捉えどころなき俺らの水域
【17151文字】
赤崎入団1年前後、社会に出たなりの青くて若いフレッシュ崎と優しい先輩ジーノのお話(ポエム炸裂ェ)
そして翌日。
今週末は予定あるの?と聞かれて、俺が、
「あんたが断ったから丹さんの例の飲み会に行く羽目になりました」
と王子に答えると。王子はとても驚いたような顔をしていた。
「なんでそうなるの?」
「知りませんよ。ま、どうせ穴埋めデショ」
「キミがボクの穴埋めなんて出来るわけがないじゃない」
「わかってますよ!席の話!単なる頭数!」
王子、俺は特別な週末を極平凡な日常として貴方と二人過ごしたかったのに。一体なんでこんな事になってしまったんだろうと悲しい気分。だからつい偏屈な事まで言ってしまう。
「お、王子はその日、どうしても外せない予定があるんでしょ?まあ、いいッスよ。今度これの埋め合わせ、何かしてくれれば」
けれど、少し粋がってみたはいいが、ピクリと片眉を吊り上げる王子の表情に、やっぱりドキリとビビってしまう。俺の恩着せがましい馬鹿げた言い草はまさに理不尽。丸きり余計な一言だった。だってこういう事になってしまったのは、本来、俺も王子も、そして丹さんも王子に会いたい女の子にとっても、アンラッキーと不幸と積み重ねに過ぎなかったわけだから。歯車がかみ合わないとて、別に誰のせいでもないというのに。
「また今度?」
埋め合わせしろという俺の一言に王子がひっかかり言い返してくる。さもありなん。と俺は思う。
「え、いや。嫌なら別に?」
けれど、素直に反省の態度を示せない俺は本当に小さい男だ。逆ギレするようにふんぞり返って、王子はこんな俺を見て、いつもどう思う?
「冗談ッスよ、埋め合わせだなんて。ただの冗談」
デカい態度で鼻で笑う。しかし内心ハラハラしている。俺は王子の反応を気にして、でも、流石は、と言うべきだろうか?彼は、呆れたような溜息を一つ。そして、
「……全く、色々勝手な事言ってくれる」
と、いつものようにすれ違いざま俺の肩を撫でるように手を添えながら、ツカツカと革靴の音を立てて、風のように帰って行ってしまったのだった。
(ああ、あんたの沸点がよくわかんねぇ……ほら、俺にこんなふざけた態度とられても、王子って結局本気じゃ怒らないっつうか、許しちまうっつうか。だから俺、勘違いし過ぎんのかな。王子がつくづく器のデカい王子様なんだなって)
