お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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俺がその後に知った事

【10845文字】
先日の後天性わんこ崎のカットした初エチシーンを気晴らしに書きました。いい気晴らしになりました。目的のエチーシーンは2ページ目で自分で長いよやっとかよと少し辟易。1ページ目は飛ばしてもかまいませんw

 王子が居れば何もいらない。もう誰にも王子を渡しはしない。いつか俺はそうも思った。けれど今は全然違って、王子さえいればなんでも出来るし手に入れられるのだと、そんな事を俺は知った。それはなんだか不思議に“実感”だった。俺達はきっと運命なのだ。王子が繰り返し俺に言い続けていたその言葉の意味を、そもそも彼の全ては俺の手の中にあったのだとわかった事で、ようやく俺も理解したのだと思う。
 王子のゆるぎない愛情は常にこの世で俺だけに注がれ、だからこそ彼は時々その心を痛めて暮らしていたのだ。

「ザッキー、ただいま!寂しかったよ?」
我慢し続けていた王子の言葉は、今はもうそこここに溢れかえっている。これまでにないその素直さの為に、俺はまた一回り成長を遂げる。帰宅早々飛び付く様に抱き着いてくる主を見ながら、俺はこんな事を言うのだ。
「ったく、しょうがないッスねぇ」
「だって」
 俺がまだ犬だった頃。王子はいつも、寂しかったかい?と優しく優しくハグしてくれた。玄関先の二人の、ギュ、の儀式は、今はもうすっかり意味が変わってしまった。いや、余計な偽装が不要となったのだ。寂しさを埋め合わせるための“愛の営み”は様々な形で常に二人を温め合って、離れ難く、別ち難く。だから今日もじゃれつきながら、転がり込む様にリビングへ。
「今日、飯、何ッスか?」
「ジャーン」
「あ!それ俺の好物じゃないッスか」
「だよ~?」
「やった」
「キスして?そしたらすぐに作ってあげる」
「またそういう……」
「ん?」
「王子、俺ね。今日テレビで見てたンスけど」
「何を?」
「あの、こ、こういうのって、普通、付き合い始めの最初の頃だけらしいッスよ?俺達みたいに何年も一緒にいるのにずっとこういうのとか、なんか、ちょっと、違う……らしいン」
もう人になってから随分になる俺の事を、王子はいつもとても面白いと笑う。
「ベタベタすんのって、キモい、とか言ってた。し。」
「ふーん」
「人間は隠れてそうするのが習性だと思ってたけど、どうやらこの国じゃ、ホントにこういうのって、なんだろ、結構アレみたいな。ガキ?みたい、とか、しなくなるのが、え?えんじゅくみ、?とか?」
本能のままに交尾を望んだ頃と違って、俺は時々頓珍漢を言うらしい。王子はそれを嬉しくも悲しくも思っていて、でもいつまでも変化し続ける俺自体がまさに
「ホント、キミって面白いね。見てて飽きない」
らしい。
「で、キスは?テレビから得た人類の学習によって、ボクともうするのをやめるの?」
悪戯な瞳。
「まさか、だよね?」
自信たっぷりなその姿に、俺はイラッとしながらも、結局我慢しきれず、頬にチュ、とキスをする。
「恥ずかしがる姿も可愛いね」
そうして王子は簡単に俺に絡みついては、子供だましでない、成体の人の行うキスをする。
「赤裸々だったキミもとっても可愛かったしエッチだった。でも奥ゆかしさが出て来たキミも凄くいやらしい」
「ん、ちょ……キスしたら、飯って……」
「もう少しだけ。ほら、有名な新婚の風習は?テレビでやってなかった?」
「なにが……?」
「“あなた、お風呂?御飯?それとも?”」
「し、知らねぇ、なん、スか?それ。まだ俺、しらな」
 火がつかない程度にやるよと言いつつ、いつも王子はやりたい放題俺で遊ぶ。
「だ、駄目だって……また俺だけ、なん……」
「気持ちいい事してあげたいんだ」
「だからって」
「っていうかちょっとお仕置きも兼ねてる」
「へ……?」
「駄目だよ?お気に入りの毛布を相手に浮気してちゃ。知ってるんだから。またボクがいないうちに汚したね?」
「それ、はッ」
「わかっているよ、キミの体は時々時期になったらどうしようもない感じになっちゃうんだって。でも嫌なものは嫌なの。出来るだけそういうのはボクだけで。ん?」

 してもしても、して欲しくて、してもしても、したがって、俺達はいつも手も足も何もかもをそうして絡めて、互いの幸せを堪能した。愛の営みには終わりがなくて、俺達の今はずっと続いて。やっぱりこういうのは珍しいのだと、言えば王子はまた笑った。

「珍しいどころか」
「?」
「きっと本当はありえない事」

 犬はある日人になって、人並み以上の愛情を得た。沢山野原を一緒に走るし、沢山いろんなところに出掛けた。海外旅行が好きだった人はパッタリそれをしなくなって、
「俺がいるからッスよね?俺、パスポートねぇし」
と言えば、理由はそれじゃないと。
「でも」
「ボクはずっと探してたんだ」
「?」
「キミ以上に大切だと思える何かを。それは人でもモノでも、場所でも時間でもなんでも良かった。でももうそんな事どうでもいいから」

「キミはボクと居てくれる。そうだね?」
「勿論」
「だからもういいんだ。もうボクはどこに行かなくても。ううん、ずっとキミの傍に居る。どこにも行きたくなんかないんだよ?」
「王子」
「駄目かい?そういうのは」

 満足そうに笑う王子の。この顔が見たかったんだと俺は泣いた。それを舐める王子が、目が溶けてしまうよ、といつかのように抱き締めてくれた。