文学妄想お題ったー詰め 2
【15058文字】
文学妄想お題ったーで一日一ジノザキ。2015年5月の21本分。GWもそうですが重複お題も増えて既に一日一ジノザキは無理にorz
【お題】井伏鱒二「逸題」
あなたは井伏鱒二作「逸題」より「今宵は中秋明月 初恋を偲ぶ夜」でジノザキの妄想をしてください
<SS>
「キミの初恋はどんなだったの?」
と無邪気に笑うあの人には、それなりな幼き淡い思い出を適当に投げ返す事しか出来なかった。何故なら俺が初めて他人に強奪されるように心を盗まれてしまったのは、とある、このスタジアムのナイター試合の、流麗なプレイの瞬刻だったからだ。
相手の虚を突いた豪快な初ゴールを)
その時の俺は、この魅了を王子の選手としてのそれと思っていた。いや、ずっとそう思っていた。違うと感じたのはあの日のキャンプ。意識を合わせてついていくだけで精一杯だった俺に向かって、王子は「まあまあ良かったよ」と朗らかに笑った。たったそれだけの事に、俺は夜も眠れなくなった。拙い連携の実現がそうさせたのではない。今日見たあの笑顔が昔あのスタジアムの大画面に映し出された忘れられないあの煌めきと二重写しの幻となって、一晩中俺に迫り続けていたからだ。しかも、ホテルの一室のベッドの上、見慣れたあのバスローブの胸元を肌蹴たままに。
「コラ!どうしたの?」
「え?あ……」
ボンヤリ顔の俺に気付いて、王子はクシャクシャとソファの隣に座る俺の髪を乱した。
「変な事きいちゃったかな。彼女の事思い出してしまったのかい?あー、やだやだ」
「ハ、王子の自業自得でしょ?」
自分にヤキモチを妬いている事も知らずに王子は、ガバリと俺を押し倒す。
(あ……)
見慣れたバスローブの胸元を肌蹴たままに、俺に覆いかぶさって王子は朗らかに笑っている。
(あの興奮醒めぬ苦悶の夜は、今を未来視したものだったんだろうか?)
拗ねたように少しだけ唇尖らせ、王子は俺にキスしてくれた。俺はあの時と同じに体が芯から燃えてしまって、ギュ、としがみ付く様に王子に抱き着きながら、
「悔しかったら今すぐ忘れさせたらいいんじゃねぇッスかね」
と笑い返してやったのだった。
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すっごく難しくて見た途端、簡単にぶん投げてしまいましたorz
結局初恋について語るというコンセプトそのものでなんとか消化。
