お花結び

GIANTKILLING二次創作小説同人サイト

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テーマお題でイチャイチャさせったー1

【6461文字】
無駄にダラダラ書いてしまうので、短い話書くリハビリです。とりあえず3本。
「今ぎゅってしたら、どんな顔するんだろう」甘口
「もうだめだって分かってた」ソロエチ、ビター
「なんか今日おかしいよ」経歴捏造、+笠さん

        ジノザキ ,

診断結果
ジノザキで「なんか今日おかしいよ」とかどうでしょう。
 ※経歴かなり捏造気味
 ※笠さんにジノザキバレ設定(飼い主は否定、番犬は知らない)
 ※前半番犬目線、後半飼い主目線

<SS>

「え?最初どう思ったか?」
「うん」
赤崎はジーノに質問されて、どうだったかな、と考えた。
「王子を初めて見た時……うーん、そうっスねぇ。『笠さん、また変なの拾って来たな』?」
成績が振るわず資金不足で、何から何まで悪循環。ジーノがETUに来たのは丁度そういう時期だった。コア層は極一部以外がほとんど逃げ出し、残ったサポとフロントの関係は史上最悪。ならばライト層を狙っての?そういう下世話な噂も流れた。
 正直当時の赤崎は、ジーノの入団にネガティブだった。他チームにいた頃のジーノというのは、そこそこ光るプレイがあってもいわゆるアイドル選手の枠組み、そういうイメージが強かったのだ。スポンサーの差し金系だとか、厄介な事情があると思った。なのに笠野の案だと知ると、当然がっくりと肩も落とした。
「もううちのチームも終わりだなとか。そんな風にも感じましたね」
フィットするとも思えなかった。実際フィットしなかった。博打のような移籍は失敗。ないないずくしのETU、なけなしのスカウトのセンスも終わりと。
「なんでそんなチームに上がった(入団した)の?」
赤崎の腐しに悪びれもせず、赤崎の隣に座って笑う。馬耳東風のふてぶてしさは、あの頃とまるで変わらない。
「終わってるほど面白そうで?」
そしてあいも変わらぬ人の悪さで、思わず赤崎も笑ってしまう。
「それはあんたの入団ん時の台詞でしょ」
「おや、そんなことよく覚えているね」
そうだったっけ、ととぼけた風情で、ぬけぬけとまあ、と赤崎は思う。
「東京ならどこでも良かったんだよ」
「え?」
「あれ?言ってなかった?」
そこからの話は、赤崎にとって初めて聞くものばかりであった。かつて東京ヴィクトリーに入団が決まっていたこと。でも初年度にレンタルの条件があり、気に入らなくて蹴って進学。大学では弱小チームのリーグ昇格に大いに貢献。笠野との出会いはちょうどその頃。
「うちに来てみないかーなんて。まあ、ここ以外にも声掛けられてたよ」
結局は、いわゆる一流企業に就職。趣味で企業内のフットサルサークルに。
「でもほら、僕って才能あるから」
なし崩し的に企業内チームに特例で所属。初期は半日職場で就労、午後からサッカーの練習に参加。
「残業ないし、楽だなと」
どこの部分が本音で、嘘か。赤崎はジーノに慣れているので、あえて問いただしたりはしない。
(俺が観たのはその頃の動画だ。守備は今と同じにザルで、それでもマグレみたいなスルーパス、偶然みたいな謎ゴール……)
赤崎が当時に思いを馳せると、ジーノが鼻を摘まんでからかった。
「聞いてる?」
「ちゃんと聞いてますよ」
「あの頃も結構楽しかったよ。みんな会いに来てくれたしね」
当時観れていた試合の動画は今ではネットからほとんど消えた。綺麗に(都合よく)編集されきったファン作の熱狂動画しかない。
「でも、ここに来たらデスクワークもしなくていいとか。何それ、もっと楽だなと」
「いや、前職だってどうせ自分勝手にフレックスして、派遣の子らと喋ってばっかで」
「えー、真面目に働いてたよ」
「例えば?」
「うーん、そうだね……何してたっけ?」
ジーノは笑って頬を寄せ、そのまま赤崎をソファに倒した。
「職場で……こういうのとかはしてませんよね?」
「どうかなぁ、ザッキーどう思う?」
「またそんな嫌な言い方をして」
耳朶に触れる唇が少し熱くて、赤崎はジーノの高まりを知る。
「僕は紳士さ、知ってるくせに」
軽々と心を弄ぶ。紳士と真摯、音は同じで、心の弱い部分を擽る。本物。偽物。紛らわしい。でも、赤崎はジーノに慣れているから。
「……王子……、っ、」
「ん?」
体とはとても不思議なもので、そして目は口ほどに物を言う。その身を以てジーノに触れれば、感じてしまうものがある。
「我慢、出来なくなるンすけども……」
「そうだね。そうさせてるんだし」
言葉よりキス。キスよりも。もたらされるのは情熱そのもの。いつも煙に巻き誤魔化したがる、ジーノの本音とその本性。
「……じゃあ、いつから僕が好きだった?」
赤崎は既に朦朧として、何一つ言葉の形に出来ず、けれどその目もまた口ほどに。
「今日、多分観たよその瞬間を」
「……、っ……、?」
「僕は覚えていなかったけど、観れて良かった。本当に」
今とそっくり同じ目だったと、ジーノは瞼に口づけた。そして、頬に、唇に。やがて首筋、鎖骨に至り、まるで何かの記念のようにうっ血の花をそこに咲かせた。

*

 選手達は輪になり鳥かご中。ジーノは何故かピッチの隅で、暢気な顔でそれを見ていた。
「お?今日は気が乗ってる日の方か?」
笠野の軽口が空気に舞うと、それを受け止めジーノも笑う。
「やあ、なんだか久しぶりだね」
「おいおい、昨日も会っただろうに」
笠野が戻ってきてからは、この光景も珍しくない。赤崎は面白くなかったが、素知らぬ顔で視線を逸らした。
「おーおー。悋気して可愛いねぇ」
意味深に目を細めジーノに言えば、
「やめてよ、色々誤解を招く」
口調は変わらぬ呑気な風情で、それでも捩じり切るような毒。笠野は二人を理解していて、ジーノはそれをわかってはいて、それでもいつでもそのちょっかいを一刀両断し続けていた。
「お前も虐めるの大好きだろうに」
「そういう系のあれじゃない。何度説明させる気だい?」
「十分見えるな。そういうあれに」
「ボケたんじゃない?」
「そうかもな」

 昨日はジーノのプロ転向の、記念日のようなものだった。自由気ままなジーノと言えども、確かにあの日は人生の岐路、心は自然に思いを馳せる。ジーノのそういう機微を知るので、毎年笠野はその日になると毎年挨拶に訪れていた。偶然を装い、それとなく。でもその配慮か策略なども、当然ジーノも知っていた。
「お、またこっち見た。手ぇ振ってやろ」
「……」
「ほら、お前も手くらい振ってやれ」

 最近どうだい

 幸せかい

それはいつもの笠野の挨拶。

 違っていたかい?

 帰るかい?

聞えない声、伝わる心。導いた者の責任というより、人が人を思う真心だった。いつでも贖罪の色が滲んで、でもその理由もようやくわかった。

 いつでも道は自分のものだ

人を導く案内人が、自分の足元も見ずに言う。

 そして昨日、笠野はジーノに言った。
『あれが来たのはお前が居たから。なんていうか感謝してるよ』
話をしながら眺めていたのは、数年前の映像だった。クラブハウスの整理をしていて、色々発掘されたらしい。
『こうしてみるとなんか物凄い子供だな』
トップチームに故障者が増え、練習試合もままならなくて、ユースを交えて合宿をした。その時の練習動画であった。

 ジーノは覚えていなかった。赤崎もそこに居たことを。
『小さい頃から口が達者で、なんつうか変な度胸っつうか、海外志向で、色々自分でも調べてて』
 髪が黒くて、体が薄くて、センスはあるようなないような。井の中の蛙、夢見る少年。

――へぇ、壮大な夢だねぇ。まあ、頑張ればいいんじゃない?

――僕には理解出来ないけれど、へぇ、そう……プロが夢……

おめでたいまでの健やかさ。微笑ましくて、馬鹿馬鹿しくて、そう言えば少し意地悪をした。

『ああいうタイプ、俺は好きでね。でもまあどうかなってボーダーラインで。なのにユースのコーチに聞いたらこの時期から突然伸びたらしくて』

『伸び過ぎてうちよりもいい話来て、でもまあ結局上がってくれた』

そして、内緒な、と悪い笑顔で、見せてくれたのは面接映像。

――まだ、あの変なのが10番スよね?あれ(ジーノ)も、うち(ETU)も、どうにかしますよ。だってここは古巣ですから。

入る前から『古巣』と言って、なのに直前に『うち』と言う。

「なんだよ、ニヤニヤ、スケベ顔して」
「してない」
「してるよ。鏡を、えーっと、鏡……」
パタパタとポケットを派手に探って、
「ねぇなっ!残念!」
と言って、はは!と笑った。

 合同練習。入団面接。冬の合宿。昨日。今日。眩暈がするほど深い色味は、かつてのあの日に確かに灯り、日々それは一層濃く艶やかに。

最近どうだい

 まあまあね

幸せなのかい?

 そうかもね

違っていたかい?

 そうだね、多分

帰るか?ジーノ

 うん、ここに

 目も合わせずに、空気を交わせば、遠くの小鳥が平和に鳴いた。昨日見た動画でも鳴いていた。賑やかに練習をしているさなかに。まるであの日にいるかのように、のどかな太陽、芝は緑で、あの日の風も気持ちが良かった。

だから、ようやくひと伸びをして、ジーノは前髪をかき上げる。
「お?そろそろ王子がお出ましですか」
笠野の軽口が空気に舞う。日差しのように暖かい声。

ジーノは振り向くこともせず、片手をあげて、威風堂々。
「満を持してね」
「自分で言うのか。お前らしいよ」
笠野の楽し気な笑い声。ジーノも釣られて笑いつつ、王子然として合流をした。


当然みんなに文句言われてでもジーノは偉そうにシレっとしてます
笠さんにとってはジーノもいわゆる「ちょろかわいい我が子の一人」というお話

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