捉えどころなき俺らの水域
【17151文字】
赤崎入団1年前後、社会に出たなりの青くて若いフレッシュ崎と優しい先輩ジーノのお話(ポエム炸裂ェ)
「あらためて。お誕生日おめでとう?」
やはり今日の王子はまさに「王子」で、彼の家に招待された後も、いつまでも俺のサッカーの話に付き合ってくれた。
独特の視点、思いつかないような鋭い感性。具体的な技術論に、細やかな対人分析。王子が酒をあまり飲むなと言った意味を、それを聞きながら理解する。全身全霊意識を集中しないと、全てを咀嚼しきれない。
「王子、すげぇ……マジで……」
「ん?なんか言った?」
「いえ、あのこれ!美味いッスね」
「あぁ、それ。気に入ったのかい?じゃあ、はい、ボクの分も食べるといい」
「違う違う、そういう意味じゃ」
「いいから。今日はキミが主役なんだし。本当はもっと色々用意しておくつもりだったんだけど、食べてきた後じゃ流石にね。つまみ程度にしておかないとお腹パンクしちゃうし」
「用意って一体」
「おや、興味ある?」
そうして、俺に優しく微笑みかけて、
「なら作ってあげようか?来年の今日に」
だから俺は来年もまたこうして王子と二人で過ごすのかもしれない可能性に、どうしようもなく心が湧き立ってしまった。しかも、俺に海外移籍への願望がある事は王子も既に知っているので、当たり前の様にその言葉には、
「ハハ、でもボク達、それを一体どこで食べるのやら?」
なんて心遣いまでくっついているので、ますます嬉しくなってしまうのだ。
(もしかして、作りに来てくれんのかな?そこまでしてくれる気があるっていう意味?つか、本当に海外行けるって思ってくれてる?王子、そういう事なんですか?)
