飼い主は至って正常(?)です。まだまだつられている程度。ドはまりさせるのはもっと後。の、予定……そこまで無事にたどり着けるか?

悪疾

「気持ちいい?」
王子が俺に教育をする。事実は素直に認めましょうと。
「もうちょっと?」
見下ろす王子をじっと見つめて、ぎこちないながら小さく頷く。
「ちゃんと言おうか。言葉でね?」
声が出ない。
「大丈夫。言ってごらん」
王子が口に指を突っ込んでいて、だから、もごもご言葉にならない。けれど王子は優しい人で、聞こえなくともわかってくれる。
「そう……もっと奥?」
「……っ、ぅぇっ」
「もっとかい?」
仰向けに横たわる俺に馬乗りになり、王子が口蓋垂を撫でている。
「……!、~ぇっ、……っ、っ!!」
口端から涎が、つと垂れた。反射で噛んだら王子が痛い。怒る王子はきっと綺麗で、でもそんなことは俺には出来ない。
「好き?ザッキー、こういうの」
王子は俺としたがらない。でもそれ以外には協力的だ。
「大丈夫。隠さなくっていいんだよ」
無反応だが親切だった。嫌なことを沢山してきて、綺麗に乗り越えさせていく。
(王子っ、あ、もっと、奥、っ)
王子の指はとても器用だ。強く、弱く、バラバラに、くすぐったくて時に苦しい。不快がそのまま快楽になる。抵抗感はそれなりにある。けれども従うことにすっかり慣れた。
「ぇ、んぐっ!」
動けないのに体がビクつき、危ないからと制される。もっと、抑えつけて欲しい。もっと我慢がきくように。もっと、もっと限りなく、俺に無理強いして欲しい。
「そうだよ、じっとして。いい子な分だけしてあげられる」
溜まる唾液の嚥下を我慢し続け、ぐちょぐちょ卑猥な音がする。息も出来ない。視界は潤む。もっと奥まで犯して欲しい。もっと、もっと、蹂躙を。
「イっ、あ……、」
気絶寸前の全身恍惚、ここに至る恐怖なんて今の俺にはほとんどなかった。それほど王子を信頼していた。無理は強いても無茶はしない。とことん体に仕込まれたから。
(イっ……あ、もっ……と)
口を攻められ出さずに達し、そのままとどまることも覚えた。王子は上手に俺を導き、霧散を堰き止めこれを維持する。酸欠と絶頂が限界を超え、ぼやけた視界が暗くなる。まだここに居たいと願うので、王子に爪立て、必死でとどまる。イキっぱなしの無防備を、王子は王子で喜んでいる。
「いいね。今日は特別上手に出来てる」
以前は、殺されると思い怖かった。いっそ殺せと絶望もした。この頃、全部が押し流されて、どっぷり狂喜に沈んだままだ。
(ああ……気持ち、ひぃ……)
これはセックスなんかじゃない。肉欲。開発。体遊び。自我も自分も投げ出して、ただの悦ぶ『モノ』になる。
(なんでもいい……、もっと弄って……気持ち、く……させて……)
削られ、盗られて、消えていく。なんだか笑いが止まらない。起こされ、後ろから散々胸を揉まれて、女みたいにくねくね乱れる。
「あっ、あ!それ好き、もっ……イっ」
戻って来れない。戻れない。ずっとずっとこうしていたい。
「イっ、あ、イっ……」
「そろそろ外そう?充血してる」
「やっ、だめっ、あっっ!!」
「出したくないの?苦しいでしょう?」
「ああ、さわっ、あぁああっ」
見かねた王子がブジーを抜いて、そのまま俺は射精した。我慢し過ぎとくつくつ笑う、腕と胸が温かかった。もう、どうでも、なんでもよかった。俺はただの『モノ』だから、弄られるためにある『モノ』だから。

*

 胸で。口で。耳で。手足で。どこでもイける。褒められた。
「ザッキーはすごいねぇ」
終わった後も、髪への愛撫。これが一番気持ちがいい。
「本当に動物そのものだ」
(動物……動く、『モノ』……)
まさにそうだと静かに思った。王子は俺をよく知っている。王子が欲しくてたまらなくって、願いが叶わず心を捨てた。王子は王子をくれないけれど、俺が物になればなるほど、邪魔するようにかまってくれた。

*

 王子は邪魔をするのが好きで、それをされるのは恥ずかしくって、けれどそれも気持ちが良かった。今日もあちこち弄られながら散々それをさせられた。感じてくると呼吸が乱れる。鼻で呼吸が出来なくなって、口を開けると声が出るので無意識に息を止めて唇を噛む。そうした方が没頭できる。王子は駄目だと窘める。
「息して、ザッキー」
気持ちがいい真っ最中に王子は手を止め意地悪をする。弄って欲しさに口を開け、言われた通り深呼吸。
「ここじゃなくて、ちゃんとここから」
「あ、あ~」
胸からつらつらへその方へと、複数の指が移動していく。いやらしい声が勝手に出てきて、恥辱で体が赤くなる。俺じゃないみたいな変な高音、猫が甘える声のよう。男を煽る声だった。そして俺も男であった。
(ああ、こんな……嫌だ、どうしても声、出る……)
淫らな声に自ら昂ぶる。王子もそれをよく知っていた。完全に快楽に没頭するより、こうされるほうが感じてしまう。ゆっくり腹から息をしながら、それに合わせてゆっくりと淫らに腰も動いてしまう。王子の指が動かないので、快楽を勝手に追っていくのだ。声のせいで自我を保って、体の欲も加速していく。王子の指でオナニーしている。それを王子が見下ろしている。自分で大きな声で喘いで、性感帯を自分でまさぐる。
「また噛んでるよ」
集中し過ぎて呼吸が止まると、王子が快楽の波を去らせてしまう。なかなかイかせてもらえないのに、すぐに体が昂っていく。何度も何度も堰き止められて、そのうち恥も外聞もなく、自分のために喘ぎ始める。
「んぅ、はあ、ああ」
声は腹の底の方にジンジン響いて、もう喘ぐためにそれをしていた。俺は一体何なのだろう。
「いい子だ。そろそろイってもいいよ」
王子の合図で自然に仰け反り、四肢を震わせ大いに達した。王子に丁寧な調教を受け、イかないことも、イくことも、調整できる体になった。王子は誘導しているだけで、自力で俺は射精したのだ。女みたいな声を出し、イける部位を勝手に刺激し、醜態を晒す今に酔い、こういう恥辱が一番感じた。
 嫌で、嫌で、仕方がないのに、王子は何度もこうさせた。拒絶感が強いほど、燃える体と知っているから。
(嫌だ……死んでしまいたい……)
俺は色んなことに慣れていくので、王子は常に研究していた。少しも正気でいたくないのに、工夫を凝らして正気にさせた。

 そして、そのうちこれにも慣れた。

 両手で俺の胸を揉め。王子の歯型をつけて欲しい。指ではなくて王子を入れて、力いっぱい突いて欲しい。

 俺の正気は人間性で、またひとつ心が死んだのだ。理性のタガが外れると、楽になるとともに絶望が深まる。また一歩動物に近づいて、王子がしげしげ観察している。

 王子は俺の邪魔をする。自分で破壊と開発をして、憐みの目でジッと見ている。

 生き物としての生存本能、王子はそれが希薄な人で、必要だから食べて寝る、淡々と生きるやり方はまるで給油のようだった。俺は王子とあまりに違い、そうなりたくても全然なれない。美味しいものには目がないし、勝手に眠るし、日課もやる。もちろん、節制はしているつもりだ。それでもそれを不思議がられる。
「ザッキー、今日はもう眠る?」
くしゅくしゅと王子が頬寄せて、促すみたいに刺激を受けた。俺は王子がとても不思議だ。甘えるみたいにそこを揉み、呻く俺を息詰め見ている。激しさのない、重怠い、怠惰で邪悪な深い夜、王子の何かが安らいでいる。こういうものが好きらしい。遊ばれすっかり空っぽな、ぐったりだらしない俺の今が。
(ああ、またこの感じ……)
何もかもがとても虚しく、ここにはなんの意味もない。物悲しいか、心地良いのか、わからないものが漂っている。生きるは無意味の繰り返し、年寄りみたいな奇妙な感覚。
 後から色々わかっていったが、俺達は混ざりつつあった。あれはまさに王子の世界で、知らずに俺はそこにいたのだ。王子はあんなに明るい笑顔で快活な人であるというのに、夜は虚ろの陰だった。人に擬態するロボットみたいな、もしくは悪魔、それとも天使、王子の腕は温かいのに、質感自体が変だった。王子はくまなく俺を理解し、でも俺は王子がわからなかった。何故俺をかまうのか。この気まぐれは何のため。無意味に意味を探すのは、それこそ無意味ということか。

 この世界は明度も彩度もあまりなく、ただ静かで澄んでいた。部屋には色々ものがあるのに、ガランとしている印象で、そんなところで体を弄られ、反応の全てを見学された。全てが終わって朦朧として、それをも王子は静かに眺めた。

「理由?ただの好奇心」
適当になされた説明だった。そもそも好奇心とは一体何か。興味が尽きるその日を思った。不思議な形の王子のアクセス、かなり歪んだものに思える。
(考えない……考えたくない……)
快楽以外に何もない部屋。暴かれ、晒され、眠る夜。王子の腕は温かい。意味がないのに意味があるのか。それを思うはもう無駄だ。

ツカレタ……

心はいつでもあやふやで、ここに来たくて、逃げ出したくて、王子は追わず、結局自分で戻ってしまう。

一体、何ヲシテルノダロウ……

それでも王子は深くて優しい。最初にそれを感じた俺は、こうして悪夢に浸りながらも王子に観察されたく思う。

寂シイ……

 王子は俺で遊びはしたが、使って処理はしなかった。どれだけ二人で一緒に居ようと、セックスどころかキスのひとつも、いらないような関係だった。ここには俺の快楽だけで、肉欲だけで、独り善がりで、王子は黙ってそれを見ていた。ただそれだけで、全てであった。ハツカネズミの些末な恋。研究員は毒を打つ。それでもよかった。嫌だった。常に思いは揺れながら、それが辛くて肉欲に堕ち、それすら王子に見てもらう。

王子ノ中ノ、男ガ、欲シイ……

 研究期間は長くない。王子のネズミは一匹じゃない。いっそ脳まで壊して欲しいと、愚かなことを考えていた。

*

 最近、調子が変だった。ぼんやりしている時間が増えた。体の調子はすこぶる良くて、けれどそんな実感もない。
(なんだろう……まあ、楽だし、いいか)
考える力もあまりなかった。練習と快楽、時々試合。辛さも悲しさも寂しさも、虚しさも惨めさも不安さも、その頃の俺には何もなかった。全部を王子に覆われて、見えず、聞こえず、身軽になった。もし、今王子を失ったなら。それを思う力もなかった。俺は漂う海藻で、動物ですらなくなったのだ。