飼い犬
15日なのでザッキー過去編をば。沢山の人達に愛されながらサッカー一筋に生きてきたってイメージで書きました。家族設定がっつり捏造。登場人物は赤崎、王子、同級生、家族、チームメイト、彼女(H有)。変な時間にジーノがフラフラあらわれてたのは後藤氏と飲みに行く為。このシリーズの後藤さんはお母さんでタッツミーはお父さん的役割。
中学時代~恋愛よりも1
赤崎は小学校を卒業したら友達の沢山いる地元の公立中学に進学した。
毎日毎日、学校と塾とジュニアユースで多忙を極めていた。どれもこれもそれはそれは熱心に行っていて、ほとんどプライベートの時間などないも等しい状態だった。部活に参加していないことでちょっとみんなと話が通じないところもあったけれど、プロチームの下部組織に所属している赤崎はみんなから一目を置かれる存在でもあった。
* * *
乱暴紙一重の毒舌も、この頃になると女子の間では男らしさとして目に映るようになってきていた。だから、ひそかに思いを寄せる子の存在も少なからずいたわけで。それに赤崎も思春期の男子らしく、デートとかキスとか、そういうことに全く興味がないわけでもなかった。同級生の友達に彼女が出来れば、どうなんだよ、うまくやってんのか?なんてからかったりした。また反対に、お前はどうなんだよ!少しはそういうこともやっとかないと、人生損だぜ?なんて言われたりした。けれど、赤崎はやっぱりそこそこ興味はあったとしても、そんなことよりもサッカーの方がずっと楽しくて、生活のほとんどはサッカーで埋め尽くされていたといっても過言ではなかった。
ある日、手紙で呼び出された女の子に交際を申し込まれた。どうしていいのかわからなくて、あ、そりゃどうも、くらいしか返せなかった自分にガッカリする。結局どうしていいのかわからなくて友達に相談した。
その結果、週末、赤崎と、彼女と、友達と、友達の彼女の4人で映画を見に行くことになった。みんな楽しそうに大いに盛り上がり、帰りに寄ったファミレスでも映画のことで話が尽きない様な時間を過ごした一日。でも残念ながら肝心の赤崎は比較的無口で、なんだかつまらない思いをしていた。
赤崎は内心、女の子と映画を見に行く暇があれば、今日のホーム戦、見に行った方がよかったかなーなんて思っていた。赤崎にとってはコンビニでシュークリームでも買い込んでサッカーの録画を見たり、スタジアムに行って選手のプレイの数々を堪能する方がよっぽど興奮するし楽しい時の過ごし方だったのだ。
赤崎が友達にイマイチだったと話をすると、映画がつまらなかっただけかもしれないだろ、と言われ、そんなもんなのかなと考える。確かに好きそうな映画ではなかったし。だから次の週末、今度は二人で水族館に出掛けることにしてみた。映画館よりは楽しめそうだと考えたからだ。去年、仲間みんなで行って、ぶさいくな魚の顔とかのマネとかをして、めっちゃ盛り上がった記憶があったから。
でも、実際に行ってみれば喜ぶ彼女とは裏腹に、赤崎はやっぱり退屈だった。男同士のふざけたあのノリなんて当然出来るわけもなかったし、綺麗なかわいいおさかなさん、とか言われるとなんだか見たいものがまるで違うな、と感じてしまった。魚以外だと自分はサッカーのことくらいしか話のネタがないし、彼女はサッカーの話はさっぱり理解できないみたいし。彼女は知らないなりにも一生懸命話を合わせようとしてくれているけれど、CBとSBの違いもわからなくてセンターって言うのは~、サイドって言うのは~などと説明したり、右とか左とかってどっちからみてそう言うの?とかそういう質問とかにもイチイチ答えていると辟易してきた。最後の方には気まずくなって、なんとなく言葉少なに魚も見ないで館内を歩く感じになっていた。
翌週、やっぱサッカーの試合とかで週末も忙しいし付き合うのは無理だ、と赤崎は交際を断った。お前のことなんもわからないし嫌いなわけでもないけど、なんかごめんな、と顔の前に右手をかざしてゴメンのポーズをして。
彼女は言った。
「うん、実は最初からわかってた。はっきり言ってくれてありがとう。一回でも二人っきりでデートができたから私はすっごく幸せ。サッカー頑張ってね?応援してるから。」
思いっきりいい笑顔だったけれど、彼女の目は潤んでいた。悪いことをしちゃったけれど、この子いい子だな、好きになれたらよかったんだろうけどな、と赤崎は思いながら立ち去る彼女の後姿を見送った。
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