お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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踏青(とうせい)

【3925文字】
デキているけれど互いが思いを募らせ過ぎてるジノザキのザキ目線とジノ目線。推敲ほぼゼロの書きなぐりなんで色々ゆるい。踏青って言葉初めて知ったんですけど、青→草を踏み歩く=ピクニック≒芝の上を二人で歩く、歩き続ける、とまあ、そういう感じでタイトルに。寄り添い互いを支えにしながら仲良く人生して欲しいです。

        ジノザキ

 初めて姿を見たその日、俺は心を盗られてしまった。何が起きたかわからな過ぎて、それを不愉快と理解した。何故ならあまりに根こそぎで、つまり恐ろしかったのだ。

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「いや、だから王子」
「ん?」
「だからそういうっ」
ふふ、と、たやすく虚をつかれ、カッとなっても軽くいなされ、いつもというほど頻繁でもなく、それでも王子は否応なしに。
「何度言ったらわかっ」
「だって今ちょっとエッチだったし」
「誰がっ」
「んー……首筋のこの辺とか」
王子は俺に触れてくる。嫌だと言ってもそれをしてくる。脈絡もなく突然で、これさえなければ、そう思いつつ、でもそれが本音かはわからなかった。
「ちょっ……」
「ね、させて」
背中からギュッと抱きつかれ、すでに力が入らない。俺の自我は絡めとられて、今日も盗人は手遊び中。権利なのだというかのように、それでも力づくというわけでなく、その傲慢が苛立たしくも、耐えられないほど肌に甘くて。
「やめ……っ、」
「気持ちいい?」
平らな胸を揉みしだかれると、羞恥にいつでも頬は染まった。下からギュッと持ち上げられたり、指でつままれたりもする。
「前にしたのはいつ頃だっけ。結構久しぶりだよね」
よせばいいのに目が見てしまう。王子が俺にしている仕打ちを、自分が何をされているかを。
「息乱れてるね、興奮してる?」
ひそひそと囁き、耳を舐め、王子は俺に繰り返す。
「勃ってきたかって聞いてるんだよ」
猫のようにすり寄られ、王子と共にドクンと脈打つ。どうしてこんな風なのか、未だに俺にはよくわからない。
「ね、しよう?」
「嫌っス、よ」
爪を立てるように抓られてたまらず悲鳴を上げてしまった。ガクガクと膝から崩れ落ち、そのまま背中から圧し掛かられる。それもまたあまりに滑らかで、指先が器用にベルトを解いても、嫌だと懇願するほかなかった。
「しねぇっつってん、頼むからっ」
「何故?こんなに育ってきてる。弄られたいよね?僕に、ここ」
ゆるゆると直に擦り上げられ、やがて意思など持たない体はみるみる敗北していった。それは心も同様であり、いつも俺は途方に暮れた。
「さ、準備をしておいで。いっぱいイチャイチャし合おうよ」
俺は盗人の所有物。だからすべては仕方がなかった。

*

 時々一緒にご飯を食べて、家に呼ばれて触られて、こっちを向いてとキスされて、しようかなんてやがて抱かれた。いつもの様子で、明るい笑顔で、当たり前のことかのように、戸惑う俺をものともせずに、今まで、何度も、何度も、何度も。
「おかえり」
「……」
「ん?おいで?」
ベッドから腕を伸ばされて、オズオズと王子の胸の中。泣きながら準備をするせいで毎回目尻が赤くなる。王子は口では指摘をしないで、まずはそこに口づけをする。俺の苦しみを理解してなお、しようと何度も服従させる。
「愛しているよ。キスさせて」
蕩けるような甘い愛撫で、俺のすべてを麻痺させる。
「あんた、ろくな死に方しない」
キスも触れられるのも嫌ではなくて、けれど王子とそれをする時、やはり毎回涙が零れた。とても痛くて、恐ろしく、でもそれだけならまだマシなのに、王子はいつも。
「愛してる」
王子は俺に射精をうながし、同時に数多の愛を囁く。だから色々めちゃくちゃになる。痛みは快楽に犯されて、何が何だかわからなくなる。今から免れたく思い、同時にずっとこうしていたい。
「かわいい。僕をもっと感じて」
崩壊のように吐精させられ、出してもそのまま犯しつくされ、終るまで体の痙攣はずっと止まらぬままだった。

*

 王子は俺でするのが好きで、俺をイかせるのが大好きだった。
「おかわりザッキー。寝ないでよ」
言葉はおねだりのようでいて、極刑を命じる残酷で、それを聞かされる俺はといえば尽き果てていてもう動けない。
「しばらくはまた我慢するから。今日だけお願い。甘えたい」
絆されていく自分が怖くて、滲みだす喜びが恨めしく、そんな我儘な葛藤にこそ、執拗にキスを繰り返される。
「嫌じゃなくていいって言って。口先だけでもいいからさ」
君のものだと王子は言って、奪っていいよ、と、大事にね、と。あまりに大それ過ぎた話で、いつも逃げ出したく思う。
「好きって、ねぇ、大好きだって。楽になりなよ、ねぇザッキー」
そんなの言えるわけがない。
「そういう君も好きだけど……別にそれでもいいんだけれど……」
心も体もすべて敗北。それは出会った瞬間からだ。ああ、俺にはこの人なんだと、俺は王子に堕ちてしまった。王子には俺ではないというのもわかりきっていることだったのに。
「どんな君も全部好き」
「いや、マジで意味がわかんねぇから」
王子を望んで渇望の中、この人は俺の手を取った。甲にキスされ、愛の囁き、思い余って体を重ねて、とっくの昔に骨抜きだ。

 何故?どうして?何度も思って、今でも夢の中にいる。目を閉じずっと夢見ていたい。すべてが夢だとわかっているから。

*

「好きだよ」
根気がいいとはいえない人が、憐れな俺の夢を囲って、こめかみにキスしておやすみを言う。何度も俺に好きと言う。幸せ過ぎて、それが怖くて、聞きたくもない、とまで思う。そんな俺に王子は優しい。怖いと何度も竦んでみせても、微笑み、ふんわりハグをして、こんなに愚かで惨めな甘えに、知っているよとキスを重ねる。

      ジノザキ