お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

*

そよ風ロマンス第4章(さざ波コンフルエント2)

【16103文字】
そよ風ロマンスシリーズの第4章。
ジーノ視点。特殊性癖にさせ過ぎたきらいがありますが……ジーノは自分を真人間と信じ切っている設定で、変態ぶりが赤裸々になりどんどん自分で混乱してます。「百戦錬磨の恋愛童貞」VS「処女童貞の淫乱天使」
ここで終わればメリバですね。まあ、当然ながら終わりません。次は5章そよ風ロマンス1です。一応本編扱いになるのかな。起承転結の転です。

 突っ込むことしか頭にない、そういう輩を軽蔑していた。それが今はどうだろう?摩擦だろうが、自慰であろうが、そんなことなどどうでもいいほど、僕は『ケダモノ』になりつつあった。
(ああ、ザッキー、確かにこれは恐ろしい……)
僕らが貪り合う日が訪れるのは、そう遠い未来ではない気がした。
(ギリギリだ……二人きりにはなりたくない……)
本能が計画を組み立てている。僕の意思ではなく勝手にだ。例えば、動けぬ彼をうつ伏せにして、上半身を布団で隠す。洞だけ露わな状態にして、そういう『物』だと認識をする。あとはただ入れて擦るだけ、そういうことを考える。
(性犯罪者の思考回路だ。これが性欲というものなのか?なんて勝手で暴力的で……酷い……愛情なんてクソくらえだな)
犯す願望に支配されつつ、僕は深いため息をつく。
(君はあの頃、毎日戦っていた。もしかしてこんな気持ちでいたのかな)
したいといらないの殴り合い。あの頃のザッキーの混沌の戦況は、理性の方が優勢だった。彼は理性的であるが故に、飽くなく自慰を選択していたのかもしれない。彼は決して僕に乱暴をしなかった。刃は常に内側に向いていたのだ。
(僕を守っていたのかな……爪と牙を自分自身に突き立てて?)
彼は閉じ籠ろうと頑張っていたことは確かだ。そして僕は気軽にそれの邪魔をした。彼が本能に敗北したのは全部僕のせいであり、それでも彼は僕を責めることなく、無理矢理快楽に沈ませていく僕の暴力を全て受け入れ、自らを否定するだけ否定しながら何度も自己を喪失した。僕と彼の二人がかりで、憐れなザッキーを断罪し続けたのだ。
(そう、最初からただの言いがかりに過ぎなかったんだ。彼が自身を縛る糸は、僕に絡んでなんか……いなかっ……)

 気付くと彼は甘えた目線で、僕の責め苦を乞うていた。
「ザッキー……」
彼をとても憐れに思い、だから入れた管をそのままに、屹立したものを握って扱いてやった。
「あ、んぅ、」
「もっとよくしてあげようね」
後孔に指を突き刺して、あれこれ一杯虐めてやった。今、もう彼はこれなしにはいられない子で、僕はまたそれを自制も出来ず。
「んぐっ、ぅえっ、んっ」
「苦しい?それは何よりだ」
指と管に犯されながら彼はゆるやかにイき続けていた。惨めで憐れで気の毒で、なのに気持ち良さげな口元がどうにもこうにも憎たらしくて、僕は我慢しきれず管を乱暴に抜いた。ザッキーは蹴られた犬のような鳴声をあげ、同時に与えた苦痛によってなけなしの精をちろりと吐いた。
「う……あ……」
シーツに飛び散ったほんの数滴。出血がないことに安堵する。
「尿道の炎症は確かに体に悪いけど、微細なものだとトイレに行くのでさえ声出ちゃうくらい感じるみたいよ」
膿のように粘度があって、濁りが少なく半透明で、光沢が綺麗で触りたくなる。甘味を思わせるビジュアルなのに、いつでもそれはとても苦い。
「ザッキー、痛いの好きだよね。治るまでそれ楽しんで?」
吐き気でじわじわ唾液が湧き、密かにこくりと嚥下した。奥行きのある奇妙な苦みが、舌にべたつく感触が欲しい。
(ザッキー、早く寝ないかな)
精は命を生み出すものだが、時に相手を傷つける暴力だ。こんなに排出させても尽きることがない彼の毒は、僕をおびき寄せる蜜だった。衝動に駆られそれを口にすると、いつもゾクゾクと体に悪寒が走る。
(嫌な味……すごく不快……)
意識を失くした男の体を、我が物顔で自由に扱う。自分の欲望の形が見える。それは明らかに蹂躙だった。
「ん……」
散った液を舐めるというのは、誰にも(彼にも)秘密の趣味だった。自分と同じ種類のこの体は、刺激をすると簡単に精液が出る。ザッキーはこれを苦手としていて、なのにそれを上回る性欲を持ち、激しい葛藤を抱きながらも出さずにはいられぬ体質だった。
 僕が彼ならどうだっただろう?旺盛な性欲に同情を持ち、でも彼を嬲ることを僕は大いに楽しんでいた。抱える嫌悪は同じもの。同族に思うシンパシー、そして同じながらも半分違う、僕らの深い溝と断裂。この特殊な感覚は、無理矢理表現するならば、受難のようなものにも思えた。知恵の実を食べたザッキーは快楽の知識を持ってしまった。快はそのまま苦役そのもの、もうひとついかがと蛇(僕)が差し出す。体の中の邪悪が暴れる。脳への酸素が欠乏していく。アダムとイブは番いでいるのに、蛇は常に一匹だった。
(すごい……ヤバ……)
女性に触れても発動しない。こうして眠るザッキーを、人知れず舐めると一番激しい。震えがくるほど気持ちがよくて、でもそれがどうにも恐ろしかった。何故神は楽園に木を放置したのか。何故蛇を作って放したか。この物語には不具合がある。紡ぐべき物語は神ではなくて、各々のキャラクターの意思なんて。

 人は善性を内包しつつも、悪に傾く傾向がある。彼の心のガードの弱さが、悪意となって僕を捉える。そういう羽目になってしまった。僕の悪意も彼を弱らせ、二人で病んでいくようだった。

 自慰すら厭うこの僕も、知恵の実の汁を口にしたのか。
「ザッキー、そんなに気持ちいい?」
観察により生まれる羨望。生まれたての射精への欲求は、ただそれだけで、単純で、愛も手段も問うてもいない、下品で即物的だった。ザッキーが体現している現象は、仕組みだけは僕にもあって、どこをどうすればいいのかなんて、技術だけが成熟していく。
「気持ち良くなるの、上手だねぇ」
「う、ぁっ」
「開発のやりがいが凄くある」
「あ、あっ、やっ!イ、それ駄目、イく、あっ」
「大丈夫だよ、まだイかせない。でもしばらくこのまま続けるよ」
「ああ、……、イ、ふ、ぁ……や、王子っ」
「嫌なの?やめる?冗談だよね?」
「あ!んんっぅ」
無意識に快楽を追って体を揺らし、耐えかね唇を噛んでほどけて喘ぐ。見ながら僕が感じているのは足元に地面のない不安定、落下の感覚は浮遊にも似て、神経は過敏に、理性は鈍麻し、目の前の事象に埋没していく。彼の射精は、快楽は、まるで自身の疑似体験で、時々本当にイきそうになり、それに耐えるのも酷く良かった。
「好きでしょ?ザッキー、こういうの。イくぎりぎりがいいんでしょう?」
神はアダムにイブを与えた。そしてここにはイブがいない。いるのは悪意の蛇(僕)だけだった。
「イきたい?駄目だよ。もっとだよ」
彼は僕のものではない。そういう風にはなっていない。僕はそこまで愚かになれない。彼のように馬鹿じゃない。
「今日はすごく感度がいい。久しぶりだし嬉しいの?」
太腿の内側に爪を立てれば、そんな刺激で決壊をした。
「ああ、ほら。まだ駄目だって言ったのに」
それでも今宵、このひと時を。悪意と受難と断罪を、彼を、淫らと従順を、狂ったように満喫していた。甘くて苦い夜だった。

*

 彼と距離を置きたくて、失敗をして時々かまった。地獄が甘くて気が遠くなる。普通のセックスは許容出来ても、手淫も口淫も触れられるのも僕は心底全部苦手で、自慰などそもそもとんでもなくて、彼と悪さを重ねる度に自虐のような傷を負う。
「ザッキー、それは笑顔のつもりかい?全然生気がないけれど」
 入れてだなんて言わなくなった。あちらこちらに色々されて、それで満足したかもしれない。でもそんなことでもないかもしれない。僕には全然わからなかった。そして彼に負わせた自責の深手が、僕より遥かに重い事実も、限界を超えていたことも知りたくなかった。
「それに練習し過ぎと思う」
僕を待つのか、代替えなのか、彼の毎日の自主トレは、度を越すものになっていた。休ませるために家に呼びこみ、見るに見かねて毒を吐かせた。もうやらないと何度も誓い、結局それをずっと続けた。消耗が回復を凌駕するのか、粘度も量もかなり減り、色も濁りが減ってきていた。食事とサプリを強制し、無理矢理体重を維持させた。
「駄目だよ。全部食べなきゃかまってあげない。吐いたらもっと許さない」
義務的になっていく彼の食事。僕は餌を与えつつ、その意味と効率的な摂取の仕方をとことん彼に仕込んでいった。
「いいね。そうだよ一杯噛んで。補食の量も増やそうか。見てないからって怠けちゃ駄目だよ」
彼は何も見る気がなくて、楽しいことも何もなく、家とピッチを往復し、たまに僕にかまわれていた。
「寒くなってきたから寝る前に飲むプロテインはカゼインベースのものにしよう。いつものは熱変性を起こしやすいし」
「……」
「残りの粉は持って帰って。温めてちゃんと飲むんだよ?毎日いい子に。わかったかい?」
僕の言ったスケジュール通り、言われた食材、調理の仕方で。彼は僕の思う餌を摂取し、素直に自分の血肉に変えた。
「もう……あんまり下半身ばっかり鍛えちゃ駄目だよ。血流が上がってどんどん」
「はっ、ぁあ」
「ほら、またこんな……どんどんエッチな子になっちゃう。筋トレの目的はそれなのかい?」
「、ああ、あっ」
世の中に興ざめしている姿を、愚かな世間は高評価。落ち着いている。冷静だ。副キャプテンにふさわしい貫禄がついてきたなど。
「これしか考えることないの?いいの?ザッキー、そういう君で?」