走れジーノ
暑いですねー……
表題の通り某文学作品パロ(ジノザキ前提)です。
わざとではありますがちょっとヤバいくらい元ネタが下敷きになりすぎてます……年上の妹は大好きな出落ち。コッシーきゃわわ
長いから途中で以下略化したけどまあ、えぇ、書かなくてもどうせ最後まであの人やり散らかしですよ多分(なんせ全裸で帰ってくるしね)
ジーノは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王、持田を除かなければならぬと決意した。ジーノには政治がわからぬ。ジーノは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪(よこしま)に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明ジーノは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此の浅草の市にやって来た。ジーノには父も、母も無い。女房も無い。三十二の、内気な妹(村越)と二人暮しだ。この妹(村越)は、村の或る自由人(達海)を、近々、花婿として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。ジーノは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。ジーノには竹馬の友があった。赤崎である。今は此の浅草の市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにジーノは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきなジーノも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆(椿)をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈はず、と質問した。若い衆(椿)は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺(後藤)に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺(後藤)は答えなかった。ジーノは両手で老爺(後藤)のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺(後藤)は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「王様は、人を寝取ります。」
「なぜ寝取るの?」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を寝取ったの?」
「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣を。それから、弟さまを。それから、弟さまの御子さまを。それから、先代の王さまを。それから、賢臣のシロ様を。」
「おどろいた。国王ご乱心?」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、犯されます。きょうは、六人犯されました。」
聞いて、ジーノは激怒した。「呆れた王だ。羨ましい。生かして置けぬ。」
ジーノは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。たちまち彼は、巡邏の警吏に捕縛された。調べられて、ジーノの懐中からはピー(記述自粛)が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。ジーノは、王の前に引き出された。
「このピー(記述自粛)で何するつもりだったの?言えよ」暴君持田は静かに、けれども威厳を以もって問いつめた。その王の顔は蒼白で、見開いた眼は爬虫類のそれによく似ていた。
「市を暴君の手から救うの。」とジーノは悪びれずに答えた。
「おまえが?」王は、憫笑した。「仕方の無いやつ。おまえには俺の孤独はわからない。」
「ちょっと黙ってくんない?」とジーノは、しれっと反駁した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑ってるってわけ?」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、俺に教えてくれたのは、おまえらだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じたら駄目なの。」暴君は落着いて呟つぶやき、ほっと溜息をついた。「そりゃ俺だって、平和を望んでいるけどね。」
「なんの為の平和?自分の地位を守る為?」こんどはジーノが嘲笑した。「罪の無い人を犯して、何が平和?」
「つかだまれ、底辺。」王は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。俺には、人の腹綿の奥底が見え透いてならない。おまえだって、いまに、磔になってから、泣いて詫びたって知らねぇよ?」
「ああ、王は悧巧だね。自惚れているがいいさ。ボクは、ちゃんと死ぬ覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、ジーノは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、ボクに情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えてくれない?たった一人の妹(村越)に、亭主を持たせてやりたくてさ。三日のうちに、ボクは村で結婚式を挙げさせて、必ず、ここへ帰って来るよ。」
「ばかな。」と暴君は、嗄しわがれた声で低く笑った。「とんでもない嘘を言う。逃がした小鳥が帰って来るとでも?」
「そうだよ?帰って来る。」ジーノは当たり前のように言った。「ボクは約束を守る。ボクを三日間だけ許してよ。妹(村越)が、ボクの帰りを待ってる。そんなにボクを信じられないなら、いいよ、この市に赤崎という石工がいるんだけど。ボクの無二の友人だよ。あれを、人質としてここに置いて行こう。ボクが逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人をブチ犯して下さい。そうして下さい。」
それを聞いて王は、残虐な気持で、そっとほくそえんだ。生意気なことを言う。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙だまされた振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に好き勝手してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられないんだと、俺は悲しい顔して、その身代りの男をヒーヒー言わせてやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼べばいい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっとブチ犯すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろう。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
ジーノは口惜しく、地団駄じだんだ踏んだ。全部適当なことを言ってるのがバレバレな感じだったので、ものも言いたくなくなった。
竹馬の友、赤崎は、深夜、王城に召された。暴君持田の面前で、佳よき友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。ジーノは、友に一切の事情を語った。赤崎は「マジかよ王子!てめぇふざけんな!」と暴れ、ジーノは「ハッハー、ザッキー悪いねボクのために頑張ってよ」と構わずひしと抱きしめた。友と友の間は、それで十分と思っていたのはジーノだけ。赤崎は「てめぇ戻ってきたらなぁ!おい!聞けよ!」、縄打たれた。ジーノは、「言っとくけど間に合わなかったらあとは自力でなんとかしてね?」と無責任に言い残してすぐに出発した。「いい加減にしろ!間に合わねぇ前提じゃねぇかよ!おい!待てよ!この、くそ王子!」初夏、満天の星である。
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