文学妄想お題ったー詰め 2
【15058文字】
文学妄想お題ったーで一日一ジノザキ。2015年5月の21本分。GWもそうですが重複お題も増えて既に一日一ジノザキは無理にorz
【お題】北原白秋「夕」
あなたは北原白秋作「夕」より「紅の南極星下 われを思ふ 人のひとりも。」でジノザキの妄想をしてください
<SS>
突然移籍先にヒョイと顔を見せては、あっという間に去って行く人。
「急いでたものだから」
と差し出した一輪の真紅がナチュラルながらもあまりに陳腐で、思わず俺は笑ってしまう。そんな風に王子は場を和ませるのがとてもうまい。
季節毎に変わる王子の今日の香りはあの初めての夜と同じもので、俺は知らぬうちに心があの日に戻ってしまった。そしたら王子も追いかけてきて、当たり前のようにキスしてくれた。
(ああ、これだ……王子の匂いだ……)
そして崩れるように俺達はその場で。
「フ、どうしちゃったの?今日は随分即物的」
経過した時と汗ばむ肌に変化した彼のラストノートの、いや増す色香に体が燃える。息を吸っても吐かねばならず、その切なさに涙が出る。まるで肺の奥の奥まで、王子に犯されている気分だった。
そして興奮のトリガーに気付いたあの人は気軽に笑って、
「じゃあ、ここに残れないボクのかわりに」
とボトルを置いて去って行った。
それは俺には似合わなさそうな、上品且つ色香漂う大人の香り。携帯用に詰め替えられた入れ物のフォルムもとてもシックで、俺はまさに王子そのものと抱き締めるみたいに手に取った。
移籍先は海辺に近い。使う度に潮とパルファムの香りがさもいやらしげに交合を始める。俺の欲しかった激しさを伴う静謐の美は、サジ加減一つで狂ってしまうようなギリギリの中の調和であって、最重要な王子自身の体臭がない今、その色香の魅力も台無しだ。
去り際の言葉はいつも
「また暇見つけてすぐ来るよ」
と事もなげで、後姿見送るこの切な苦しさが自分だけの孤独と感じる。ここにはとても、王子が足りない。
「冬用なんだ、か……」
帰宅早々、冷たいベッドに、今日も芳香落として夜を待つ。今、窓から差し込む夕陽のライトに、散り始めた花一本が紅さを増して、その退廃が唇を思わす。
「またっていつだよ」
そして心待つ日々が、また始まるのだった。
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ナガイ……
140文字縛りを諦めるとあっちゅう間にメタボ文ェ……
これじゃ練習に……(´;ω;`)
