【お題】泡沫の夢より
【10940文字】
秋ごろ書いていた習作詰め。
Twitterのお題bot「泡沫の夢」さんからお借りしました。
殆どワンドロ未満。イメージはひとコマ漫画的、一部連作っぽいものも。番犬海外移籍前提の悲恋設定多め、脳内で再会妄想の補完ヨロシクお願いいたします(丸投げ)
「愛してる」と、呪いみたいに何度も言った。
— 泡沫の夢(手動お題) (@ut_dree) November 13, 2015
<SS>
「好きなんです。貴方の事が」
もう何度それを伝えたことか、俺はすっかり忘れてしまった。
その度王子はふわりと笑って、
「僕もだよ」
と応えてくれる。その腕はとても温かかった。眼差しはとても優しかった。幸せを全身で感じられた。なのに。
(もう、限界だな……)
と毎回思った。俺はいつも、そんな風に考え、喜びと悲しみに挟まれていた。
*
王子は俺をちゃんと愛してくれた。けれど、思われるだけの素敵な何かを、見つける事が出来なかった。だから俺は恋に疲れた。ヘトヘトになりながら、それでも縋った。
彼は愛を得るのが当然の人で、それは俺だけに限らなかった。沢山の目が王子を見つめ、その全てに向けて笑みを浮かべた。当然、彼に相応しい人々も大勢いた。浮かぶ笑顔は同じに見えた。その事に喜びを感じながらも、時に居た堪れなさも感じていた。
「好きです、王子」
俺はいつでも言わずにおれない。
「僕も」
王子の一言を乞わずにおれない。
温もりを欲し、痛みを得る日々。王子の愛がこんなにも欲しい。得る資格自体が俺にはない。
「愛しています」
呪文のように、呪いのように、今日も王子に言い続ける。
「愛してるんです、こんなにも」
何度も何度もそれを言う度、王子は俺を抱き締める。
王子を得たい一心さが、俺をがんじがらめに縛っていく。
「王子、俺、もう……」
いよいよ、悲しみの声が溢れ出した。好きでも、愛されても、寂しさが増す。
王子はそんな惨めな俺の事を、壊れ物のように丸ごと包んだ。
「愛しているよ」
と言ってくれた。
「こんなにも好きだよ」
とキスしてくれた。
王子は悲しげに俺を抱いた。
「どうしても、愛する事をやめられない」
と。
「例え、この愛が君の重荷であっても」
と。
