【お題】泡沫の夢より
【10940文字】
秋ごろ書いていた習作詰め。
Twitterのお題bot「泡沫の夢」さんからお借りしました。
殆どワンドロ未満。イメージはひとコマ漫画的、一部連作っぽいものも。番犬海外移籍前提の悲恋設定多め、脳内で再会妄想の補完ヨロシクお願いいたします(丸投げ)
君にとって一番辛い結末を僕はきっと望んでいるのだろう
— 泡沫の夢(手動お題) (@ut_dree) October 26, 2015
<SS>
慰問先でも大人気。女性にはとても優しいチームのエースが、
「だって人は見かけじゃないからね」
と。その笑顔が何だか癪にさわって、赤崎はついつい絡んでしまう。
「へー、見かけじゃない。でも男女差別めちゃ激しいじゃないッスか王子」
ピクリと動く眉の不快にも屈せず、空気も読まず突き進む。
「見かけじゃないっつったら、本当に外見じゃないッて事ッス。穴のあるなしで区別するとか、そういうのだってナシなんでは?」
わざわざ下劣な言葉を選んだ。でないと負けそうだったからだ。赤崎は時々こんな感じで、余計な波風を立ててしまう。
でも今回の波風はまた想定外。
*
赤崎が不用意にジーノに噛みついた時、何故か寄せた眉がヒョイと上がった。珍しく他人の無礼を受け入れつつ、更に興味を示した瞬間だった。
「なるほど。一理ある」
ジーノは、挑戦を受けるよといわんばかりに、口端で笑う。思いがけない同意を得て、赤崎は得意げな顔になる。ギャフンと言わせたような気になり、勿論随分とご機嫌だ。
「……」
そんな時ジーノが赤崎の傍まで来た。歩み寄られて、目の前に立たれ、それでも赤崎はそんなジーノに対して、偉そうな程ふんぞり返って、
「でしょう?いい加減な事、言わない方がいいッスよ?」
なんてまだ言っていた。
「……」
「何ッスか?」
ジーノは腕を組んでジッと見ている。赤崎はようやく少し戸惑う。
「王子?」
「んー……、なるほどなって。その発想はなかったよザッキー」
「は?」
「どうもありがとう。これからは僕も考えてみるよ。なかなか興味深い話だった」
赤崎は自分が今ジーノに値踏みされてたとも気付かぬままに、立ち去る男の背を見送った。
