お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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彼が一番好きなもの

ジノザキ前提。愛車をザッキーに褒められて上機嫌の王子のお話。作中の比較サイトは実在しますので興味ある人は是非。(車名+バイオリンでヒットします多分) 王子の乗ってるマセラティはグランスポーツ?

        ジノザキ

彼の愛車の音がする。とても目立つ独特のエンジン音。遅刻ばかりの王子が珍しい。オレが来るのと同じ時間帯に練習にくるなんて。

「おはよう、ザッキー」
「おはようございます、王子。」

ロッカールームで着替え中。こんな場所で二人きりでいるなんて不思議だ。話すネタもないけれど、一応適当に話を振ってみるか。取りあえず彼は車が好きだから、車の話でも。

「王子の車って、なんかいいエンジン音しますよね。独特の音だから、車が近づいてくるのすぐわかります。」
「そうなんだよ!わかってるね、キミは!」

案の定、車の話をしたらご機嫌だ。最近なんだかあんまり練習に身が入っていないみたいだし、その調子でよろしくお願いしますよ?
「あの音、本当にいいよね!」
「そうッスね。」
「でも、外から聴くより、席で聴いてるほうがよくない?やっぱ椅子に座ってると全然違うよね。」
「確かに全然違うかも。」
「だよね?ゾクゾクしない?」
「はぁ、まぁ…。」
「彼女って、こう、美しくて妖艶で、素敵だよねぇ…すごくタイプ。」

相変わらず、この人は車のことをまるで恋人のように語る。ニコニコうっとりして。なんというか、何一つとってみても相変わらず隅から隅まで変態だ。着替えが終わったので自分の世界に入り浸ってる彼をほっといて、勝手に練習するのに部屋をでた。

   *  *  *

数日後

「キミ、音楽とかには興味ある?」
「音楽ッスか?」
「うん、彼女の声が気に入ったなら、きっとこういうのも好きかなって。」
「彼女?」
「ほら、この前褒めてくれたじゃない、エンジン音。」

ああ、すっかり忘れてた。差し出されたのはクラッシックのCD。高尚なご趣味だ事。

「オレ、そういうのはあんまり。」
「そうなの?彼女の声って、バイオリンの音と似てるんだって。だから持ってきたんだけど…。」

少ししょんぼりしていた。

「エンジンとバイオリンの音が似てるって?」
「クラッシックには興味なくてもちょっと聴いてみない?二つの音の比較サイトあるんだ。面白いよ?」
「じゃ、よろしくお願いします。」

元々は自分が振った話だったのでなんとなく付き合ってやることにした。携帯でどこかのサイトにアクセスしているらしい。

「再生するね?」

ワイヤレスのマイク付イヤホンを手渡される。

「あ…」
「どう?」
「いや、音が似てるかどうかは別にして、なんか体に響く感じが似てる気は…」
「でしょう?元々エンジン音と弦楽器の音には共通点が多いって言われてたけど、科学的に比較したらやっぱりそうだったみたいよ。これね、比較に使ってるのはストラドのロマノフだっていうからそれを使った弦楽系のCD持ってきたんだ。」
「へー…」
「ホント興味なさそうだね。」
「はぁ。」
「なんかガッカリ。…でも、まぁ、キミ、耳がいいんだねぇ。やっぱり。」
「なんスか!変な言い方しないでくださいよ!」
「なに?赤くなって。変な意味じゃないよ、いやらしいなぁ」
「!」
「変ってるね。キミ。フフフ」
「違う!」
「でも、ホントいい音だよねぇ。キミのいうように体に響く感覚がさー…なんかこう、物凄くエロティックでさー…。」

ちょっとした親切心で付き合ったら、やっぱりろくな目にあわない。そう思った。

「おはようございます!」
「おはよう、バッキー。今日もご機嫌だね。」
「いい音って…なんの話ですか?CD?」
「ああ。バッキー。あのね、彼女のあの時の声がすごくいいって話で…」
「え!えぇ!!」
「慌てんな椿。車のエンジンの話だ。わざわざこういう言い方してお前のことからかってんだよ。この人タチ悪いから。」
「あ、あぁ、そういう話…。」
「ザッキーがこの前ボクの彼女褒めてくれたんだよ。いい音ですねって。だから、それと似た音の音楽CDを持ってきたんだ。」
「へー」
「でもクラッシック興味ないって。バッキーよかったら聴く?」
「あ、いいンスか?」
「いいよ?ほらー、ザッキー見た?バッキーは自分が興味ない事でもちゃんとこうして興味を持とうと努力してくれるんだよ?キミとは大違い。」
「あ、あの、オレ、その!別にそんな意味で…えっと、そういうの疎いからたまにはいいかなって!」
「うーんホントいい子だね。猟犬のほうが頭いいのかな?ボク間違えちゃったのかも。」
「すいませんでしたね!頭悪くて!」
「ま、いいよ。ちゃんとボクこれとは別にザッキーが興味持ちそうなの知ってるからね。今日帰りおいでよ。」
「はぁ?」
「大丈夫大丈夫、いつもみたいに帰りはここまで車でまた送ってあげる。それならいいんだろ?じゃね。」

言い出したらきかない人なのでしぶしぶOKした。

   *  *  *

「やっぱりいいよねー、特にこの加速音が気に入って買ったんだよねー。」
「あんま飛ばさないでくださいね。」
「わかってるよー、ボクはいつも安全運転じゃない。」
「どうだか。」

王子の家に付いたらいつもどおりご飯を一緒に食べて。いつもどおり録画してあったサッカーの試合を見て。なんだかドンドン時間が経っていく。なんだ、この人、結局理由つけてオレを家に連れてきたかっただけか。ニコニコしながらカウチに座る横の男の顔を見て、なんだか苦笑い。ホント素直じゃないな、この人。

「ザッキー」

目が合って、そのまま自然にキスをして。ああ、この先もまたいつもどおり。ホント、この人、素直じゃない。

   *  *  *

シャワーを浴びて戻ってくると、王子が何やらテレビの前でガサゴソと。

「おかえり、ザッキー。」
「なにしてンスか?」
「ん?クラッシックは興味ないって言うからね。準備してるの。」
「ああ、その話。忘れてたわけじゃなかったンスか。」
「勿論じゃない。何しにキミを呼んだと思ってるの?」
「でも今更…別にもう…結構いい時間になっちゃったし。」
「そう?でもちょっとだけ。」
「まぁいいッスけどね。で、それ、なんスか?なんかのライブ?」
「ん?さっきの。録画しといたんだ。フフフ」
「さっきのって…」

ニヤつく王子。さっきの???
「キミのあの時の声ってね。彼女にも負けないくらいにいい声してるんだよ?いつもボクだけ堪能してるんじゃかわいそうじゃない。キミにも聴かせてあげたくて。」
「な!!ふざけんな!!」
「ん?ふざけてないけど?善意だよ。趣味の共有。」
「そんな趣味ねぇよ!」
「きっとクラッシックより興味深いと思うけど?キミこういうの多分好きでしょう?」
「なわけねぇだろ!それ消せよ!」
「せっかく映像まで撮ったのにそんなことするわけないだろう?」
「変態!変態王子!なんで動画付きなんだよ!目的変わってきてるだろ!」
「愛情だよ、愛情。カウチに寝そべってキミを乗せてしてるときが一番いい声なんだよね。特に今日はすごく…」
「黙れ!」
「乱暴なキミの声はちっともキレイじゃない。ホント勿体ないなぁー。」
「うるせぇ!ほら、こっちに!」
「ダメダメ、これ、バッキーがCD気に入ったらあの子にも聴かせるんだもん。」
「!!!!」
「ハハハ、その顔。おもしろーい!!」
「こいつ!!!!」
「冗談に決まってるだろう?キミの声はボク専用なんだから!」
「かせ!」
「やだね!」
「この野郎!」

「ハハハ」

「おい!」

「かわいいなぁー」

「うるせー!」

やっぱりこの人、隅から隅まで変態だ!!!!

      ジノザキ