文学妄想お題ったー詰め 8
【16289文字】
文学妄想お題ったーで一日一ジノザキ。2017年8月の4本分。実際にはお題ったーのお題が重複ばかりなので、日本語用例検索とかから適当な単語を入力してチョイスしています。
あなたは色川武大作「狂人日記」より「何にでもなれる、その可能性があるような気がしていた時代、何になるかは自分の選択だと思っていた時代、時がたってみると、ただそこに追い込まれて、こうしているほかはない自分」でジノザキの妄想をしてください
<SS>
「ちやほやされたいんです」
「人気者になりたい」
「俺がまだまだこんなもんじゃないってことを、周りの人にうんと驚かれたい」
*
「俺はまだまだ、こんなもんじゃない」
「全然やれる」
「何にだってなれる」
「本当に、そう。全然、やれる」
*
「なんで、そんな目で俺を見る?」
「俺が馬鹿だと思ってンでしょう?」
「いや、絶対そう思ってる。あんたは」
「今に見てろよ」
「吠え面かくな」
「その日がとっても楽しみだ」
*
「そんな目をして、俺を見るな」
「見るな、そんな目をして俺のことを、王子」
「本当は、俺だってわかってる」
「でも、そうするしかなかったんだ」
「自分のことだ」
「ちゃんと、それくらい理解している」
「……本当は、そう……嫌になるほど、」
「自分の持ち得る可能性くらい」
*
「凡人はいつでも必死なんだ、王子」
「痛くて、辛くて、うんざりしながら」
「それこそ、この身を削るように、壊して、砕いて、ズタズタに」
「そうやって、自分を磨かなきゃいけない」
「血反吐を吐きながら、それこそ必死で」
「自分は原石だと言い聞かせながら、」
「最後の、最後の、一欠けらになるまで、本当に可能性がゼロになるまで」
「全部がそぎ落とすべきただの石でも、」
「薄々、それをわかっていても、」
「それでも、俺はやらなきゃいけない」
「やらなきゃ、俺は、何ににもなれない」
「残念なくらい、あんたとは違う」
「ただの、ちっぽけな、有り体の……」
*
「なんで、そんな目をして俺を見るんだ」
「やめてくれ、王子、もうそんな目で俺を」
「いつまでも」
「いつまでも、俺を見張るみたいにそうして」
*
「そうして……」
「信じているような……顔を……して」
*
「もう逃げ出したいのに、そんな目で王子」
「あんたが、いつまでも、いつまでも、しつこく俺を見るから、」
「……その度」
「俺も、また、」
「うっかり、」
「その目を、やっぱり信じてしまう」
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「本当に俺の中に何かがあると、そんな風に……」
*
「凡人には見えない、俺の中の何かが」
「その目には、きっと見えているのだと」
「思ってしまうから、俺はまた……」
「もしかして、本当に」
「あと一歩なのかと」
*
「夢を見るのが、やめられない」
*
「いつか届く日がきますかね、王子」
「夢も、」
「そして……」
「王子。貴方への想いも」
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お利口に見守っているジーノのためにも、くじけずせっせと頑張りましょう
