いいよねぇ秋
ジノバキの日ですね。小噺3本。始まった瞬間からオチがわかる、そんなベタベタな典型ネタであればあるほどヒーヒー笑ってしまう。膿んでるのかもしれません。
いいよねぇ葡萄
秋風そよぐ練習場。ジーノは飼い犬二匹従えて、のんびり芝生で一休み。
「そういえばさ、この前ようやく彼女に会えたんだボク」
「彼女?」
「評判通りの魅力的な子だったよ?とっても綺麗な紅色で本物のルビーみたいに輝いてた」
ジーノの話が突然始まるのはいつもの事。椿はジーノから聞いていた女性系の話を一生懸命思い出そうとしていた。なんのことだか質問するのも話の腰を折るし、なんて気にする椿だったが、ジーノはそんなことお構いなしだった。
「どうやって食べてやろうかって迷っちゃった」
意味深な言葉を受けて思わずカッと頬が染まったのがわかった。だって、その言葉を口にした時のジーノの表情ときたらまるで狩りをする猫型の肉食獣のように獰猛で。ETUの貴公子は優しい顔でいながらそっち方面ではそれなりに過激らしい。あんなのちょっとしたスパイスだよ、と笑うジーノに、赤崎はいつも、あんたのSっ気は冗談の域を遥かに超えている、と睨み付けていた。入団して間もない椿はジーノの具体的な女性遍歴をあまり聞いておらず、気になるもののはっきりと聞くのも怖い、とそんな日々を過ごしていた。
「ね、バッキーは、順番に剥いて食べるのが好き?それとも食べるばっかりにしちゃってから一気にって感じ?」
「は?あの…」
「沢山だと、ちょっと疲れちゃうよね」
椿はこの言葉を聞いて、一瞬とんでもない想像をしてしまった。まさか王子。でも王子なら。確かにいっぺんに何人もお相手とか…ありえないわけでもないわけでもあるのかないのか。あーわからない、どうしよう。などと。動揺して目を白黒させていた。
「椿。勘違いしてるようだから念のため言っとくけど。王子、喰いもんの話してるんだからな?」
「ルビーロマンって大粒だしジューシーだから剥きやすいっちゃ剥きやすいんだけどね。ロザリオビアンコとかみたいに皮ごと食べられるタイプならもっとよかったのに」
「まさかあんた、一人で一房喰っちまったんッスか?」
「ん、すっごく美味しかった。全部食べちゃうのが勿体ないと思うくらいね」
「なんだよ、俺らにも喰わせてくれりゃ良かったのに」
葡萄の話だった。
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