アシンメトリー
【15682文字】
ほのぼの告白のすれ違いから、転げ落ちるように虐め愛へ。二人とも属性持ちではあるものの最初は完全に真っ当。破壊を以て相手を自分専用機に改造していくSM調教ジノザキ。ジーノは赤崎に導かれる形で悪質な性的虐待を、赤崎はジーノに大義名分を与えるために精神的虐待を繰り返します。無邪気に飼い主の性癖を引きずり出している飼い犬のほうがタチ悪い。
散々蹂躙を堪能した夜、時々王子は俺に言う。
「君のことが嫌いだザッキー。君のことなんて抱きたくない」
一番俺に言われたくない、そんな言葉を平気で言う。捨てられる恐怖を募らせて、自分本位に傷つけてくる。全部受け止めると約束したから、こんな夜でもいつだって、俺は王子を抱き締めてやる。彼の器は壊れているので愛を零して同情に染め、こんな風に身食いするのだ。
「君は僕を捨てられないだけ。君は愚かな駄犬だザッキー」
王子の愛は矛盾だらけで、なんでもこなす器用な彼の不器用な愛が好きだった。彼の中は俺で溢れて、俺のことばかり考えている。こんな完璧な人なのに、いつも駄犬に囚われている。
「王子、俺は好きですよ」
「僕は嫌いだ」
「それでも好きです」
疲れた王子は瞼を閉じて、俺を抱き締め眠りに落ちた。愛の衝動に苦しめられて、愛するほどに壊れていって。
「好きです王子。本当に」
可哀そうな俺の王子が、夢では素直に愛を謳歌し、大いに愛して愛されて、癒されているといいと願った。とっくに愛は叶っていると、その実感に二人浸って、いつか、たった一晩でもいい、そんな夜を切に願った。
どれだけ零してもかまわないから、愛がしみ込んでくれますように。寝言でも俺の名を呼ぶ俺の王子が、今の幸せに気づきますよう。
